『アローン・シアター』主宰 女優 谷 英美(たに えみ)

『アローン・シアター』主宰 女優 谷 英美(たに えみ) 金子みすゞを描いた一人芝居…

『アローン・シアター』主宰 女優 谷 英美(たに えみ)

『アローン・シアター』主宰 女優 谷 英美(たに えみ) 金子みすゞを描いた一人芝居を、1999年から続けています。他、演目多数。 facebook https://www.facebook.com/emi.tani.10

最近の記事

金子みすゞの伝記執筆、あの日から一年

去年の6月に、寝耳に氷水のようなご依頼をいただいたものの… 狐につままれたようで、ほっぺをつねりながら、ご担当者様と、以下についてやりとり。 ①紀行文的にしたいのか。 ②金子みすゞの権威とされている方への反証でいくのか。 ③みすゞの全体を書くのか。 やりとりで整理しつつ、興奮している脳にわーーーっと降りてきてしまったことをメモ的に書きちらかしたりの3ヶ月を経て… 去年の今日、膝突き合わせて7時間に及ぶ打合せ。 【谷の思うみすゞを書けばいい】と方針決定。 ところ

    • 金子みすゞの詩『空の鯉』について

      この詩、好きですか?嫌いですか?そもそも興味をひかれないという方もあることでしょう。 【ふりかへれ】という命令形の言葉があったりして、【~~なの】【~~よ】という語尾がけっこう多いみすゞの中では、珍しい部類の作品です。 実は私は、あんまり好きではありませんでした。 反省しろと言われてるみたいで、なんか説教臭くて。 もっと言うと、近親憎悪というか、鏡で自分を見せられてるみたいで嫌なのかもしれない。 みすゞだって、詩人としての成功を夢見なかったわけではないと思う。 こ

      • 金子みすゞの世界『蚊帳』

        金子みすゞは、100年前、童謡が大流行していた頃に活躍した詩人だ。 西條八十が選者をしていた『童話』という雑誌を、主な投稿の場としていた。 この『蚊帳』という詩は、八十が留学で渡仏した間、代理で選者をしていた吉江孤雁という仏文学者が選んでくれて『童話』に掲載された。 みすゞは、命を絶つ前に、書き溜めた詩を手帳に清書している。 その自筆遺稿と、雑誌に載ったのとでは表記が違うのだ。 雑誌の表記は、選者の手が入っていると私は観ている。 この2つの『蚊帳』、皆さんはどっち

        • 金子みすゞの世界『帆』

          単純に叙景としても成立していますよね。 金子みすゞ全集を5編ずつ声に出して読み進める【みすゞ塾】というのが14年続いておりまして… 5編の範囲のうち、好きな2編を選んで朗読練習をしています。 こんな声がありました。 「海を見てると癒されるから選んでみたんですが、今一つ、分るような分からないような」…とのこと。 そう、よく分からないけど、なんか雰囲気が好き、とかも全然アリだと思う。 ただね、みすゞの伝記を書き進めている今、見えてきたことがあって。 八十

          金子みすゞ写真館◆下関の喜楽湯◆

          金子みすゞは、病気のため娘と一緒にお風呂に入れませんでした。 ふーちゃんの入浴を親戚に頼んでいた下関の共同浴場、喜楽湯。 記録を残しておきたくてカメラマンに同行してもらいました。 膨大に撮って下さったので手付かずですが、とりあえず喜楽湯さんのところだけ整理してお送りしたところ… 今日お電話を下さいました🎀 旦那さんと女将さん、そして金子みすゞの人生が詰まっている大切な場所💛

          金子みすゞの世界『學校へゆくみち』

          2024年7月27日(土)みすゞが詩に書いた道を歩いてきました。 炎天下で、外を歩いてる人なんて一人もいないwww 少しでも涼しいうちにと、みすゞのお家がやっていた本屋のところを7時半には出発したのですが、そりゃそうですよね。 たまに通り過ぎる車の運転手が皆「マジか、だいじょぶか!」とガン見してくる。 ヒッチハイクしたくなるけど、時間を計ってるのだから、そういうわけにもいかない。 ハァ、ハァ…半分くらいは来たのだろうか… やっと見えてきましたよ!!! 当時の校門

          金子みすゞの世界『まつりの頃』

          2024.7.26(金) みすゞのお家の裏手、海側にあった八坂神社のお祭り【祇園さん】を取材してきました。 祇園社のお祭りは、7月19日から26日まで。 山車の曳き手が足りず据え車で、踊りを奉納。 4人の踊り手さんが、3曲ずつ(?)なので、かなりのボリューム。 昼間は御旅所(三角形の町の頂点にあたるところの洲崎神社)でも踊りを奉納。 本来は暑い中、山車を曳いて廻るので、踊り手も三味線も囃子方もめっちゃ大変💦💦💦 裃袴の男の子たちは、踊り手さんたちを守っているのだ

          金子みすゞの二つの故郷・山口での取材から昨日帰ってきました。

          娘と一緒にはお風呂に入れなかった金子みすゞが、ふーちゃんの入浴を親戚に頼んでいた下関の共同浴場を6年ぶりに再訪。 2013年に廃業し、お住まいは別のところで… 「記録を残したい」とアポを取った時、女将さんは「92になり体調もすぐれず顔は出せないと思う」とのことでした。 「片付けも掃除もしなくていいです、中に入れていただけるだけで有り難い」とお訪ねしました。 開けて下さっていた女湯の入り口から入ると、何と女将さんが座っていらっしゃるじゃありませんか!!! 「奇跡的に気

          金子みすゞの二つの故郷・山口での取材から昨日帰ってきました。

          金子みすゞの伝記執筆、山場に向かう下準備

          金子みすゞがデビューした大正12年9月号~廃刊となる大正15年7月号までの『童話』34冊、チェック完了!!! もーーー字が小さくて、目から血が出そう。 『童話』に投稿された詩の選者をしていた西條八十が、みすゞを絶賛。 しかーし、鮮烈なデビューから9か月後に、八十はフランスへ行ってしまうのよ、2年間も!!! 代りの選者・吉江孤雁は、みすゞの作風を好まなくて… みすゞと二個の星と言われたライバルの島田忠夫ばかりをエコひいき(号泣)。 どうもその間に、島田の処女

          金子みすゞの伝記執筆、山場に向かう下準備

          本の話『しをかくうま』について

          詩と馬への愛に溢れてた。 【理解不能であればあるほどより遠くへ行くための駆動力になります】 金子みすゞを追いかけ続けている私は、この言葉に、首をブンブン縦に振りました! 【だから詩を読まないというのは人生の大きな損失です】 そうです!だから【みす塾】にお入りになりませんか? OLクラスもあるので、全国どこからでもご参加できます。 OLには入門クラスもあります。 講師は金子みすゞの伝記執筆中の私こと谷英美。 余談小屋(?)では、執筆こぼれ話的な金子

          北原白秋の詩『片戀』について

          先日の【みすゞ塾】はお休みが多く、出席者2人💦 時間が余るので、余談小屋で、北原白秋の話をしました。 大正10年、18歳のみすゞは、16歳の弟・正祐に、白秋の『片戀』に曲を付けてと頼みました。 金子みすゞの伝記を書くにあたり、当時の表記を知りたくて神西清編『北原白秋詩集』を借りたら… 何と、『片戀』の前に置かれている『新生』という詩の註に、聞き捨てならないことが!!! 白秋は、明治45年に、人妻・俊子との姦通罪で訴えられています。 ってことは、この註にある【壁に画

          恐山でのこと

          去年の7月、地獄へ落ちる練習をしに恐山へ行って、宿坊に泊まった。 夜中目が覚めて、部屋に置いてあった南直哉著『刺さる言葉』をめくってみた。 しゃくりあげて一人、泣いた。 この言葉に出会うために、私は呼ばれたのかもしれないと思った。 先日、書評欄で見かけた、こういうお顔の方だったんだ。 それに”なおや”だとばかり思っていたら ”じきさい”と読むのでした。 なんて優しそうなお顔なんだろう。 南先生、ありがとうございました 苦しみが消えたわけではないけれ

          金子みすゞの詩、『ながい夢』と『手品師の掌』の並びについて

          みすゞは日記のように詩を書いたので、遺稿は詩作順に並んでいるとされています。 が、命を絶つ前に3冊の手帳に清書した遺稿は、『美しい町』『空のかあさま』『さみしい王女』と題され、各巻章立てがなされ、立派な3冊組の詩集の体です。 書いた順に並べただけで、果たして【詩集】になるでしょうか? 詩を書いている方なら、お分かりになるでしょう。書いた順に並べても【詩集】にはなりません。【詩集】は編まなければできない。 みすゞの結婚直前、弟から、たくさんの詩の感想を述べた短評の

          金子みすゞの詩、『ながい夢』と『手品師の掌』の並びについて

          金子みすゞの伝記執筆、進捗状況

          フ~~~金子みすゞの伝記、やっと下関に移り住むところまできました。 編集さんに、「序は、全部書けてから書き直すことになると思う」と言われてるので、序を除いて… 400字詰め原稿用紙換算で、213枚。登山なら5合目といったところか。 読み返すのも大変なボリュームになってきました💦 シャッチーとアザラッシーが見守ってくれてます💛 おお~~~何と、去年の今日、ご依頼をいただいたのでした!!! 寝耳に氷水のようなお話で… 興奮しちゃって、黄泉の国から蘇ってきたみすゞが「

          金子みすゞの詩『かたばみ』の舞台はどこ?

          金子みすゞの伝記執筆の取材で、生れ故郷・仙崎の北にある青海島のくじら資料館に電話しました。 確認したかった用件がすんだ後で館長さんが、当地の見解として『かたばみ』という詩について話して下さいました。 みすゞの故郷・仙崎は1周4キロほどの小さな町に、6ヶ寺もあるのですが、どこも平地で【駈けてあがる石段】はありません。 なので館長さんは、この詩の舞台は青海島の東のはずれにある向岸寺だとおっしゃっていました。 たしかに向岸寺には、石段があるし、みすゞの父の菩提寺でもあります

          金子みすゞの詩『かたばみ』の舞台はどこ?

          金子みすゞの詩『祭のあくる日』について

          【みすゞ塾】の余談小屋(?)より、お送りいたします 先日の塾では、朗読テキスト、金子みすゞの詩5編のうちの1つが『祭のあくる日』でした。 みすゞの生れ故郷・山口県長門市仙崎の北にある青海島に”くじら資料館”があって。 鯨墓の墓銘の読み下し文についての確認で、館長さんにお電話しました。 それについては、長くなるのでまた今度。 館長さんは電話で『祭のあくる日』について、この詩の舞台は青海島だとおっしゃるのです。 みすゞの父の実家の裏には山があるからと。 う~~~ん…