ズレから産まれる創造力:考え方とトレーニング
人は想像できるものしか想像できない。
博士課程まで進んだ言語学の分野で、1番に習ったのは非文法的な文の作り方。それがとても印象に残っている。
「では、みなさん非文法的な文を今から話してください。」
と言われて、日本語を母語とする話者は、意味が分からない&非文法的な日本語を話すことはできない。
*マグカップはマンガがいます。
こんな意味が分からない非文法的な日本語を、5秒内に言える人はいない。
これが示すのは、人は想像でき、意味が通じる範囲のものしか、言語化できないということ。
ちなみに非文法的な文を作成する一番簡単な方法は、無理やりズラすこと。
A:私はここにいます。
B:マグカップがある。
C:私はマンガが好き。
AからCを無理やりに組み合わせると、完成する。
人は想像できる範囲のものしか、想像できない。
なら、話を戻して、自分の想像を超える創造力を作り上げるには、どうすればよいかというと、やはり、無理やり観点をズラして、組み合わせること。
例えば、リンゴに合う食材について考える。
普通に考えれば、クリームチーズ、シナモンなど合いそうなものしかでてこない。出てくるのは、みたことのあるものばかり。
しかし逆にリンゴではなく、ごはんに合うものを考えてみる。
梅干し、おかか、しらす、昆布、などとでてくる。
そして、それをリンゴに当てはめる。
リンゴ+梅干し、リンゴ+おかか、リンゴ+しらす、リンゴ+昆布
どんな味になるのだろうか。本当に合うのか??いや、分からない。
もうそれは未知の領域。
視点をずらすと、新しい想像やアイデアが産まれる。
中高生の指導にあたり、私のなかで特に伝えたいことはのは何かと聞かれると、その1つがこの思考法だと思う。
中高の教育の中で子どもたちは、色んなテーマで物事を考える。だけど1人で考えていてもなかなかアイデアが生まれてこないことがある。
そんな時は、とにかくズラす。小論文等でアイデアが出てこなかったら、下のような表で無理やり当てはめて考える。
そういうトレーニングをすることで、多面的に分析して物事をみる力が養われ、自分がどういう観点で社会をみているかが分かってくるのではないだろうか。
人は想像の範囲内でしか、想像できない。
ならば、その想像を超えるには、無理やり観点をズラすことが大事。
生徒たちには、そういう思考法を伝え、トレーニングし、創造力を身に着けていって欲しいなと思う。
参考:ズラす指導法
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