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ステイホームGW読書 まとめ
ほとんど部屋から一歩も出ずに過ごしたゴールデンウィーク2020、部屋の片隅に積み上がった未読本タワーからの厳正なるチョイスの結果読み終えた4冊を記録します。各書店が休業するなか、日頃から積読本を溜め込んでおくと部屋に居ながらにして選ぶ楽しみが残されていてたまにはいいことがあるものだと思いました。なお買った本はちゃんと読んだ方がいいです。
白の闇 / ジョゼ・サラマーゴ
突然世界が真っ白になると
早稲田ちえが私を作った、あとは一緒に灰になるだけ
早稲田ちえの漫画はもはや私の血を成し肉を成し、あとは死んだら一緒に燃やしてもらって同じ灰になるだけだ。
私は早稲田ちえの漫画の一部になりたい。私は早稲田ちえの表現する激情の一部を成したい。私はあの激情そのものになりたい。そのためには、私が死んだときには一緒に燃やしてもらう他ない。同じ灰になりたい。だから死ぬまで、これから何度引っ越しを経験しても、どんな災害に見舞われても、失くそうとも、絶対にどこ
『ひばりの朝』を語る −『フェミニズムの現在』ヤマシタトモコインタビューを受けて
青土社『現代思想』の増刊号『フェミニズムの現在』に収録されていたヤマシタトモコインタビュー「私たちを締め出さない物語」を読み、主に現在連載中の『違国日記』についてのインタビューではあったものの、同じく連載中『さんかく窓の外側は夜』や過去作についても触れられており、なかでも『ひばりの朝』への言及があったことが個人的に嬉しく、また数年越しに謎が解けたような思いもあったので、一度この作品について書いてみ
もっとみる渡りわたって __リリー・スイミー『惣治郎』と『星の瞳』
リリー・スイミーさん『惣治郎』『星の瞳』を読んだ。
スイミーさんの作品は昨年冬に買った『びょうびょうたる季節』以来になる。
2017年が明けた1月、「キンキンに冷えている」という言葉がぴったりの冬晴れの日に、当時スイミーさんがやっていらしたカフェまで散歩がてら遊びに行ったのがきっかけだった。
そのとき、わたしはお店のお姉さんがスイミーさんだとは知らず(一体何をしに行ったのかという話である)声をか
名前がなくても大丈夫 ––吉川いと花『ニア』より
吉川いと花さん『ニア(Near)』を読んだ。
「天高く、海の底。」「デイライト・シグナル」「澄《すみとおる》」の3編から成る短編集であり、3作を束ねてNearという表題がつけられている。
【near】(空間・時間的に)近く、接近して、ほとんど、まだまだ…でない
「~の近くに」という意だが、nearは常にfar(from)(遠くに)との関係で相対的に把握される
web辞書が言うには、とのことの