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【栄養素シリーズ②】脂質とは?

こんにちはSHOです。僕のnoteを読んで頂きありがとうございます。

栄養素シリーズは糖質に続き、今回は2回目。

今回は脂質です。

脂質については、人によって印象が様々です。

・健康やダイエットの敵?
・摂りすぎると太る?
・不飽和脂肪酸は身体に良い?
・トランス脂肪酸は身体に悪い?

などなど。実際のところはどうなのでしょうか?

○脂質とは?

今回は基本的な脂質の説明をしていくことにします。

脂質はグリセリン(グリセロール)脂肪酸からなるもので、これをトリグリセリドまたは中性脂肪といいます。

動物性油脂(お肉やバターなど)と植物性油脂(サラダ油やオリーブオイルなど)はどちらもトリグリセリドです。それなのに、性質や形、特徴などが全く異なります。

それはなぜかというと、脂肪酸が異なるからです。

○脂肪酸とは?

脂肪酸とは、炭素水素が手を組んで1つの鎖状に連なった片端にカルボキシル基が結合したものです。

そして、二重結合があるかどうかによって大きく「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」に分けられます。

●飽和脂肪酸の特徴

・融点が高く、常温で固体
・炭素の2本の手をそれぞれに水素が1つずつくっついている
・残りの手はもう1つの炭素に繋がれている
・水素と炭素が隙間なく結束しているので、結合が強い
 =常温で固体を保てる
 =二重結合のない脂肪酸

●不飽和脂肪酸の特徴

・融点が低く、常温で液体
・炭素と水素の繋がりがところどころで途切れている
・途切れている箇所では、炭素の手は1つしか水素と繋がっていない
 =二重結合がある脂肪酸
・飽和脂肪酸と比べると原子同士の結合が弱い


飽和脂肪酸は、水素がそれ以上結合する余地のない脂肪酸で、主に動物性の脂です。炭素の鎖にぎっしりとくっついている構造で「水素が飽和状態でくっついている脂肪酸」という意味です。

牛や豚、ヒツジなどの脂身、バターや乳製品に多く含まれています。植物性の油でも、ココナッツ油、パーム油、ヤシ油などには飽和脂肪酸が豊富に含まれていると言われています。

融点が高く、劣化しにくいです。油は本来、熱を加えると酸化して質が悪くなるので揚げ物や炒め物などの高温調理をするときには、実は飽和脂肪酸の油を使うのがよいのです。

不飽和脂肪酸は、水素がまだ結合する余地(二重結合)のある脂肪酸で主に植物性の油、魚の油です。これはまだ分類することができます。

上の図で説明しきれなかったことを補足すると「オメガ○」とありますが、これは何かというと、先ほどお伝えしたように、脂肪酸は炭素水素が手を組んで1つの鎖状に連なった片端にカルボキシル基が結合したものですが、例えばオメガ6というのは、鎖の最初から数えて6番目に二重結合があるということなのです。

二重結合の数があればあるほど、脂肪酸としては不安定なものになります。二重結合の箇所は酸素と結びつきやすいのです。要するに、酸化しやすく、錆びやすく、劣化しやすいです。オメガ3系脂肪酸は二重結合の箇所が多いので、非常に酸化しやすい油だし、劣化しやすいのです。

オメガ6とオメガ3は、どちらも体内では合成することはできないので食事から摂る必要があります。これは必須脂肪酸といいます。

この必須脂肪酸の摂取比率が崩れるとアレルギーや炎症疾患のリスクが高まることが分かっていてて、理想の比率は4:1と言われています。ただ、食生活の欧米化やファーストフードの台頭で現状ではひどい人だと14:1くらいまで崩れていると言われています。

健康のためには、オメガ6の調味料を控え、魚の油、亜麻仁油などでオメガ3の摂取量を増やすことが重要です。

○トランス脂肪酸とは?

トランス脂肪酸については以前instagramでも取り上げたことがあり​ます。

この投稿ではこのように書きました。

【トランス脂肪酸は天然の脂肪酸ではなくて、海外では毒と見做されていて規制されている有害な脂肪酸です。トランス脂肪酸がなぜ悪い油なのかの説明は、専門用語などを出さないと難しいので割愛しますが「トランス脂肪酸」というものが身体に悪いんだということは知っておいてほしいです。】

ということで、今回はinstagramでは割愛したことについて、もう少し深くお伝えしていくことにします。

●マーガリンの実験

トランス脂肪酸の中でもよくあがる【マーガリン】についての有名な実験を紹介いたします。

アメリカの自然派運動家フレッド・ロー氏が行った実験なのですが、もともと彼は、自然食品店を経営していて、「マーガリンは正しい食品」と信じて売っていました。

お店を訪れた多くのお客さんが「動物性脂のバターよりも植物性油を使った
マーガリンのほうが健康に良い」と思っていたのでしょう。

ところがある日、食品工業の技術者である常連客から「マーガリンを顕微鏡でのぞいてみると、プラスチックの構造にそっくりなことがわかる。マーガリンにプラスチック食品という名前をつけたくなるんだ」という話を聞きます。

驚いた彼は、マーガリンや、マーガリンとは兄弟分のような植物系ショートニングが含まれている食品を売るのをストップし、ちょっとした実験を始めました。

それまで彼の店で売っていたのと同じマーガリンの小さな塊をお皿にのせ、その皿を店の裏部屋の窓際に置きました。マーガリンが本物の食べ物であるなら、虫や細菌がやってくるのに好都合な場所にあるこのご馳走に大喜びしてむらがるに違いない・・・!

同じことをすると、バターの場合は蠅や蟻やカビがいっぱいになります。

しかし、マーガリンの塊はバターとは違っており、2年経っても、もとのまま・その間どんな虫も一匹としてその塊に近寄るのを眼にすることはなく、
ひとかけらのカビすら生えなかったのです。

窓を通して入る日光の熱でマーガリンは半分溶けてくずれ、ほこりにまみれて汚くはなりました。ただ、起こったことはそれだけで、マーガリンの固まりは決してきれいになくなることもなく、汚くぞっとするものになっただけでした...。

多くの人の常識の中には、「植物油由来のマーガリンは、バターよりも
カロリーも低くて健康的である」
ということがあるのではないでしょうか?


でも、この常識は実験結果を鑑みれば、すぐに変えるべきでしょう。

●マーガリンについて

マーガリンは、植物油(大豆油、コーン油、パーム油、ヤシ油、綿実油、ひまわり油など)を原料にしてつくられています。

これらの植物油は不飽和脂肪酸なので、融点が低く、常温では液体です。また、構造上酸化しやすいのが欠点で長期の保存が難しい油でした。

では、植物油を使ったマーガリンはなぜ常温でも固形なのか?ここにはやっぱり【カラクリ】があるのです。そのカラクリは何かというと「水素添加」という方法を使って油の性質を変えてしまっているのです。

脂肪酸は、炭素が連なりそこに水素がくっついた鎖のような構造をしています。炭素には4本の腕が伸びていて、そのうち2本の腕は両隣の炭素と手をつなぎ、他の2本の腕は水素と手をつないでいます。

鎖の先頭にあたる炭素は、隣の炭素、水素と手をつないでおり、この部分をメチル基と呼んでいて、また、最後尾に当たる炭素は、隣の炭素と水酸基、酸素と手をつないでおり、カルボキシル基と呼んでいます。

それぞれがしっかりと固定されていれば、強度が高く、常温で固体になります。いわゆる牛脂やラードなどの飽和脂肪酸です。

それに対して、水素がところどころ抜けている形のものは、不飽和脂肪酸と呼ばれ、穴の数が多いほど、固体になりにくく、融点が低い油となる。
植物油のほとんどがこれで、常温で液体になっているというのは今まで説明した通りです。

では、マーガリンにおける水素添加というのは何なのかというと、そこの抜けた穴のところに人工的に水素をあてがって無理やり炭素の鎖と結合させるということです。それによって穴が埋められ安定した植物油は、固体になり、かつ酸化しにくくなるので長期の保存が可能になるのです。

こうやってできたのがマーガリンで、使い勝手が良く、長期の保存がきく
ということで商業的には利便性が高い商品になりました。マーガリンの硬さは、水素を添加した量によって変わっていきます。水素をたくさん添加すれば、その分多くの穴が埋まるので硬いマーガリンができるのです。

また水素を少しだけ添加すれば、穴が残る割合が多くなるので、液体により近い伸びのよいマーガリンが完成するということです。これがパンにも塗りやすいマーガリンができる秘密なのです。

現在売られているマーガリンのほとんどが、この部分水素添加によってつくられており、そうして固体となった油に、乳化剤と水を加えた後、急冷してマーガリンが完成します。水素添加は120~210度の高温、高圧のなかで水素ガスを反応させる方法で行われるのですが、このときニッケルや銅が触媒として使われるのです。これがちょっと怖いですよね。

このマーガリンを代表とする水素添加されたトランス脂肪酸が、日本では加工品にたくさん使われています。この人工的な油は、自然には存在しないものであり虫もよりつかないプラスチックのようなものなのです。

●トランス脂肪酸について

自然な植物油に含まれる不飽和脂肪酸は、炭素の二重結合を中心に2つの水素がそれぞれ1個ずつ片側に並んでいます。これを同じ側を意味する「シス」というラテン語から「シス型脂肪酸」と呼ばれています。

マーガリンを製造する過程で部分水素添加を行うと、片方の水素が反対の方向に移動(トランス)します。こうなると、飽和脂肪酸に似たいびつな形の
飽和脂肪酸のようなもの
が出来上がります。これがトランス脂肪酸です。
このトランス型のいびつな脂肪酸構造がプラスチックと良く似ているので、マーガリンはプラスチックと同じだと言われます。

プラスチックは自然界に存在しないもの。そんな自然にないようなものが
身体の中に入ると考えただけで、ちょっと怖いですよね。

食事でトランス脂肪酸を摂取すると、まず体はそれを分解・代謝しようとします。不自然なトランス脂肪酸を分解・代謝するには時間がかかり、大量のビタミンやミネラルを消費してしまいます。

これだけでも身体に余計な負担をかけるのにトランス脂肪酸自体は、身体に役に立つ機能がなく、老化やガンの原因になる活性酸素をつくったり、
他の脂肪酸の機能を妨げるなど悪い働きをするのです。

中でも一番の害は、トランス脂肪酸が細胞膜に悪い影響を及ぼすということです。脂質が細胞膜の材料になっていることは、何度もお伝えしている通りです。

(細胞膜の機能)
・細胞内に酸素や栄養素を取り込む
・細胞内で発生した老廃物を排出する
・細胞同士の情報を伝達する
・有害物質の侵入を防止する
など、生命活動に欠かせない大切な役割を担っている。

ここにトランス脂肪酸が入りこむと、必須脂肪酸(オメガ6・3)に悪さをします。必須脂肪酸が役割を果たさなくなるために、細胞膜の構造や働きが
不完全になってしまいます。細胞の働きが悪くなってしまうのはもちろん、
細胞に必要なものが流出してしまったり、逆に有害物質が侵入しやすくなってしまう危険性もあるのです。

海外では、トランス脂肪酸を「毒」として扱い、一定基準よりも多く含まれている食品を違法としています。ただ、日本はどうなの?というと、いまだにこの害を知らない人がたくさんいますし、家庭でマーガリンを使っている人もたくさんいるのです。

このようなことを知ってどうするのかは、あなた次第です。何を食べるか、何を選ぶかも最終的には我々消費者に委ねられているのです。

○脂質の消化吸収

口の中でよく噛んで食べ物を小さくし、唾液と混ぜ合わせて食道に送ります。

その後、十二指腸に到達すると、膵液に含まれる消化酵素リパーゼによって少しずつ分解されていきます。

ただし、油である脂質は疎水性(水を弾く)なので消化液とうまく混じってくれません。

そこで、胆嚢から出る胆汁に含まれる胆汁酸が脂質を細かくしていき、リパーゼによって分解されていきます。胆汁酸には水と油を馴染ませる働きがあります。ここでは、2つの脂肪酸とモノグリセリド(グリセリンに脂肪酸が1つくっついている状態)に分解されます。脂肪酸とモノグリセリドは親⽔性が低く取り込みにくいので、胆汁酸とともに「ミセル」という⼩さな構造によって⼩腸内の空腸で吸収されていきます。


ちなみに。


脂肪酸のうち,短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸は小腸の毛細血管から吸収され門脈経由で肝臓に輸送されるのですが、長鎖脂肪酸とモノグリセリドは,再びトリグリセリドを形成しリポタンパクであるカイロミクロンに取り込まれます。カイロミクロンは,小腸のリンパ管に取り込まれ,胸管を経て全身の大循環に合流し最終的には肝臓に到達します。

脂質の場合は、消化吸収工程が他の栄養素に比べて複雑なので時間がかかるのです。グルコースとアミノ酸は、⼩腸の⽑細⾎管から⾨脈に⼊り、肝臓へと運ばれます。


今回は脂質についてお伝えいたしました。次回はたんぱく質についてお伝えいたします。

今回は以上となります。
ここまで読んで頂きありがとうございます。


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