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#詩

金子みすゞの詩に見える「優しさ」と「悲しみ」のこと

金子みすゞの詩に見える「優しさ」と「悲しみ」のこと

降ったり止んだり、どんより灰色な静岡の空。霧雨に包まれながら藤枝市郷土博物館・文学館で開催中の「金子みすゞ生誕120年、作品発表100年記念の特別展」を見にいった。

金子みすゞに関する貴重な資料の数々、遺稿手帳、直筆の詩などを見る。特別に上手い字というわけではないが、まるっとしていて丁寧に書かれている。消しゴムで消したような、何度も推敲した形跡が見える。素朴で暖かみのある詩によく合っている字だと

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金子みすゞの世界『學校へゆくみち』

金子みすゞの世界『學校へゆくみち』

2024年7月27日(土)みすゞが詩に書いた道を歩いてきました。

炎天下で、外を歩いてる人なんて一人もいないwww

少しでも涼しいうちにと、みすゞのお家がやっていた本屋のところを7時半には出発したのですが、そりゃそうですよね。

たまに通り過ぎる車の運転手が皆「マジか、だいじょぶか!」とガン見してくる。

ヒッチハイクしたくなるけど、時間を計ってるのだから、そういうわけにもいかない。

ハァ、

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金子みすゞの世界『まつりの頃』

金子みすゞの世界『まつりの頃』

2024.7.26(金)

みすゞのお家の裏手、海側にあった八坂神社のお祭り【祇園さん】を取材してきました。

祇園社のお祭りは、7月19日から26日まで。

山車の曳き手が足りず据え車で、踊りを奉納。

4人の踊り手さんが、3曲ずつ(?)なので、かなりのボリューム。

昼間は御旅所(三角形の町の頂点にあたるところの洲崎神社)でも踊りを奉納。

本来は暑い中、山車を曳いて廻るので、踊り手も三味線も

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しなやかな私の言葉 -ホイットマンの詩の魅力

しなやかな私の言葉 -ホイットマンの詩の魅力

【水曜日は文学の日】
 
 
詩には東洋、西洋を問わず、韻律や形式の複雑な規則があります。でも、その規則を破って自分独自の世界を築き上げた人もいます。
 
アメリカの詩人、ホイットマンは、そんな独特な世界観の詩人の一人です。

ウォルト・ホイットマンは1918年、ニューヨーク州ロングアイランド生まれ。父親は大工で、十代の頃から新聞社で働き、ジャーナリストとして活動。19歳で自分の新聞を創刊したりし

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賽は投げられた

賽は投げられた

聞耳である。今日紹介するのはアメリカの現代詩を代表するチャールズ・ブコウスキー (Charles Bukowski 1920-1994) である。ドラッグ、酒、マリファナ、女。アメリカ高度経済成長期の陰で苦難を強いられた労働者階級の、ありのままの言葉を気取らずに紡いだ彼の詩は、未だ多くのファンを獲得している。一方で行間から匂い立つ汗臭いダンディズムが、現代アメリカの若者にはうんざりといった感想もち

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ぼくの友達レイモンド

ぼくの友達レイモンド

大学で待ち合わせをする。
いろんな国の学生たち。
見たことのない装い。
嗅いだことのない匂い。
行き交う人々をすり抜けて
レイモンドがやってくる。
やあ元気?と満面の笑顔のレイモンド。
元気だよ、と笑顔で答えるぼく。

司書員のレイモンドは踊るのが大好き。
バレエやヒップホップやワッキング。
舞台でも踊るし、オーディションにも挑戦している。
練習のしすぎで右ひざを痛めてしまったらしい。
少しは休ん

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旅

聞耳である。今日は朝から珍しく青空が広がり、以前から行ってみたかったロンドン漱石博物館 (http://soseki.intlcafe.info/) を訪れた。夏目漱石はロンドンに1900年から約2年間滞在し、大学の授業や個人講義を受けながら執筆活動を続けた。絶えず続く金銭不足、孤独感、重責などから帰国の三ヶ月ほど前になると強度の神経衰弱に陥り、漱石の異常さに気づいた友人が文部省へ「夏目狂セリ」と

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