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白い楓

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二人の殺し屋がトラブルに巻き込まれて奔走する話です。そのうち有料にする予定なので、無料のうちにどうぞ。。。
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2020年3月の記事一覧

香山のエンディング「冥界」

 明は私の薬物依存を放っておけないと言ってついてきた。監視によって薬が絶たれた私は、一貴山への道中何度か幻覚を見て、その度に明に助けられて、胸を打たれた。宅に着いても明は涙を止めるのにしばらくの時間を要したし、私は彼が予想に反して自分への思い入れを深くしていたことを知り、彼に寄り添う気持ちがなかったのは自分自身であったことを思い知った。初めて体験する明の涕泣でショックから立ち直れなかった。私達二人

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香山の43「ジュテーム?Ⅰ」(61)

 Kの仕事を終えた私は、報酬を得て電車の座席に座り、揺られるつり革に目をやった。太陽が沈み、車窓に映るのは私の姿だけだった。首を傾け、無気力を露わにしていた。視線は虚ろだが、眠いわけではない。
 神は許してくれるだろうか?……信仰せずとも懺悔するのが日本人の性だ。かくて責任を転嫁する術はた抱きしめてくれる存在を探しているのであった。
 耐え切ることができない。神は人を殺めてまで利得にしがみつく愚者

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香山の44「ジュテーム?Ⅱ」(62)

 車を降りて、空を見て、そして海を見た。漣が緩やかな音楽を奏で、時折大きな波の声がした。波の声は殺意を持っているように思えた。急にしゃがみ込みたくなったのでそうすると、嗚咽した。「怖いよ、俺は怖いよ……」
 入水せねばならないと考えて、戦慄していた。内にある恐怖が言葉になることを許されて発されたのだ。
 暗がりに目が慣れ、周りの草原の形が鮮明になってきた。夜の海には漁船の発する光がのろのろと動いて

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中崎の1「モルヒネ」(63)

「中崎さんですか?」
「そうだが」
「僕です、香山です」
「ああ! 香山さんでしたか! これはこれは失礼を……はて、いかがなされましたかな」
「実は、会ってお話しがしたいのです。可能でしょうか」
「来週の水曜日の夜なんかいかがでしょう」
「水曜日ですか。予定を見てみますが―僕は大丈夫です」
「でしたら、その日に会いましょう。中州のAビルで落ち合いましょう」
 終始重たい声で話す香山を前に、笑いをこ

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明のエンディング「海」

 目の前には、椅子に縛り付けられた二つの死体があった。中崎と、薬物売買で生計を立てる女だった。二人とも顔をナイフで切り刻んで、身元は分からないようにしてあった。本来なら、顔に傷をつける真似はしない。依頼主に対象を殺したことを示すことができないからだ。
 爪をはがされた二人は錯乱を経て、香山に薬物を売りつけ、投与していたことを白状した。その時点で激昂した私は、衝迫に任せて彼らを殺したのだ。
 冷静に

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