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【読書感想】 名探偵のままでいて

2023年1月刊行 著者 小西マサテル 394p

第21回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。ということで手に取ってみた。
やはりというべきか、「このミステリーがすごい!」にはずれはないなぁ。

著者は「ナインティナインのオールナイトニッポン」などを手掛ける放送作家でもあり、それが本作の会話の面白さにもつながっている感じがする。


あらすじ

かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、七十一歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。

しかし、小学校教師である孫娘の楓が、身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった!

そんな中、やがて楓の人生に関わる重大な事件が……

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784299037633

感想

 最近、ミステリーを読んでいなかったが、抜群に良かった。
6章からなる本作は基本的に娘の楓が祖父に、身近に起こった事件の謎を解いてもらう形でストーリーが進んでいく。
過去のミステリーの引用も多く、知っていればさらに楽しめると思う。

古典のミステリーは展開がパターン化されていて、そこを冗長に感じていたが、言葉を変えれば「お約束」とも言える。
本作はそんなお約束をキッチリ作っており、決め台詞もあるし、なんだか昔読んだミステリーのような安心感があった。

あと、間取り図があるタイプの話が何話か収録されている。
そのタイプのトリックは個人的に好きで、犯人が分かるわけではないのだが、見ていてワクワクしたなぁ。

少し話がそれてしまったが、探偵役の祖父はレビー小体型認知症を患っているので体調が日によって安定しない。幻視や記憶障害などを起こし、介護が必要となっている。
冴えた推理をしたかと思えば、ボケを起こしたかのような反応をして、その落差がしんどく映る。

認知症である祖父と孫娘の儚げな交流が文学的?SF的な印象を抱かせる。
大筋はミステリーではあるが、そこの物語も個人的に良かった。

おわりに

久しぶりにミステリーを読んで満足。
、ミステリーというのも奥が深い。知らない作品はまだまだあるので、有名どころを読んでみようかな……






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