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#小説

破裂

2004年出版(日本)
著作、久坂部羊  

 父親の死は心臓手術のミスであるという告発文を貰った人妻(中山)、心筋の再生に心血を注ぎ開発した療法が心臓が破裂してしまうという重大な副作用を持つことにショックを受ける医師(香村)、香村の開発した療法の副作用に目をつけ高齢化社会の解決に利用しようとする役人(佐久間)。
 医者が一人前になる過程で起こる医療ミスを何とか防げないかと考える麻酔科医(江崎)、

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四畳半神話体系

2008年出版(日本)
著作、森見登美彦  

 京都大学3回生の男子学生「私」が、入学当時に選んだサークルによって変わる運命を描く。1回生に戻っては違うサークルを選ぶを続けるが……。

「四畳半神話大系」は、アニメを先に観て、面白かったので小説も読みました。
 だからちょっと、アニメとごっちゃになったような感想になっています。

 読んでいて思ったのはこれはモラトリアムの小説なのだということで

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『人間失格』太宰治

『人間失格』太宰治

1948年出版(日本)
著作、太宰治 

(イメージ画)

 周囲におびえて道化を演じ続けた男の手記。

 太宰治の「人間失格」を読み返した。

 前読んだのは10代半ばだった。
 分かってしまう部分があったから葉蔵が好きだった。

 歳をとった今、自分にはこの小説を、書かれている通りに純粋に読むことはできなくなってしまった。
 でも真理だなと思うところはある。あとはやっぱり、文章はうまい。小説

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『楽園』2~悲しくて優しい物語~

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 ノアエディション(フリーペーパー社)に雇われている前畑滋子の元に、中年女性・敏子が訪ねてくる。敏子には夫はおらず、40歳を過ぎてから産んだ一人息子・等を事故で失ったばかりだった。敏子は等には超能力があったのではないかと思っており、滋子に捜査を依頼に来たのだ。
 等が生前に描き残した絵には不思議なものがあり、それがサイコメトラー能力のなせるものではないかというのだ。
 滋子はこ

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『楽園』~悲しくて優しい物語~

2007年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

 ノアエディション(フリーペーパー社)に雇われている前畑滋子の元に、中年女性・敏子が訪ねてくる。敏子には夫はおらず、40歳を過ぎてから産んだ一人息子・等を事故で失ったばかりだった。敏子は等には超能力があったのではないかと思っており、滋子に捜査を依頼に来たのだ。
 等が生前に描き残した絵には不思議なものがあり、それがサイコメトラー能力のなせるもので

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『楽園』3~悲しくて優しい物語~

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 ノアエディション(フリーペーパー社)に雇われている前畑滋子の元に、中年女性・敏子が訪ねてくる。敏子には夫はおらず、40歳を過ぎてから産んだ一人息子・等を事故で失ったばかりだった。敏子は等には超能力があったのではないかと思っており、滋子に捜査を依頼に来たのだ。
 等が生前に描き残した絵には不思議なものがあり、それがサイコメトラー能力のなせるものではないかというのだ。
 滋子はこれを

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『楽園』4~悲しくて優しい物語~

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 ノアエディション(フリーペーパー社)に雇われている前畑滋子の元に、中年女性・敏子が訪ねてくる。敏子には夫はおらず、40歳を過ぎてから産んだ一人息子・等を事故で失ったばかりだった。敏子は等には超能力があったのではないかと思っており、滋子に捜査を依頼に来たのだ。
 等が生前に描き残した絵には不思議なものがあり、それがサイコメトラー能力のなせるものではないかというのだ。
 滋子はこれを

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『楽園』5~悲しくて優しい物語~

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 ノアエディション(フリーペーパー社)に雇われている前畑滋子の元に、中年女性・敏子が訪ねてくる。敏子には夫はおらず、40歳を過ぎてから産んだ一人息子・等を事故で失ったばかりだった。敏子は等には超能力があったのではないかと思っており、滋子に捜査を依頼に来たのだ。
 等が生前に描き残した絵には不思議なものがあり、それがサイコメトラー能力のなせるものではないかというのだ。
 滋子はこれを

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『楽園』6~悲しくて優しい物語~

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 ノアエディション(フリーペーパー社)に雇われている前畑滋子の元に、中年女性・敏子が訪ねてくる。敏子には夫はおらず、40歳を過ぎてから産んだ一人息子・等を事故で失ったばかりだった。敏子は等には超能力があったのではないかと思っており、滋子に捜査を依頼に来たのだ。
 等が生前に描き残した絵には不思議なものがあり、それがサイコメトラー能力のなせるものではないかというのだ。
 滋子はこれを

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『楽園』7~悲しくて優しい物語~

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 ノアエディション(フリーペーパー社)に雇われている前畑滋子の元に、中年女性・敏子が訪ねてくる。敏子には夫はおらず、40歳を過ぎてから産んだ一人息子・等を事故で失ったばかりだった。敏子は等には超能力があったのではないかと思っており、滋子に捜査を依頼に来たのだ。
 等が生前に描き残した絵には不思議なものがあり、それがサイコメトラー能力のなせるものではないかというのだ。
 滋子はこれを

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『おそろし 三島屋変調百物語事始』~江戸情緒あふれる一作~

2010年出版(日本)
著作、宮部みゆき
 

 とある事情を抱えるおちかは、実家を離れて親戚の袋物屋・三島屋で奉公人として働いていた。悲しい事件に巻き込まれて心に傷を抱えるおちかは、人と接することを恐れていた。そんな中でたまたま藤吉という叔父の友達の話し相手をする事になる。藤吉にもまた暗い過去があり、曼珠沙華を異常なほど恐れていた――。

※ネタバレあり

『模倣犯』を読んで以来、宮部みゆき

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『模倣犯』(映画)~芸術は爆発だ!~

2002年公開(日本)
原作、宮部みゆき 監督・脚本、森田芳光
 

※ネタバレあり

 小説版『模倣犯』の感想が終わったので、映画版についても。小説版のネタバレも多く含みますのでご注意ください。

 映画版模倣犯は、原作者が試写会を途中退席したという噂(実際は空調がきつくてトイレに立っただけという話も)もあって非常にほめにくい空気がありますが、自分的には嫌いじゃないです。
 映画版から入っていま

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『模倣犯』宮部みゆき(1)

『模倣犯』宮部みゆき(1)

小説の感想です。

2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき

 高校生の塚田真一は、犬の散歩の途中、公園で人間の片腕を発見する。そこから明らかになる連続誘拐殺人事件。失踪したと思われていた女性たちは殺されていた――。片腕とは別に発見されたハンドバックの持ち主・鞠子の祖父、義男。事件のルポを書くライター、前畑滋子。犯人を追いかける警察、武上・秋津・篠崎……そして犯人たち。
 マスコミにかかってきた

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『模倣犯』宮部みゆき(9)~雑感・気になる点~

『模倣犯』宮部みゆき(9)~雑感・気になる点~

小説の感想です。

2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

 高校生の塚田真一は、犬の散歩の途中、公園で人間の片腕を発見する。そこから明らかになる連続誘拐殺人事件。失踪したと思われていた女性たちは殺されていた――。片腕とは別に発見されたハンドバック の持ち主・鞠子の祖父、義男。事件のルポを書くライター、前畑滋子。犯人を追いかける警察、武上・秋津・篠崎……そして犯人たち。
 マスコミにかかっ

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