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ラベンダー品種についての忘備録的な。

今年はホームセンターで買える学名不詳な品種やよくわからない苗を避け、しっかりした特徴があるラベンダー品種を試験的に植えていく方針です。
その上で品種の選抜にあたり、ラベンダーの知識を深めたのでこの記事を #ラベンダー図鑑 として使っていきたいと思います。



■Lavandula angustifolia

私は「アングスチフォリア」と呼んでいます。
ラテン語のAngusti=狭く+Folia=葉っぱangustifolia(細い葉っぱ)という意味でこの学名が当てられています。
"俗称"イングリッシュラベンダー、真正ラベンダー、コモンラベンダーなどと呼ばれるものがこれにあたります。
イングリッシュが付いていますが、原産地(品種化される前の原種が生えていた地域)は英国ブリテン島ではありません。

北海道や長野・東北など涼しい地域でよくみられるラベンダーの系統種で、3号濃紫4号おかむらさきのようにほわっと花穂が着くのが特徴。
植物学的には高山植物の性質を持つのですべてのつぼみで開花が揃う樹形が比較的コンパクトにまとまるミツバチを寄せるために特に甘い香りを持つといった生育特性がある系統種です。

アロマテラピーに使われる甘く美しい香りのラベンダーエッセンシャルオイルが採れる系統種でもあります。

トルーラベンダー(Lavandula angustifolia)

未開花のトルーラベンダー
開花したトルーラベンダー

いわゆるLavandula angustifoliaの原種"に最も近いラベンダー品種"。らしい。しかし英国で生まれた品種のようなので真偽定かではない。
とにかくなんの改良もされていないコモンラベンダーだそう。なので品種名も無し。(トルーという品種名の可能性あり)

というか一般的な薄色ラベンダーだよねコレ。貴様本当にトルーか?
→そもそものフランスの原種ラベンダー(Fine/フィーヌないしLavande sauvage/野生ラベンダー)は実に濃淡様々な株が発生し形質が安定しにくいことで有名なので何色のラベンダーが原種に近いか?は愚問とも言える…

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フラワーカードとはエラく容姿の異なった花を咲かせる

6/17 定植時のようす。
原種ラベンダーとしてヒロハラベンダー(L.latufolia)も植えててせっかくだし!ということで"コモン原種"とされるトルーを1株だけ試験栽培!
寒さや湿気にも強そうなのでとりあえず1本だけの注文。

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生育旺盛でしっかり頂芽徒長をみせている

8/26 植えてから2ヶ月半後のようす。
やっと花穂が発生した。が、なぜか白い。
まさか品種苗取り違いなんてことないよね…トルーホワイトという品種も一応は存在する。

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成長点が偏った肥大頂芽の花穂のようす。

9/17 植えてから92日後のようす。
白花品種かと思えば淡い紫色の花を咲かせた。何者なんだコイツは…謎は深まるばかりである。

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やはり大きく育っても薄色系ラベンダーであった

2枚上の画像→に写る未だ白い未開花の花穂を、11月雪の降る直前に収穫したもの。
形質が安定したのか、よりラベンダーらしい色と姿になった。
しかしいく年経てども薄色系ラベンダーである事は変わらなかったので、おそらく薄色園芸品種のcv. 'True' なのだろう。

1号ようてい(Lavandula angustifolia 'No1 Yotei')

3号濃紫早咲とはまた違った花穂の形となる1号ようてい
1号ようていの花冠を遠景撮影(21年ファーム富田-中富良野町)

1950年代から70年代にかけての北海道ラベンダーオイル生産史のなかで開花時期が「早咲き」に類された栽培奨励品種がこの1号ようてい。
紛れもなく南フランスからやってきたフランス原産品種。
歴史的に由緒ある、富良野エリアより一足先に商業栽培が始まったニセコの地のシンボルである羊蹄山をその名に冠している。

1950-60年代当時のラベンダー優良品種選抜の方針として、それぞれ開花期の違うオイルの量・品質ともに高収量品種を模索していたため、7月初旬に開花・収穫期となる早咲き性質をもつこの1号ようていが選抜された。

中咲き→2号はなもいわ, 遅咲き→4号おかむらさき

開花時期ごとに分けられた栽培奨励品種

個人的に、3号濃紫がこの1号ようていを基にして誕生したと捉えていたりもするが、どうやら北大と曽田香料の共同研究資料によると、3号濃紫とは開花期がカブった競合品種である、との見方説が濃厚。
外見が大きく違うので、実際は"競合品種"が正しいのかもしれない。

1号ようていのオイルの香りは北海道品種4種の中で最もクセが少なく軽やかで、香水などに適した性質を持つ。(トップノートで生きる香りのため)
しかし現在、栽培例が極めて少なく中富良野町ファーム富田でのみ数100株レベルでの栽培という稀少な品種となっている。
品種名にゆかりのあるニセコ地域での地域に根ざした栽培保護・振興活動が望まれる。

2号はなもいわ(Lavandula angustifolia 'No2 Hanamoiwa')

開花した2号はなもいわ
開花前のつぼみ状態はなもいわ2022.0708
2号はなもいわ(薄色)と3号濃紫早咲(濃色) の対比
3号濃紫や1号羊蹄と同じく"穂がまとまる"性質をもつ

北海道のラベンダー精油生産史において、4号オカムラサキのさらに3年後の昭和42年/1967年に「中咲き」栽培奨励品種に指定された品種。
品種名の由来は札幌市南区にある藻岩山から。曽田香料と北大の共同研究農園があった地から名を冠した、いわば札幌を代表するラベンダー。
紛れもなく南フランスからやってきたフランス原産品種。

花の形は1号羊蹄や3号濃紫と同じく穂先にまとまって花・蕾がつく性質を持っているが、開花時期はしっかり3号濃紫から半月ほど遅れ、遅咲き代表である4号オカムラサキの数日手前で花を咲かせるので中咲き品種に分類されている。
花の色は北海道の伝統品種中でもっとも色が淡く(薄色品種)、ポプリ(蕾)は白く薄紫なのに対して開花するととても鮮やかで明るい紫色の花絨毯をつくる。そこが2号はなもいわの魅力!

しかしポプリの色が薄い2号はなもいわは園芸的観点からすると見劣りする世間評価らしく、精油生産の時代が終わるとともに栽培数がめっきり減ってしまった。(作出→1967年、精油買取停止→1973とわずか5年しか普及の猶予がなかったため認知度が低い説もある)
今現在2号はなもいわの姿が見られるのは中富良野町ファーム富田やいくらかの宿根草苗木屋さんから苗木を買うなど、栽培地が限られ稀少なものとなっている。

2号はなもいわのオイルの香りは北海道品種4種の中で最も濃厚で美しく、ラベンダーブルガリアンのように香りに角が無く最も癒されるラベンダーらしい香りといえる。
しかし現在、1号ようていに並び栽培例が極めて少なく中富良野町ファーム富田で2面分の栽培という稀少な品種となっている。
品種名にゆかりのある札幌近郊での地域に根ざした栽培保護・振興活動が望まれる。

3号濃紫早咲(Lavandula angustifolia 'No3 Noshi Hayazaki')

23.07.01に開花した3号濃紫早咲
定植1年目の開花した3号濃紫早咲(5月植付)
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Fresh&Dry calyx

おそらく現在北海道全域で最も普及し植えられているラベンダー品種がこの3号濃紫早咲。

香料生産の歴史において、4号丘紫にオイル品質が劣ったことでブランド名を付けられなかった、北海道で作出された品種北海道品種なので寒さに特に強い。
しかし名前の通りつぼみ状態でも特に濃い紫色をしているのでコイムラサキ、あるいはノウシと呼ばれる。
品種の歴史的には紛れもなく南フランスからやってきたフランス原産品種。

一言で表すと観賞用品種。なので3号濃紫系統の枝分け・発展品種がホームセンターに売られる苗で多い。
花穂が穂先にぼわっとまとまって付く性質があるので見分けは簡単。
個人的に、特に洋焼き菓子のような甘い香りが強い品種だと思っている。
(どうやら多湿&高温に弱い性質を持っている可能性が指摘されている)

4号おかむらさき(Lavandula angustifolia 'No4 Okamurasaki')

未開花・つぼみ状態の4号おかむらさき(23.07.08)
3号濃紫と4号おかむらさきの比較

O号と付くのは北海道の農業試験場での試料ナンバーの名残で、栽培史的にラベンダーオイル生産用の品種として作出されたことがわかる。
ちなみに1号はようてい2号ははなもいわ(香料用選抜品種)
紛れもなく南フランスからやってきたフランス原産品種。

選抜試験での試験品種中最も大柄で遅い時期に開花・収穫期を迎え、採油量もそこそこ多かったので昭和39年/1964年に「遅咲き」栽培奨励品種に指定された。
(ややこしいが、他の選抜品種は本種4号おかむらさきの成績を100%基準として選抜されている)
北海道品種のなかで最も大柄に育ち、花穂が長くばらばらっと付く特性。
個人的に、アールグレイのような紅茶香がアロマ的特徴だと思っている。

中富良野町のファーム富田さんが手厚く精力的に栽培に取り組んでいる品種で、いわばファーム富田によって生み出されたブランド品種といっても差し支えない。名実ともに日本・北海道を代表するラベンダー。

ナナ・ナリサワ(Lavandula angustifolia 'nana Narisawa')

←3号濃紫 ナナ・ナリサワ→
開花したナナ・ナリサワ

北海道の成沢農園(比布町)で、3号濃紫から花穂が長い形質の部分を枝分けされ作られた。
3号濃紫の特徴を持ってるので寒さに特に強い!
花穂がまとまる3号濃紫よりぽろぽろと長く引き伸びたような花穂になる。
nanaが付いているので小柄にまとまる矮性種という意味。

この品種を精力的に・大規模に植栽しているのが札幌市中央区にある幌見峠ラベンダー園さん
名前こそ「バイオレットメモリー」と紹介されてはいるが、品種の遍歴的にも見た目的にもナナ・ナリサワが正解らしい。

2023.08.10 多湿にかなり弱い性質があることを確認。おそらく乾燥気候であるフランス品種直系の品種であるためかと思われる。

バイオレットメモリー(Lavandula angustifolia 'Violet memory')

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小樽の高橋農園で4号オカムラサキから色の濃い花芽を枝分けし作られた。
※由来については諸説あって、閉鎖間際の曽田香料/南沢試験畑で4号オカムラサキとなる品種の株列から特に花色の濃い株だけを避けておき、試験地閉鎖とともに小樽の高橋農園さんが引き取ったことで現世に受け継がれた、とも。
品種の遍歴的にはしっかり南フランスからやってきたフランス原産品種。


北海道品種を基に作られているため、寒さにめっぽう強い!はず。
その姿大きく長い穂はまとまってつき、オカムラサキとはまた違った様相をみせるが伸び方によって花粒のつき方がぽろぽろと伸びたりする。
オカムラサキと違って花穂の色がすごい濃い。花の色も濃い。
(どうやら白花品種もあるっぽい…?こっちの方オカムラサキっぽい)

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ドライフラワーにしたバイオレットメモリーと3号濃紫の違い。
バイオレットメモリーは明らかに花穂の色が濃い。濃紫は鮮やかな紫色。
そして花粒(ポプリ)の太さも違い、オカムラサキの遺伝をもつバイオレットメモリーのポプリは細身で6段に輪生している。
濃紫はまん丸っぽくつき、もしゃっと固まって短くつく。

経験則で述べるが、生花収穫した時の香りが3号濃紫早咲に比べて俄然良い。4号おかむらさきとどう差があるかは不明…。

ロングパープル(Lavandula angustifolia 'Long Purple')

最も右のラベンダーが本種'Long Purple'
開花したロングパープル

日野春ハーブガーデンさん(山梨県)で作られた品種。なので日本生まれの品種。(噂では英国品種同士をかけあわせて作出されたよう)
名前の通り花穂が長くボリューミーに育つ品種。かなり大柄に育つコモンラベンダーで、見た目がもはやラバンジン(Lavandula x intermedia)のよう。
花穂が長いと見栄えがすごいし、鑑賞目的やドライフラワーからのクラフトに向く。
葉っぱが細身という特徴もある。湿度降雨の多い本州で生き抜けるよう風通しの良い細葉になったのかな?と勝手に予想…

2023.08.10 多湿にも強い性質があることを多数のコモン品種と比較して確認した。恐らくイギリス品種から作出したラベンダーなのではないかと予想。

←ロングパープル 3号濃紫→

円錐形のように先端が尖り細まる花穂の形質をもっているよう。本来のシソ科っぽい形状だ。
※本州ではこれの矮小種としてナリサワという品種がいるそう?


アヴィニョン アーリーブルー(Lavandula angustifolia 'Avignon Early Blue')

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2020年度育てたアーリーブルーはその名単体であったが、21年に購入した苗は記憶でこれで間違いない!というほど同じ生花の強いフルーティな甘い香りが備わっている。とにかく甘い香りが特徴。
同じく早咲き・分枝性質が特筆されているので新芽がたくさん付き、枝分かれしやすく年内に何度も花芽を伸ばす特性持ち!

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21/05/01 定植時のようす。
ホームセンターでの¥327購入だったので、ハウス栽培だろうかもうすでに花穂がついている。
花穂の形状は前年のアーリーブルーと同じく、濃紫と違って先端部が尖る形状をとっているのがわかる。

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20/5/20 定植時のようす。
苗の時点でも妙にモサモサ感を感じる。もしや葉っぱの多さも分枝性質の所以なのだろうか?じっくり観察していきたい。

●冬越しで大ダメージを受けた
"下葉が落ちやすい"という表記も見かけることから、おそらく水気/蒸れが大の苦手!雪の下の湿度100%環境がダメだったっぽい。
2020~2021年は豪雪年であったため、長期間高湿度環境に晒されたからダウンした可能性も。

ホルゲイト(Lavandula angustifolia 'folgate')

北海道品種3号濃紫に酷似した特徴をもつ

L.angustifoliaの中で世界的に香りがよいとされる品種
乾かしてドライフラワー/ポプリにすると、より青みが深まる。
多花性と表記されることが多いので、精油を採ること考えたら都合がいいのかも。ホルゲイトは年内に何度も花穂を立ち上げる早咲き特性あり

アメリカワシントン州ウィドビー島のファームウィンド(Lavender Wind)やイギリスはロンドン郊外のメイフィールドラベンダー園でこのホルゲイトが大規模栽培されている。

紫色の枠内がホルゲイトの記載・解説

※英国王立園芸協会(RHS)の創刊するEncyclopedia Of Plants and FlowersでのLAVANDULA項にて本品種Folgateの記載を確認。(2023/02/03)
高確率で英国生まれの香料向きコモン品種であることが確認された。
英国での観察データによると、高さ75cmまで花茎を伸ばす性質を持つそう。

Encyclopedia Of Plants and Flowers(RHS)
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5/2 定植から7日後のようす。

ほぼ大きさ様子は苗の状態と変容ないが、新葉の展開がみられる。
成長点の緑色が鮮やかな部分がこれから伸びて枝穂となる部分。
真ん中の写真を見ると苗は挿し穂で殖やされてるんだなーとよくわかる姿。

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6/8 植えてから約1ヶ月後のようす。

6月に入る手前で花穂に色がつき、初旬でラベンダーの姿になった。
形態的特徴はやや背丈が高く3号濃紫のような花穂といった感じ。

ブルーマウンテン(Lavandula angustifolia 'Blue Mountain')

開花すると一気に青っぽい紫色に染まるブルーマウンテン(NZ品種)
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開花するまでは淡い立ち姿が特徴的なラベンダー品種

ニュージーランド産品種で有名なブルーマウンテン。
ミスキャサリンと張り合うほどのやや大柄な花芽に淡い花穂をつける。
「L.angustifoliaの中では最も濃い紫」という記載もあるが、実際のところ蕾の色は淡い系。
しかし一転、開花すると花びらが鮮やかな紫色をしており、美しい青紫色の花姿となる。(このホワイト品種もある)

来歴について、The genus lavandula(2002)によると、
ニュージーランド南島のセントラル・オタゴにてこの品種が発見されたもよう。ニュージーランド品種で確定。

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5/8 定植時のようす。

植えた当初はかーなり成長が遅く、3ヶ月経ったときに若干大きくなってきてる!と気づく程度の成長ペース。ジリジリ育つ感じ。
シーズン終わり頃には花芽を出すことなくとも、ほどほどの株サイズにはなっていた。※植えた初年度に花穂を伸ばすことはなかった。

平たく潰される形で雪に埋もれたが、地際に押し広げられることで写真のように株サイズが大柄になった。

ロイヤルパープル(Lavandula angustifolia 'Royal Purple')

'ロイヤルパープル' (23年撮影)
薄色のガクと鮮やかなライトパープルの花びらが特徴

名前の通り紛れもなくイギリス特産のオイル用ラベンダー。らしい。
まさにイングリッシュラベンダーのそれといえる代表的な大柄コモンラベンダーだろう。
1944年に下記ツイッケルパープルの代替品種としてミスキャサリンと同じノーフォークガーデンにて作出された品種だそう。
真偽怪しいがヤードレーのイングリッシュラベンダー(香水)がたくさん売られた時期と本品種の作出時期が近いことが関連性に挙げられる。

・・・なんかググると他の方々がアップしている本種の写真は、みな花穂がしっかりめの紫色なのにウチのはどうも薄色系…
20株ほど大量注文したが、お前本当にロイヤルパープルか?

ウチにいるRoyal purpleは凄まじく怪しい

トウィッケルパープル(Lavandula angustifolia 'Twickel Purple')

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1922年オランダ→英国に伝わり、同じく高性品種のロイヤルパープルと肩を並べる品種。大きい。花穂がラバンジンかってくらい大きい。
かつて英国ではロイヤルパープルの代用として扱われていた歴史があるそう。

日本ではなかなかレアで、
・植さっているものは長野県夢ハーベスト農場さん
・販売苗の扱いは島根県SORAMIMIハーブショップさん

が扱っていて、日本で手に入らないことはないけど、ひときわ目を引くその見た目ですぐに見分けがつく。こんな尖って穂が長い品種こいつしかいない。
2004年に発刊されたLavender The Grower's Guide(Virginia McNaughton)ではロイヤルパープル、メイレットと共に長穂品種として紹介されている。

マンステッド(Lavandula angusutifolia 'Manstead')

開花したマンステッド

由緒ある英国品種で、なんと1916年から存在が確認され、100年以上の歴史を持つ園芸品種ラベンダー。
イギリスの著名な園芸家ゲートルト・ジーキル氏によって作られたそう。
さすがは園芸品種ラベンダーで、薄色の穂から淡いブルーパープルの花を開く。
(苗付属の品種カードでは見た目紫色の普通なラベンダー写真なのにね)

英国の古典的なラベンダー品種で、遺伝が原種に近い? らしく、花を摘み取らないままでいると2世代目が育つタネをつくる。

そして、ニュージーランドのラベンダー協会が主催するオイルアワードでなんと2022年に銀賞を受賞している!(オイル品質も高いようだ)

マンステッド生みの国RHSではしっかり薄色品種であることがわかる

日本国内でマンステッドの苗を買うと高確率でマンステッドとは違った品種が来ることが多々あるようで、国内では品種の誤用が起こっている。
正しいマンステッドは英語圏で調べても分かる通り、園芸目的の品種であるため薄色の花穂をした品種が正解。

スパイカナナ(Lavandula ansugtifolia 'Spika Nana')

比較的大きく丸い葉っぱに長い間伸びした穂が特徴

英国生まれの品種。
「小さい、矮性」という意味のNanaが付いているのに、実際デカい。
かなりボリューミーに育つ。
一般的なコモンラベンダーの特徴を引き伸ばしたかのような特徴をもっている。


ボシスト

(画像なし)

オーストラリアのユーカリオイル蒸溜所で生まれた品種だそう。
ジョセフ・ボシストさんから名前が来ている。
香りが優れているそうで、花の色が薄めなので花粒は薄みどり。

フォーボーストーム(Lavandula angustifolia 'Foveaux Strom')

開花したフォーボーストーム

おそらく園芸品種なんだろう、あまり大きくは育たなかった薄色品種。
なので品種カードの写真は正解。
立ち位置としてはマンステッドやはなもいわよりも小柄で、白っぽい蕾から淡い紫色の花を咲かせる。

品種名に充てられている”Foveaux”について調べてみると、19世紀イギリス出身のジョセフ・フォーボー氏と彼の名前にちなんだニュージーランド南端のフォーボー海峡について出てくる。
ので、ニュージーランド品種確定で良いと思われる。

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6/17 定植時のようす。

苗木カードには花色の薄いラベンダーとして描かれている。はたして実際はいかに…!?
※植えた初年度に花穂を伸ばすことはなかった。

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2年目21/06/30のようす。

北海道品種'はなもいわ'にも似た淡い色の丸まった花穂をつける。
おおむねフラワーカードを反映している感じ!
4年ほど様子を見てきたが、どうやら小柄な園芸品種であるようだ。

イレーネドイル(Lavandula angustifolia 'Irene Doyle')

開花したイレーネドイル

アイリーヌドエルとも呼ばれる。
ガン医療界で有名なドクターの農園で生み出されたアメリカ品種。
甘くリラックスできるラベンダー香の中でも、柑橘系っぽい香りがするとされ、恐らくリモネンと呼ばれる香気成分が多いのかも。

がくと花びらの色合いが近く似ているので開花してもあまり印象の変わらないラベンダー。

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6/17 定植時のようす。

苗木カードには赤紫な開花の様子が描かれているが、果たして実際の開花花穂の姿はいかに…!?
※植えた初年度に花穂を伸ばすことはなかった。

スクリーンショット 2021-06-30 14.15.06
2年目21/06/30のようす。

フォーボーよりは濃い色の、ややシュッとした花穂をつける。

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2年目21/07/12 収穫時の比較。
開花期のイレーネドイル

花粒は細身なのでメイレットにやや似ていて、蕾と同じような色の花を咲かせる。
3号濃紫よりも株がコンパクトで、あまり大きくならないタイプのよう。
柑橘系と例えられる特徴ある香りなので、ポプリにしようと思う。

個人的に、ポプリが毛でフサフサしていない品種はオイル/精油の質が高い傾向にあるんじゃないか?と考察立てている。ミツバチを呼ぶ能力が高いということ。

アイスブルー(Lavandula angustifolia 'Ice Blue')


L.angustifolia中では最も花色が薄く、なおかつ青紫系に分類される英国生まれの園芸品種。
たいていホワイト系ラベンダーというと花色は薄ピンク系となる。

育苗農園の親木が調子悪いそうで、2020年苗木の取り扱いがない。
2022年ついに日本国内のナーサリーで親株が死んでしまったらしい。手に入らなくなった。

明らかに葉色の違う品種を2つ発見した

21年大量にロイヤルパープルを買った中にもしや?と思しき品種が紛れていた。葉っぱの色からして他のコモン品種に比べて真っ白い。
花が咲くのが楽しみだ…!

謎のコモンラベンダーだった

違った。。。何だコレ???残念ながらアイスブルーではなかった。

ミスキャサリン(Lavandula angustifolia 'Miss Katherine')

開花前のミスキャサリン

ピンク花ラベンダーといえばの代表的な品種だろう。
イギリス王家に由緒あるノーフォークガーデンにて作出された英国品種。
ミスキャサリンは大きいのに多花性・早咲き性である。そして比較的大柄に育つ部類。
2021年の豪雪に健気に耐えた。英国品種は雪や湿度に強い可能性あり。

L.angustifoliaで他のピンク系といえば濃紫ピンク、ココナッツアイス(中柄)、ヒドコートピンク(小柄)、ロゼア(size unknown)などがあり、ピンク・ホワイト花品種は調べるとけっこうあります!

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5/8 定植時のようす。
成長が旺盛なのだろうか、もうすでに花穂となるつぼみをつけた枝穂が伸びているものが多い状態で届いた。
ミスキャサリンという品種名からか育ち方に気品を感じるような優雅さがある。
そして何より葉が細い!他と見比べて細長い葉っぱなのをしっかり感じる。

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6/3 ミスキャサリンの花粒(ポプリ)いわゆるつぼみの状態
つぼみの先端が赤く染まり、ピンク花の特徴が出ている。
紫ラベンダーと違ってつぼみにはあまり色はつかないよう。

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6/8 ミスキャサリンの花粒(ポプリ)
ポプリは白っぽくなる特徴があるよう。おそらく花の色はしっかりしたピンクに色づくのだろうが、白いラベンダーというのも新鮮に感じる。

ココナッツアイス(Lavandula angustifolia 'Coconut Ice')

開花したココナッツアイスの花穂

ピンク系ラベンダーで個人的に2の次に思いつく品種。
主張の激しくない程度のピンク色だと思っていて、名前の割にピンク系ラベンダー。おいしそうな名前。香りは強いという記載をよく見かける。

ココナッツアイスはオーストラリア品種ニュージーランド品種とで作出地に2説あります。

ミスキャサリンと比べると、1番の違いはやはり株の大きさ。
ミスキャサリンが大柄なのに対して、ココナッツアイスは中柄となるよう。

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海外サイトにピンク系ラベンダーの生花比較画像があったのでコチラに引用。。。
https://bloominghillva.blogspot.com/2013/08/pretty-in-pink-lavender-that-is.html

■L.angustifolia (精油/芳香成分多い?品種)

ラベンダーメイレット(Lavandula angustifolia 'Maillette')

メイレット2年目の花穂
3年目/開花した花穂
同じく3年目の開花したMaillette
'Maillette'花穂の近影
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21年、真冬の2月に我が家にやってきたメイレット

現在フランスのラベンダー精油生産におけるL.angustifoliaの中で最も栽培される品種であるそう。紛れもなくフランス原産品種。
精油の香りは北海道品種と比べると2号はなもいわに似る…個人感想。
「メイレット」は日本人の誤読で、正しい仏語読みだと「マイエ」。略称は"maylet".

外見的特徴としては、英国品種や現在日本で出回る多くのラベンダーの花穂とはギャップを感じる"細身な萼=つぼみ"なのが特徴。
なので園芸的観点からすると評価が低いらしく、日本での苗木流通も途絶えてしまっている。
開花期は中咲き傾向。なので2号はなもいわと同期する。中柄に育つ。

'Maillette'の歴史はイタリア系のメイエさんが作出し、ある論文では1955年には存在が確認さていた。なのでかなり古典的な'栽培品種'といえる。
当時のL.angustifolia栽培主力は①Maillette②Matheronne③Fragrans。
1980年代頃は仏産コモンラベンダー精油の実に50%ほどがこの品種の精油/香りだったそうだ。
れっきとした野生種(Lavande fine)からの選抜種であるとどっかの論文に記されていた。

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日本においては希少な品種のようなので冬のうちに苗を確保!

2021 2/8 屋内栽培開始時のようす。
市場にメイレットが再販されたのは実に2年ぶり!いやぁ〜待った!!
ネットのレビュー記録の最後が2018年だったから、新しい苗の養生期間だったのだろう。やはり株の希少性、人気度たるや。
苗の販売は暖地の本州なので、またしてもすぐ売り切れる可能性を心配して5月まで待たず厳冬の2月に購入した。なので経験のないラベンダー室内栽培がスタート…。
どうみても葉っぱは冬眠していないし、ある程度温かい環境で育てなければいけない。

めちゃくちゃ小さいし葉っぱも冬眠していない。ただラベンダーは乾燥には強いので、温度管理と光条件にさえ気をつけていれば失敗はしないだろうと予想!5月まで生き延びさせます。
→外に出した5月時点ではまだ寒く枝が一旦木質化。8月に用土の窒素栄養分を獲得し始めたのか、ぐんぐんと伸び始めた!


・ラベンダー センティヴィア(Lavandula angustifolia 'Sentivia')

大型ホムセン(ジョイフルAK)でコイツが売られているのを見た!
当時、名前からして北海道で扱われている品種ではないんだろうなぁーと怪しんだため買ってはいない。
調べてみると、農薬業界世界大手のsyngenta(シンジェンタ)で作出された香りを強くする改良を施した品種だそう。精油をアテにするならば買っておけばよかった。
(→が、しかし…さらに香りの強い改良品種アロマティコがあった。後述)
加えて普通のL.angustifoliaよりは耐暑性が備わっているそう。

アロマティコ(Lavandula angustifolia 'Aromatico')

猛暑&多雨の23年8,9月を経て大きく育ったアロマティコの花穂
同じく同23年の9月に撮影したよく育ったアロマティコの花
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鉢植えで小柄に育てられているアロマティコ(2020年)

上述センティヴィアと同じく農薬大手のsyngentaが開発した品種。センティヴィアをさらに改良し、香料成分リナロールを40%も増やした後発品種…すごい含有量…(そんなに増やすと60~80%超えになるけど大丈夫そ?)

触れ込みがマジならば蒸留用にセンティヴィアよりこっち買った方がマシだと思う。新しい方が優れているに決まっているだろう!
ベーシックなL.angustifolia種より有用成分多いならオイル作るときにおトクだよね!と思う。(オランダからの輸入品種っぽい)
※3号ポットですら¥1280とやたら値が張る。

早咲き性で、花を摘むと脇芽から次の花芽がどんどん上がってくる性質を持つ。ひたすら花を摘む用に改良されたのかな?

暑さと湿度に強いそうですよ!→暑さに強いに確信した。詳しくはコチラ23年の記事参照

■Lavandula latifolia

学名はラティフォリア。俗称はスパイクラベンダーやスパニッシュラベンダーなどありますが、私はヒロハラベンダーと呼んでいます。
ラテン語でLata=広い,Wideの意味なのでLata+folia→Lati folia=広い葉っぱという意味。

フランス人は本種をアスピック(Aspick)と呼んでいます。
「花言葉」が発明された当初に記載されたラベンダーの花言葉はこのヒロハラベンダーを指す言葉(疑念,不信/Méfiance)でした。→花言葉について記事
理由としては、都市部や人々の生活圏に近かったラベンダー属植物といえばこのヒロハラベンダーであった(コモンラベンダー/L.angustifoliaは高山性のため稀少であった)ようで、アスプ(毒蛇)が株下に隠れていると恐れられていたからだそう。
のちになってコモンラベンダー/L.angustifoliaからも「冷静」「沈着」「永遠にあなたを待つ」等の花言葉が追加された。
(しかし複数系統を含むのに対してラベンダーと一括りにされているので意図紛らわしく注意)

コモンラベンダーと本種のハイブリッドで、精油生産種であるintemedia(ラバンディン系)の交配基となった種。湿布のような強烈な薬品臭(樟脳)が特徴。
コモンラベンダーとは精油組成が大きく違い、リナロールは多量に含むが酢酸リナリルはほぼ含まず、1%以下であることがほとんど。そして1,8シネオールも多量に含む。

南欧のスペイン、ポルトガル、地中海沿岸部(低地)が原産地(対して一般的なL.angustifoliaは冷涼な山の上)。
ミツバチによって本種-コモン系との自然交配が起こり、自然界でも多くのパターンのラバンディン(x intermedia)が発生する。
詳しくメカニズムを解説すると、ミツバチが高標高地で先に開花したコモンラベンダー(L. angustifolia)の花粉をつけて低地のヒロハに受粉させ、ヒロハにハイブリッドの種子が実る仕組みだそう。
その逆は生殖隔離(2種の開花時期に前後がある)があり、ごく稀らしい。

ヒロハラベンダー(Lavandula latifolia)

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園芸的にはあまり見栄えしない大柄のラベンダー系統種。

intemedia(ラバンディン系)の基となった種。そしてなんの改良も加えられていない原種
呼び方は業界それぞれで、ラチオーリアスピカスパイクだったりで混乱しやすい。学名(Lavandula latifolia)で覚えると区別しやすくわかりやすい。
L.latifoliaは本種1種だけ…と言いたいが、近年香りの分析でスペイン国内でいくらかのケモタイプが発見されているので、いずれは亜種(ssp.)が現れるかもしれない。

和名は葉っぱが大きいのでヒロハラベンダーとも。学名のLati-foliaもラテン語から英語に直すとLage leafとなり、大きい葉の意味。
穂先に花茎がピョーンと突き出ているのでスパイクラベンダー

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葉っぱがデカい。

5/8 定植時のようす。
葉っぱが大きいのが一目瞭然。そしてサイズもデカめ。
あまりの形態の違いに初めて見た人は驚くかもしれない(笑)
花穂の背丈も高く、樹高1mを記録した。

7/30にヒロハラベンダーが開花したぞー!というレポート記事⤴︎⤴︎
花のようすは記事を参照くださいっ!

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栽培開始から2年の2022年に5株全滅した。

北海道の積雪地では越冬できなかった。5株中5株がしっかり枯れた!
おそらく、南方植物の性質を持つので長い積雪期の低温環境に耐えられなかったのだろう。

■Lavandula x intermedia

花穂形状が大きく違う

L.angustifolia(コモン系統)L.latifolia(ヒロハラベンダー)を掛け合わせて精油採り用に作出された改良品種。
学名にx intermediaが入る。ラバンディン系と呼ばれる。
花穂形状に特徴があり、長い三角形のような花穂のつき方をする。
そして背丈が長く育つのでヨレヨレっと横倒しになったりもする。

コモンラベンダーとは違ってL.latifolia由来のカンファー/樟脳という湿布臭い成分を花部にも含み、目を醒ます・興奮作用がある。なので中国語では『目醒薫衣』と表記。
遺伝的にヒロハ寄り(LX-LL)かコモン寄り(LX-LA)かの品種があり、それに準じてオイルの香りも大きく変わる。例.'Super'はLX-LA。

ラバンジン グロッソ(Lavandula x intermedia 'Grosso')

紫色の濃いラバンジン・グロッソの花穂

品種改良史のなかで有名なグロッソさんが1972年に普及させた耐病品種。
フランスの精油産業中で作出されたのでフランス産ラバンジン。
フランスでは1960年代にラベンダーの立ち枯れ病が流行しはじめ、病気や気象害に強い品種を望まれて半ば淘汰的に本種グロッソが選抜された。グロッソが主力となるまではアブリアルという品種が栽培種の主力だった。
香りは「ラバンジンの中で"甘くフルーティ」とよく説明がなされているが、実際は樟脳感がかなり強いタイプ。

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2年目21/06/30のようす。
花穂のつけ根、花首がやや赤くなる。花色が赤っぽいらしいのでその色素?


ラバンジン スーパー(Lavandula x intermedia 'Super')

わが園のL.x intermedia 'Super'①
わが園のL.x intermedia 'Super'②
わが園のL.x intermedia 'Super'③

さまざまな国や地域によって「Lavandin 'Super'」とされながらも実はOOだった!というパターンが多いようだ。ラバンジンながら低樟脳であるのが本種の香りの特徴だそうだ。しかしフランス現地の流行病にはとても弱い品種だそう。
フランス語で読むとラバンダン シュペール/Lavandin 'Super'となる。

正しいシュペールは、1950年代のフランスでオイル生産種の第一線であったラバンジン・アブリアルという品種(あまり改良されてなかったらしい)に取って代わった、次なるラバンジン改良・選抜品種がこのスーパーだそう。
遺伝的にコモン寄りの性質が強い為か、香りがグロッソやアブリアルとは大きく異なり、低樟脳で甘く癒される香りがする。

2023年、中国で本種’Super'の全ゲノムが解読された。以下その論文。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/pbi.14115


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グロッソとは違う性質をみせている

2年目21/06/30のようす。
グロッソよりもさらに花首が赤いので、花の色がさらに明るく赤っぽい色をしてるんだと思う。

【上・グロッソとスーパーの見分けポイントにまつわる記事】

品種目無し謎ラバンジン(L.x intermedia '????')

ホムセンで売っていた、人生初ラバンジン苗!の観察。
品種名がなかったのでラバンジンの原種!とはならない…ラバンジンはハイブリッド種なので原種が存在しない。

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5/1に定植してから1週間のようす。

いちばん高い真ん中の枝にすでに花芽が発生している。
株自体はまだ小さいのでそこまで大きく伸ばさないだろうが、どんな花穂がつくのか楽しみだ。

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6/3のようす。
半月ほどたつとグングン穂を伸ばし、コモン系統種とはいえないラバンジン特有の成長を見せる。初めて見ると花芽のあまりの長さに驚く!

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6/8の穂のようす。

緑色の苞葉から身を乗り出すように膨らみつつある蕾にうっすら紫色の色づきが。この部分がラベンダーパープル色のポプリになる。
背丈が異様に大きくコモン系統のラベンダーとは大きく違った形態であることがわかる。

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6/29 定植から60日後・収穫時のようす。

花が咲く直前だったのでいよいよ満を持して収穫!
草丈57センチと高くなり、コモン系統(L.angustifolia)とは違った形態を見せつけてくれる。(脇芽が2対ビョーンと出るのはL.latifoliaの優勢遺伝)
香りは湿布臭とまではいかなくともスーッとするスッキリした香り、一般的には樟脳カンファー臭と例えられる。

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10/19のようす。寒くなり成長が止まったようだ。

よくぞ枝4本からここまで大きくなった!来年花の数が凄そう!
※ラベンダーは必ず2対で新芽を出して枝分かれするので、計算で花/精油の収穫量を定量化できそうだったりする…

(蒸留抽出した香り的にグロッソなのではないか?と疑っている)

ラバンジン ボゴング(Lavandula x intermedia 'Bogong')

ラバンジン・ボゴングの花穂

いろんなサイトを見ても大きく育つという特徴が必ずと言っていいほど書かれてるので、大きく盛んに育つx intermedia(ラバンディン系)のなかでも最も大きく育つ品種なのかもしれない。

詳しく調べてみると、品種名の”Bogong”は南オーストラリアのアボリジニ文化において重要な意味をもつ語のようです。
南オーストラリアのある地域に特有している語なので、恐らくその辺りで作出されたラバンジン品種なんじゃないかと推察しています。

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5/15 定植時のようす。

デッカイデッカイと言われる割にはちんちゃこい苗木で届いた。
特に大きく育つそうなので抜かりなく特性花壇を用意。
葉っぱの大きさはヒロハラベンダの遺伝を持っているはずだけどコモン系(L.angustifolia)と似てそこまで大きくない。どういう成長を見せるかとても楽しみ!

※植えた初年度に花穂を伸ばすことはなかった。

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2本のみなので怪しいが片方が冬越しで大ダメージを受けた。高湿度環境に弱い可能性。

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2年目21/06/30のようす。
少雨と暑さで穂先がバテてヨレっとしてるが、ゆうに高さ60センチを超えている。(標尺が60cm)
やはり当初大きくなること予想して構えた特製花壇だけど、見事に飛び越えられている。

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2年目21/07/12 収穫!

注目したいのはポプリ(花粒)の形状。ラバンジンの中でも特に丸みを帯びていてコロコロっとした花粒をつける。色は淡いけど濃紫っぽさを感じた。
実はボゴング、あまり香りがない。オイル成分が薄いのかな?

ラバンジン  グロスブルー(Lavandula x intermedia 'Gros Bleu')

3号濃紫がそのままラバンジンになったような色をしている

本種に関する情報がかなり少ないが、フランス原産の園芸品種らしい。
品種名がフランス語綴りであり、Gros→大きいを表す前置詞 Bleu→青いとなり、名の通り青色みが深いことを表す品種名となっている。
英語にGrosの単語は無いらしいのでグロスブルー読みは完全に日本人の誤読。正しくはラバンダン グロブリュ(Lavandin 'Gros Bleu')となる。

日本で手に入るL. x intermediaの中でつぼみの時から最も濃い紫色の品種とされる。 花をたくさんつけて旺盛に育ち、かなりの遅咲き品種なので気候が良ければ9月まで花を見られる。

ヒドコート・ジャイアント(Lavandula x intermedia 'Hidcote Giant')

定植1年目のラバンジン・ヒドコートジャイアントの花穂

アメリカやカナダのラベンダー農園では当たり前のように植えられているラバンジン品種。ウクライナの論文によると、1958年にイギリスで香料目的で作出されたとある。
花穂がモリモリと太く育っている写真をよくみかける。
なんかSORAMIMIハーブさんにこの苗木があったのですかさず買ってみた。
花の数が多そうなのでオイルもたくさん採れるっぽい。品質は期待できなさそうだけどネ。

スコティッシュコテージ(Lavandula x intermedia 'Scottish Cottage')

22年開花したスコティッシュコテージ

多花性でラバンジン系統ながらコンパクトに育つ性質を持つとされている。
「日本の気候に合う」という説明がなされていることもあり1株購入した。
梅雨台風などの湿気に強いのかな?と思っている。

噂によるとファーム富田(北海道-中富良野)で栽培されているラバンジンはこのスコティッシュコテージかグロッソか、両種のハイブリッドらしい。

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2年目21/06/30のようす。
越冬ダメージをさほど受けず、2年目にしてしっかり花芽を伸ばしている。
その高さ50センチを超え、その他花芽を伸ばしているラバンジンの中で最も成長が早い。

ラバンジン  ディリーディリー(Lavandula x intermedia 'Dilly Dilly')

(画像なし)

ニュージーランド品種。x intermediaのなかでも小型株だそう。
南半球ではオーストラリア、タスマニア島、ニュージーランドがラベンダー栽培地として有名。特にニュージーランドは養蜂も盛んなのでこのラベンダーハニーがよく作られているかもしれない。
噂によると、Sussexという英国品種がNZで名を変えディリーディリーとなっているそう。

■ホワイトラベンダー品種

ラベンダーは花の色素の濃淡で紫→薄紫orピンク→白と花の色をコントロールすることが可能なようです。
3色揃っているヒドコートや濃紫などのように、同じ品種でくくられるピンク花/ホワイト花品種もあるようです。
そんな中でも手に入りやすくわかりやすい、代表的なホワイト品種について列挙していきます。
大きくは分けませんが、順序はコモン→ラバンジンの並びとします。

高橋ホワイトラベンダー(Lavandula angustifolia '????')

開花した高橋ホワイト
4年目株だけどそんな大きくは育たない

北海道は小樽市の高橋農園さんで生産されている小型の白色ラベンダー。
たまにピンク花の苗が混同していたりする(笑)
北海道のホームセンターでは見ないことがないほどの高い販売シェアを誇っている。

なんの種から作られたのかはわからない(Hidcoteからの実生選抜品種かなぁ)けど特に園芸向き品種のようで、あまり大きくならない性質を確認している。
これはおそらく高山植物の性質を持つコモンラベンダーの優勢遺伝が株サイズに現れている結果だろうと思われる。
大きいホワイト品種をお求めならばオカムラサキホワイトをオススメするよ!

オカムラサキ ホワイト(Lavandula angustifolia 'Okamurasaki White')

オカムラサキホワイトの花穂

かの北海道ラベンダーの香料品種代表格である4号オカムラサキの白化品種。
長らく栽培されてきたならその過程でアルビノ花も当然出現するよねっていう。
園芸的位置付けでは、大柄のホワイト品種。

オカムラサキ(Dried)とオカムラサキ ホワイト(Fresh)の比較。

当然オカムラサキの性質を引き継いでいるので、花穂は長く付き、大柄に育つ。

4号オカムラサキは精油の品質が優れていると1967年に確認され、1991年にフランスのラベンダーオイル品評会で優勝するほど優れた東洋のラベンダー品種となっている。
ならばそのホワイト品種では精油の品質はどうなのか?を現在調査研究中。

トルー ホワイト(Lavandula angustifolia)

(画像なし)

コモン系統の原種とされるトルーラベンダーのホワイト品種。
「原種のラベンダーでもホワイト花あるのか」と思うと、アルビノ的な色素なし花が代々引き継がれて存在してるのかもしれないし、トルーでも花の色を無くすだけの改良を施したのかもしれない。

ヒドコート ホワイト(Lavandula angustifolia 'Hidcote White')

(画像なし)

性質はL.angustifolia 'Hidcote'と全く同じで矮小品種らしい。
そしたらあまり花やオイルの収穫量は期待できないよねって事で完全観賞用品種に位置付けられるのかもしれない。
ヘタにデカくはならないと思うので、可愛らしいインテリア雑貨などの製作向きだと思う。このピンク品種もある。

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・矮小性 ・香りがあまりない という性質を持った品種名のないラベンダーがあるのでこちらに配置。ヒドコートに似通った性質を持っている。
ホワイト花品種はポプリが薄い緑色、ピンク花品種はプラムレッドに染まる。花の色はさくら色といったところ。意外と色がついている印象!

2年株を観察していると、やはり年1度しか花穂を立ち上げなかった。
地を這い半円のような株になる。

ブルーマウンテン ホワイト(Lavandula angustifolia 'Blue Mountain White')

(画像なし)

ここ最近で市場在庫をたくさん見かける品種。名前だけ聞くと白っぽくはないんだけど。
上記ブルーマウンテンのホワイト品種で、花も多くつくし花穂長いという特徴を備えたコモン系統ラベンダー。園芸品種としては最適だよね。だから多いのかな?

アルバ(Lavandula angustifolia 'Alba')

(画像なし)

アルバのみだとわかりにくいのでイングリッシュ系(俗称)のアルバということで「イングリッシュアルバ」の名前で販売されているものがほとんど。
なので正式名称はアルバになる。
しかしアルバよ、君は本当にL.angustifoliaか?
みなさまの育てられている写真を見るとラバンジン系のようにみょーんと伸びて花穂も尖っているっぽいけど...
さらに性質が「イングリッシュ系の中では暑さにも強い」なんて書かれてるの見るし。ラバンジンなのではないかと私は疑っている。

ラバンジン ロングホワイト(Lavandula x intermedia 'Long White')

開花したロングホワイト

名の通りラバンジン系統のホワイト品種。なので穂が長く尖り、猫じゃらしのようなみょーんとした立ち姿になる。
ポプリも花びらも純白で美しい品種!

※海外に'LongWhite'という学名はHITしなかった。代わりにL.x intermedia 'Alba'/アルバという白花ラバンジンはみられた。多分コレか?

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ラバンジンなので葉っぱがデカい。

6/17 定植時のようす。
ラバンジン系統のなかでも葉っぱが大きめの状態で届いた。
どこかヒロハラベンダー(L.latifolia)っぽさを醸し出すイデタチ。
※植えた初年度に花穂を伸ばすことはなかった。

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2年目21/06/30のようす。
ラバンジンの白色品種なのでグロッソやスーパーのように花首は赤くならない。


ラバンジン エーデルワイス(Lavandula x intermedia 'Edelweiss')

(画像なし)

こいつをコモン系統/L.angustifoliaでくくって販売しているサイトがあったので注意!れっきとしたラバンジン系です。
ロングホワイトに比べて花粒(ポプリ)の状態が開花前だと青っぽい。緑色の花穂になってしまうということ。
しかし花穂はしっかり長いようで花粒の数(花つき)も多そうなのでボリュームのある開花が楽しめそうですよ。


採油について。about the Lavender Oil.
香料(精油)の質は
L.angustifolia > L.latifolia > intermedia となるそうで、匂いのキツさか?
しかし採油量は
intermedia > L.latifolia *-3> L.angustifolia となる。
しかし他の精油可採植物よりもラベンダーは3倍ほど歩留まりが大きい。

スクリーンショット 2021-06-30 12.41.11
画像1

以上!

ラベンダーの系統ではストエカス系(うさぎの耳)やデンタータ系(葉っぱがギザギザ)など他にも形状差のあるものもあるのだけど、私のラベンダー栽培の目的の延長線上に二次加工品の製造という目標があるので、主にオイルや色の良い一般的なラベンダーを育てることとしています。

今年はこの表を作った中の品種で道央地域(豪雪地)での試験栽培年としたい。さらに来年度(2021年)から優良な結果の見えてきた品種から大々的に栽培をスタートしていきたい考えです!

さまざまな色・香りに特徴の分かれるラベンダーでいろんなオーガニックソープやアロマサシェ、バスソルトなんか作ってみたいですね٩( ᐛ )و

4月現在は未だ1種類のみですがラベンダーの粉末を販売しています!
パンケーキに若干混ぜて香りをつけたり、紫色のエキスを抽出してカクテルを作ったりしていますbb

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若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。