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「ハーバードの人の心をつかむ力EDGE」 ローラ・ファン


「エッジをつくりだす」とは、不利な形勢を逆転し、独自の強みに変えることを指す。」



「ハーバードの人の心をつかむ力EDGE」 ローラ・ファン



「頑張っていれば、
いつかは報われるよ」
と慰められたことがあります。


本当にそうでしょうか?


頑張っても、頑張っても、
報われないことの方が
実際は多いのではないでしょうか?


この本のはじめに、著者のローラ・ファンさんがこう語っています。

がんばっていれば、報われる(こともあるが、そうとはかぎらない)。


本当にそうとはかぎらないと思うのです。


それはどういうことかと言いますと、〝頑張りプラス〟が必要だと言うのです。


それが


表題にあります「EDGE(エッジ)」


この本の最初に、EDGEの象徴的な話がありました。


ローラさんが、民間の宇宙ビジネスに関するリサーチに取り組んでいたときのこと。


そのことを知っていた友人が、幸運なことに、スペースXとテスラの創業者イーロン・マスクに会う機会を得たのです。そして幸運なことに、ローラさんを同行させてくれたのです。


なぜイーロン・マスクと会うことが、それほど「幸運なこと」なのか。


イーロン・マスクは、面談の約束をとりつけるだけでも至難の業なのだそうです。


そのうえ

本書を執筆している時点で、イーロンの純資産は約202億ドル。控えめに計算したとしても、彼の1分間には数千ドルもの価値がある。


たしかに、会うのは至難の業です。


しかし


その面談は30秒も続かぬうち


「ノー。出ていってくれ」
とイーロン・マスクは二人の顔を見て言うのです。


「まさか、ウソでしょ。」
とローラさんは思いました。

けれど、私たちはそこで落ち着きを失わずに、なんとか踏ん張った。

そして、たった30秒で悲惨な結末を迎えそうになった面談を、1時間にもわたる活気ある話し合いに変えることができたのである。


なぜ、イーロン・マスクは「ノー」と言ったのか?


なぜ、ローラさんたちは形勢を逆転させられたのか?

それは、私たちが「エッジ」(EDGE)を獲得したからだ。だからこそ、わが国有数の富豪かつ権力者の優位に立つことができたのである。


ローラさんは


「認識」には、とてつもない影響力があることを知っていました。


イーロン・マスクは二人を見るなり、友人の手元(持参したプレゼント)に視線を向けました。


それに気づいたローラさんは、イーロン・マスクが自分たちのビジネスの「売り込み」か「カネの無心」に来たと察知したのです。


そこで


ローラさんは「クスクス笑い」から「大声」で笑い出しました。


それから、せき込むようにして

「私たちが・・・・・・売り込みにきたと・・・・・・思われたんですね?(ここで我慢できずにまた笑い声をあげる)

私たちはおカネを無心にきたんじゃありません・・・・・・そりゃ、あなたはお金持ちかなにかなんでしょうけれど」


今度はイーロン・マスクが腹の底から笑いはじめました。ツボに入り笑いました。


そのあとイーロン・マスクと「夢中になって話し合いができた」とローラさんは語っています。


形勢を逆転できた「エッジ」とはいったい何なのでしょうか?


彼女は前述したとおり、「認識」がとてつもない影響力を持っていることを知っていました。


イーロン・マスクはとても忙しく、カネの無心にきた人間と話をする価値はないと考えていたといっていいでしょう。二人もそういう認識で捉えられ、いきなり「ノー」と言われたのです。


「カネの無心にきた人間でない」とわからせてからは、彼を楽しませることができました。彼の心の扉を開けることができたのです。

「エッジをつくりだす」とは、不利な形勢を逆転し、独自の強みに変えることを指す。

EDGEを獲得できる人は、相手を豊かにし(Enrich)、楽しませ(Delight)、こちらが望む方向に誘導する(Guide)ことができるうえ、このサイクルを繰り返して、いっそうの努力を続ける(Effort)。よって、本書の核をなすのは、この4つのキーワードだ。


ローラさんは、台湾出身のシングルマザーにアメリカで育てられました。子どもの頃からアジア系の女性であることで、さまざまな偏見の目を向けられてきました。


だからこそ、がんばっていれば、報われる(こともあるが、そうとはかぎらない)という言葉が身に染みているのです。


そして、勝手にレッテルを貼ってくる人に対して、EDGEを使い形勢を逆転させてきたのです。


彼女のお母さんも移民として、アジア女性として常に偏見にさらされてきました。


そんな彼女のお母さんの話も、EDGEを使って形勢を逆転したお話でありました。


ローラさんのお母さんは、アメリカで勉強するための奨学金を獲得して、アメリカにやってきました。


彼女はアメリカに来てからの生活費はなかったので、働かないといけません。


「英語が話せなかった母は、仕事探しも難しかっただろう」とローラさんは語っています。


そんな彼女は賃金がもらえて、その上、アパートまで提供してもらえる仕事を見つけます。


宝石店の販売員。


彼女は宝石が好きだったというわけではありません。ただ、アパートがついていたという理由だけで、その仕事をすると決めました。


ただし、条件がありました。


毎月、宝石の売上げにノルマがあり、「そのノルマの金額を販売できたら」という条件付きでした。


彼女は努力しました。
夜遅くまで店を開けて奮闘しました。


・・・が、売れない。


片言の英語しか話せない販売員から、
宝石を買いたい人などいなかったのです。


彼女は考えます。


それまではお客様が店に入ってくるやいなや、いそいそとお客様に近づいて行きました。


しかし、それからというもの


彼女は正反対の方法をとったのです。


お客様に対して、まったく無関心を装ったのです。

いままでは宝石に関して知識があるところを披露していたのに、私には石の品質や希少性を判断するほどの専門知識はないんですが、美醜だけは見分けがつくんですと、ジョークを飛ばすことにしたのである。


すると


数週間後、彼女は店で一番の売上を誇る店員さんになったといいます。


顧客がつき、その顧客が友人を連れて来ては言いました。

「ほら、こちらが例の生意気で皮肉屋の店員さんよ」


彼女は移民として、アジア系女性として、常に偏見にさらされてきたことを逆手にとったのです。固定観念を覆したのです。


「従順でうやうやしい従業員」を
「生意気で皮肉屋の従業員」に。


それは


「宝石を買う決断を下す上での盟友になった」
とローラさんは語っています。

まずは相手を驚かせ、楽しませるからこそ、心の扉をひらいてもらえる。


人生は不公平です。
不公平だらけです。


でも


エッジを身につけると、形勢を逆転できます。クロスカウンターを打ち返せることができます。その破壊力は何倍にもなるでしょう!


EDGEとは、相手を豊かにし(Enrich)、楽しませ(Delight)、こちらが望む方向に誘導する(Guide)こと。このサイクルを繰り返して、いっそうの努力を続ける(Effort)こと。


そうすると


がんばっていれば、
報われる(ことが大いにある)



【出典】

「ハーバードの人の心をつかむ力EDGE」 ローラ・ファン 栗木さつき訳 ダイヤモンド社


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