【栄養素シリーズ⑥】食物繊維とは?
こんにちはSHOです。僕のnoteを読んで頂きありがとうございます。
栄養素シリーズはミネラルに続き、今回は6回目です。
今回は過去5回とは書き方が変わっていきます。
なぜ違う書き方をするのか?
それは過去5回は「消化吸収」について触れていたのですが、食物繊維についてはそれを書けません。食物繊維って消化吸収されないからです。
なので、今回は別のアプローチをしていきます。
○本当にちゃんと摂れていますか?
「私、今日のランチはサラダを食べました!だから食物繊維はしっかりと摂っていますよ〜!」
このように思っている方はいらっしゃいませんか?
実は……ランチ1回程度ではしっかり食物繊維を摂れたうちに入らないんです。
はっきり申し上げて、現代人は慢性的な食物繊維不足です。
1950年頃(戦後くらい)は、1人あたり20g/日くらいだったと言われていますが、その後は減少傾向にあります。それは穀類・芋類・豆類の摂取量が減少していったからです。
上の図を確認しながら読み進めて頂きたいのですが、日本人の食事摂取基準2020年版によると、1日の食物繊維の摂取目標量は
男性:21g/日
女性:18g/日
とされています。
ただし、どの年代においても、不足していることを確認して頂けると思います。
なぜ、食物繊維の摂取量は不足してしまうのか?
その理由は「食物繊維を摂取することがなかなか難しいから」だと考えます。食べようと思っても相当意識をして食事をしないと現代の食生活では1日の摂取必要量を満たすことは難しいでしょう。
なので、食物繊維はおろそかにされがちな栄養素といえるでしょう。
ただし、これからお伝えさせて頂きますが、食物繊維をしっかりと摂取するメリットは非常に大きいです。積極的に摂取することに越したことはありません。
なので、今回の投稿では
・食物繊維の歴史、分類、役割
・食物繊維が不足してしまったらどうなるか?
・食物繊維の効果的な摂り方は?
・食物繊維はサプリメントで摂っても良いのだろうか?
このようなことについてまとめていきます。
○食物繊維の歴史
食物繊維の歴史は古代ギリシアまで遡ります。
その頃から、小麦の表皮部分である「小麦ふすま」には便秘予防に良いことは知られていました。
しかし、エネルギーにはならないし、身体に必要な栄養素まで消化・吸収されにくくしてしまうということで「食べ物のカス」だと考えられていました。
ただその後は研究が進み、色々な学者が論文や研究結果を発表していきます。
1971年にイギリスのバーキット博士が食物繊維の摂取量が少ないと大腸ガンのリスクが高くなるという「食物繊維仮説」を発表します。以後、急速に食物繊維への関心が高まっていき、身体に必要不可欠な第6の栄養素として位置付けられるようになります。
○5大栄養素?6大栄養素?
ちょっと余談になってしまいますが、なんでこんな区別されているんだと思ったことはありませんか?
これは5大栄養素の図なのですが、これに食物繊維を加えて6大栄養素としているものもあります。
この違いは何かというと「そもそも食物繊維は栄養素なのか?」というところなんです。
「栄養」とは、生物が外界から適当な物質を取り込み、これを同化して生命現象を営むこととされています。そして、栄養を行うために必要なものを「栄養素」としています。
では、食物繊維はどうなのか?
という話になってくるのですが、基本的に消化吸収されない成分だし、外界から取り込める物質ではないし、食物繊維の摂取量が不足したからといって欠乏症なものが起きることもありません。
……栄養素じゃないやん。
ということで区別されているわけです。
ただし、繰り返しになりますが、食物繊維をしっかりと摂取するメリットは非常に大きいです。積極的に摂取することに越したことはありません。
というわけで、同列に扱っているというのが現状だというところでしょう。
○食物繊維の定義
現時点では、全ての研究者の合意に基づいたものはないと言われています。日本では「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」という考え方が一般的です。
ちなみに、食物繊維は炭水化物でもあります。炭水化物のうち、消化されるものが糖質、消化されないものが食物繊維です。
○食物繊維の分類
大きく分けると2つに分類されます。
●水溶性食物繊維
水に溶ける性質がある食物繊維です。
<特性>
・粘性
粘着性により胃腸内をゆっくり移動するので、お腹がすきにくく、食べすぎを防ぎます。糖質の吸収をゆるやかにして、食後血糖値の急激な上昇を抑えます。
・吸着性
胆汁酸やコレステロールを吸着し、体外に排泄します。
・発酵性
大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなり、整腸効果があります。
(多く含まれている食品)
昆布、わかめ、こんにゃく、果物、里芋、大麦、オーツ麦etc….
「吸着性」について少しだけ補足説明すると、肝臓で合成されたコレステロールは、胆汁液の原料である胆汁酸になります。胆汁液は十二指腸で消化液として分泌されて脂質の消化を助け、小腸で吸収されて再び肝臓に運ばれます。これは胆汁酸の【腸肝循環】と呼ばれています。
食物繊維は小腸で胆汁酸を吸着して脂質やコレステロールが再吸収されるのを防ぐはたらきがあります。その結果、血液中のコレステロールが下がることになるのです。
これはコレステロールが下がるだけではなく、デトックス効果にも繋がります。この点については改めて別の回でお伝えしていきたいところです。
●不溶性食物繊維
水に溶けない性質の食物繊維です。
<特性>
・保水性が高い
胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動運動を活発にし、便通を促進します。
・よく噛んで食べるので、食べすぎを防ぎます。食物繊維は繊維状のほか、蜂の巣状・へちま状のような形状もあり、多孔質です。
・発酵性
大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなり、整腸効果があります。
(多く含む食品)
穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実、海藻類etc…
○食物繊維が不足するとどうなるのか?
・便秘になりやすい
腸内環境が悪化しやすく、便秘になりやすいです。
・病気のリスクが高まる
ガンのリスクが高まったり、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まります。
・肥満防止(ダイエット効果)
食物繊維を多く含む食品は低カロリーで噛みごたえがあり、食べた後の満足度も高いので、肥満防止にもなります。
○食物繊維の効率的な摂り方
・穀類
血糖値を上げやすい食べ物なので、食物繊維を一緒に摂ると急激な血糖値上昇を抑えることができます。
ご飯に昆布や豆を混ぜたり、パスタの具としてきのこ類や野菜をたっぷり入れたものを食べると良いでしょう。
また、穀類自体を食物繊維が多いものに変えるというのも良いです。
精製度の低い穀類(玄米や胚芽米など)や麦(押し麦、ライ麦など)にしたり、おパスタやパンも全粒粉から作ったものを使うなどしましょう。
・肉類
肉類などを食べる際には、食物繊維が多いおかずをプラスするようにしましょう。これも腸管循環に関係してきます。
・乳酸菌
乳酸菌を一緒に摂ることで、腸内細菌のバランスを整えて活性化させることができます。ヨーグルト、キムチ、糠漬けなどに多く含まれています。
・果物/野菜ジュース
これらはジュースで摂るのではなく、そのままの状態で摂るように心がけましょう。
○食物繊維をサプリメントで摂っても良いのか?
ここまで読んで頂いている方であれば「食物繊維を積極的に摂取することはとても重要なことだ」ということはご理解して頂けたと思います。
私たちの腸内でとても有益な働きをしてくれています。いわゆる「善玉菌」と呼ばれている腸内細菌のエサとなって、善玉菌の増殖を手助けしてくれます。
また、善玉菌は短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸etc…)を作り出すと言われていて、結腸の細胞に栄養を与え、腸の炎症を軽減し消化器疾患を改善する働きがあるとも言われています。
また最近では、食物繊維をしっかりと摂取することで死亡率を下げるとも言われています。
栄養素に含まれるかどうか、そのような論点はさておき、積極的に摂取すべきものだということは言うまでもないわけです。
にもかかわらず、ほとんどの人が十分に摂取できていないというのが現状であるというのはお伝えしてきた通りです。
そこで「サプリメントで食物繊維を補うのはどうでしょうか?」ということになってくるのです。
ドラッグストアに行くと、食物繊維のサプリメントはたくさん売っていたりします。もちろんネット販売も。「食物繊維 サプリメント」と検索してみてください。めっちゃくちゃ出てきます。
ここで問題になるのは「食物繊維は食事から摂らないでサプリメントで摂取をしても効果があるのだろうか?」というところです。
●結論
サプリメントで食物繊維を摂取することはあまりお勧めできません。
やはり、食品から摂取することが望ましいです。
●理由
食物繊維のサプリメントは、通常単一の供給源から分離されて作られていて、現在市場に出回っている食物繊維のサプリメントのうち臨床的に意味のある健康上の利益を提供する可能性があるものはごく少数だと言われています。
食品から食物繊維を摂取した場合には、様々な健康上のメリットを享受することができると言われていますが、サプリメントから摂った場合は、必ずしも同じような効果が得られるとは限らないそうなのです。
何度も繰り返しのご案内で恐縮ですが、現代人のほぼ全ての年代において食物繊維の摂取量が不足しているので、食物繊維のサプリメントはニーズがあり人気があります。
血糖値のコントロールと排便促進により健康に役立つ可能性があるとは言われているものの、実際の食品に取って代わるものではないようなのです。
というわけで「食物繊維の摂取が不足しているけど、私はサプリメントで補っているから問題ないよ」と思っている人は要注意です。
「多少マシです」というレベルです。威張ることではないのです。
○まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の投稿をご覧頂き、改めて食物繊維をしっかり摂取することが大事だということを感じて頂けたら嬉しいです。
不足しているからといって、サプリメントで補うことを第一優先にするのではなくて、しっかりと食品で摂ろうという意識を持つことが大事です。
身体の原理原則を知る上で、各栄養素がどのように消化吸収されていくのかを知っておくことはとても大事です。今まで6つに分けてご案内させて頂きましたが、それぞれ特徴がありました。
各栄養素は消化吸収されたら、次は【運搬】の工程に入ります。どうやって身体の各組織に運ばれていくのか?それは血液が運んでいくのです。
血液の話はこちらでも少し触れています。
身体のことを知る、ダイエットのことを学ぶと、1つのことを学ぶと色々なものが繋がっていきますのでどんどん楽しくなるし深く理解をすることができるようになります。
色んなことに興味を持って頂けるととても嬉しいです!
今回は以上となります。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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