裕作

趣味は読書、映画鑑賞。エッセイなどを書いていきたいと思います。

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最近の記事

【読書感想】 名探偵のままでいて

2023年1月刊行 著者 小西マサテル 394p 第21回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。ということで手に取ってみた。 やはりというべきか、「このミステリーがすごい!」にはずれはないなぁ。 著者は「ナインティナインのオールナイトニッポン」などを手掛ける放送作家でもあり、それが本作の会話の面白さにもつながっている感じがする。 あらすじ 感想  最近、ミステリーを読んでいなかったが、抜群に良かった。 6章からなる本作は基本的に娘の楓が祖父に、身近に起こった事件の

    • ブームに乗っかる

      流行りというものを意識しだしたのはいつ頃からだろうか? 流行りの曲、ファッション、食べ物…… 自意識過剰なところがあり、流行り乗っかるということをしてこなかった。 今回は流行に乗っかってみた話。 大学生の時タピオカが流行った。”タピる”なんて言葉も生まれ、新しい店が建ち、そこかしこでカップを持つ人を見かけた気がする。 そんなとき私はなぜかタピオカを頼まなかった。今となっては謎だが、一度も飲むことがなくブームは終焉を迎えた。 タピオカのタの字も聞かなくなったころ、「もったい

      • 【読書感想】万事快調〈オール・グリーンズ〉

        波木 銅著 2021年刊行 本屋で何か面白そうなものはないかと探していたら、手書きのポップで推されていたので興味を持った。 結果的に言ったらまさに「面白い小説」だったわけで、満場一致で松本清張賞を受賞したというのも頷ける最高のエンタメ青春小説です。 あらすじ 朴秀美はド田舎の底辺工業高校に通う二年生。上手くいかない家庭環境や田舎の閉塞感に絶望していた彼女はある事件をきっかけに大麻の種を手に入れる。 彼女はクラスメイトの岩隈真子と矢口美流紅とともに学校の屋上で大麻を栽培し

        • 【読書感想】 後妻業

          黒川博行著 2014年刊行 出版後に高齢男性が次々と殺される類似の事件が起こり話題にもなった。 タイトルにもなっている後妻業とは 最近では“頂き女子”なんてものがニュースになっており、どちらもお金目的に男性に近づくことは同じだが、後妻業の方がより計画性の高い犯罪と言えるかもしれない。 作者の友人の父親が被害にあったことから執筆されたため、被害にあった時の怖さみたいなものが伝わってきた。 あらすじ 妻に先立たれた後期高齢者の耕造は、六十九歳の小夜子を後妻に迎えていた。あ

        【読書感想】 名探偵のままでいて

          【読書感想】 半落ち

          横山秀夫著 2002年刊行  翌年の直木賞の最終選考まで残るも「落ちに欠点がある」と指摘され受賞を逃す。 実を言うとこの”欠点”というものが気になって読んでみたのだが、それはのちに書くとして… 横山秀夫さんの小説では「クライマーズ・ハイ」を読んだことがあり結構好きだったので、期待と”欠点”がどういったものなのか不安を胸に読んでみました。 あらすじ 疾走感あふれるミステリー 本作の魅力の一つが文章のスピード感。 事件の真相を解き明かすためのタイムリミットがあるため常に緊

          【読書感想】 半落ち

          【映画感想】 花束みたいな恋をした

          ダウ90000のコントから知った。 評判も良く見たことある方も多いと思います。 脚本家は坂元裕二 ドラマ「カルテット」が好きだったので、そのエッセンスが入っていて結構好きな作品でした。 あらすじ 感想(ネタバレ有) たま~にこういう恋愛モノを見たくなりますよね。 感想としては、恋愛物としての甘酸っぱさと現実の厳しさを最後まで描き切っていると感じた。 恋愛ドラマとかを見ていると美男美女がイチャイチャして、 「勝手にしてろ!」となんだか真面目に見る気が無くなる、というパタ

          【映画感想】 花束みたいな恋をした

          【映画感想】 海がきこえる

          好きな小説は何ですか?と聞かれたら少し前までなら迷っていただろう。 けど、今は「海がきこえる」とはっきり言える。 氷室冴子による小説で1993年発行 上手く言葉にできないけど読んでいて心地いいというか、心に残るような作品。なにか劇的なことが起こるわけではないのだが引き込まれていく。 ある時、YouTubeで予告編を見て興味がわいた。 好きな小説だし、製作していたのはあのスタジオジブリ!! 一度は見てみたいと思いつつ、テレビを買い替えたことでDVDを見れなくなってしまい、

          【映画感想】 海がきこえる

          【読書感想】 ニュータウンは黄昏て

          垣谷美雨著 2015年6月刊行  タイトルが気になったので読んでみた。 賃貸、持ち家、一口に家といっても色々ある中で、様々な境遇の人を描いた物語。 私は実家住まいなので「家」というものについて深く考えたことがなかったが、家を持つことになると家賃や近隣住民との関係などリスクの大きさに気付かされる。 そんなことについて考えさせられる作品。 あらすじ バブル崩壊前に高値で分譲団地を買ってしまい、今もローンの返済に追われる織部頼子。余裕のない生活の上、団地の理事会では老人に振り

          【読書感想】 ニュータウンは黄昏て

          作家への道

          あなたのやりたいことは何ですか? 昔からこう聞かれるたび困ってきた。 別にやりたいことに限らず、夢とか趣味とかを聞かれて、正直よくわかっていないのに適当に答えてごまかしてきた気がする。 もう少し年月が経ち、再びやりたいことを聞かれることが増えた。 就活の時期である。 その時も自己分析とか○○診断をやってみたが具体的な答えは出なかった。 好きなことはあるけれど仕事につながるレベルじゃないよな~と諦めていた気がする。 社会に出てからはあまり面白味のない生活を送ってきた。 ビ

          作家への道

          Pokemon Sleepが自分に合わなかった話

          皆さん、最近眠れていますか? 僕は眠れないです。 仕事に疲れているけど、このまま寝るだけでは楽しみがない…… ということでゲームや本をダラダラ読んで気が付けば深夜。 そんな感じで睡眠時間が削られている今日この頃です。 春になって新生活も始まり、生活リズムが変わった方もいると思いますが睡眠って大事ですよね、でも、趣味の時間も欲しい!! 睡眠時間と自由時間。二つのバランスをとることが難しい。 そんなわけで、Pokemon Sleepを始めてみました。 若干流行に乗り遅れた感

          Pokemon Sleepが自分に合わなかった話

          【読書感想】 恋

          小池真理子作 1995年刊行 第114回直木賞受賞作 あらすじ 1993年ノンフィクション作家の鳥飼三津彦は1972年の連合赤軍浅間山荘事件に関する原稿を依頼された。資料を見ていくうちに鳥飼は同日に起きた事件に興味を持つようになる。 それは、浅間山荘事件の裏で一人の女が引き起こした発砲事件だった。 鳥飼は取材を進めていき、矢野布美子に接触し、事件の全容を知っていく。 それは当時学生であった矢野布美子が片瀬夫婦と知り合い、倒錯的な関係に陥っていく物語であった。 感想 文

          【読書感想】 恋

          【映画感想】 Winny

          2023年製作 監督:松本優作 主演:東出昌大 127分 一時期、winnyについての議論が盛り上がっており、この映画も話題になっていたが見ていなかった。 Amazon Primeで視聴できたので見てみました。 あらすじ Winnyとは? Winnyとは、金子勇氏が開発したファイル共有ソフトであり、インターネット上でつながった複数のパソコンでファイルを共有するソフトである。 P2P技術を用い、当時実現不可能と言われていた大容量データの送受信を可能にした。 しかし、映画や

          【映画感想】 Winny

          テレビと金曜ロードショー

          今年に入ってからテレビを見る時間が増えた。 昨今のテレビ離れを考えると、自分でも逆を行っているなと思う。 朝起きてニュースを見て、仕事から帰ってきて気になった番組をチェックする。特別変わったことではないが、僕にとってこれが結構新鮮だったりする。 去年までほとんどネットニュースやYouTubeを見ていたからだ。 寝る前や空き時間に動画を見ることが習慣になっていた でも、いつからか素直に楽しめなくなっていることに気が付いた。 理由を考えていくと「マンネリ」という結論に至る。

          テレビと金曜ロードショー

          【読書感想】 太陽の季節

          1955年の芥川賞受賞作で著者は石原慎太郎。 東京都知事をしていた頃は覚えていたけど、いかんせん世代が違いすぎるので敬遠していた。 タイトルだけ聞いたことがあったので、この機会に読んでみました。 あらすじ ボクシングに賭け事、女遊びなど奔放な日々を送る竜哉。 ある時街で英子と出会い、彼女と肉体関係を持つようになる。 二人は互いに愛し合い、英子はどんどん竜哉に惹かれていくが、竜哉はしだいに英子を煩わしく感じるようになり、兄に彼女を売る約束までしてしまう。 感想 短編な

          【読書感想】 太陽の季節

          結婚ラッシュ

          結婚の連絡 先日、高校の同級生から結婚の報告があった。 「おめでとう!」驚きはしたものの、素直にそう言って電話を切った。 それから、結婚に関する小説を読んだり、結婚式のマナーを調べてみるなどして過ごした。 次の週、今度は中学時代の友人から結婚の連絡があった。こんな事があるのか!内心ドキドキしつつ電話は続く。 「そういえば、アイツも結婚したらしいね」 交友関係は広い方ではないので友人の口から結婚している人の名前が次々と上がり、 「え〜」としかリアクションがとれない。 電話

          結婚ラッシュ

          【読書感想】 傲慢と善良

          先日、高校の頃の同級生から結婚の知らせがあった。 結婚… それで思い浮かんだのが辻村 深月著の 「傲慢と善良」半年ぶりに読み直してみて、今回はその感想になります。 あらすじ 西澤架の婚約者である坂庭真実が行方不明に、彼は失踪の原因を過去にあったストーカーによるものだと考え、真実を探すべく、彼女の過去と向き合っていく物語。 感想 本作のテーマを一言でいうと【婚活】 基本的には失踪した婚約者を探していくミステリー的要素と現代の婚活という社会問題が絡んでくる物語。 真実

          【読書感想】 傲慢と善良