「すみません」の文化
— 日本の自性その利他的な言葉 —
私は「すみません」という言葉が好きである。単に好きで良く使うという意味ではない。正確に言うとこの言葉の周辺、つまり、この言葉が機縁となり呼び起されるその情景が好きなのだ。それは礼を述べている、頼み事をしている、赦しを乞うている、私にとって何という事もない日本人の日常生活に繰り広げられるつつましやかな一幅の情景がそこにある。私は詳しくは知らぬが外国の同様語には、これ程多用の意味内容を持ち素朴でしかも趣きのある言葉はないのではないかと思う。思