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ショートショート

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ショートショートらしきものを書いてます。後味悪いでしょ。気持ち悪いでしょ。気味悪いでしょ。
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#カップル

#16ショートショートらしきもの「映画」

#16ショートショートらしきもの「映画」

「なんか飲む?コーヒーでいい?」

「ありがと。いやー。あんなにリアルで重たい映画だと思わなかったよ。おれ結構グサっときたなー。とくに倦怠期の部分とか。」

「ちょっとそれ彼女の前で言う?私は倦怠期なんて無いと思ってますけど。」

「ごめんごめん。別にそういうことじゃなくてさ。もっとキラキラした恋愛映画だと思ってたから。」

「私は原作知ってたから驚かなかったけど。言ったでしょ?カップルで一緒に観

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#13 ショートショートらしきもの「後悔」

#13 ショートショートらしきもの「後悔」

こうなるくらいなら。
彼女のクルミに抱えられ、薄れゆく意識の中、後悔だけが鮮明に思い出される。

初めは些細な喧嘩だった。俺が脱ぎっぱなしの靴下をクルミが注意した。

「なんで脱いだらすぐ洗濯カゴに入れないの?きったない。」

その「きったない。」が無性に腹が立った。汚い。ではなく「きったない。」という言い方に。

「は?お前だって使った美容パックその辺に置きっぱなしだろ。」

「それはたまたま忘

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#11 ショートショートらしきもの「女神」

#11 ショートショートらしきもの「女神」

「あれ?タケルこのノートなに?」

「あ!それダメ!」

「いいもん見つけちゃった〜。彼女に隠し事はいけませんよ〜。」

「ダメだって。」

「どれどれ、『今日ぼくは素敵な人と出会った。講義に遅れて入ってきた彼女をひと目みた瞬間に、ぼくのものにしたいと思った。』なにこれ小説?」

「いや、そういう事じゃ無いんだけどさ。恥ずかしいからもうやめてよ。」

「いいじゃん。ちょっと読ませてよ。」

『綺麗

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#8ショートショートらしきもの「プロポーズ大作戦」

#8ショートショートらしきもの「プロポーズ大作戦」

私には付き合って5年の彼氏がいる。
いつでも私のことを1番に考えてくれていて、何をするにも私を優先させてくれる。
周りには羨ましく思う人が多いようで、親友には「そんな男どこ探しても他にいないから、絶対に離しちゃダメだよ。」としつこく言われる。

見た目は一般的にはイケメンという訳ではないが、鼻筋が通っていて、背も高く、スリムで、かなり私好みだ。彼の良いところはなんといってもその優しい性格。気づかい

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#7ショートショートらしきもの「ウソ」

#7ショートショートらしきもの「ウソ」

朝起きると彼女の体調が悪いのに気づいた。朝ごはんを作ろうと台所に向かう彼女の足元が一瞬ふらついたのだ。ここ最近体調を崩しやすい彼女であったが、足元がフラついたのは初めてだったので心配になった。

「大丈夫?」

「大丈夫だよ。」

口角を少しだけあげた笑顔で彼女は言った。

「体調悪いでしょ。今日は絶対に仕事休みなさい。この間も休んでって言ったのに隠れて仕事行ってたでしょ。」

「あれ。バレてた?

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