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【映画感想】 海がきこえる

好きな小説は何ですか?と聞かれたら少し前までなら迷っていただろう。
けど、今は「海がきこえる」とはっきり言える。

氷室冴子による小説で1993年発行
上手く言葉にできないけど読んでいて心地いいというか、心に残るような作品。なにか劇的なことが起こるわけではないのだが引き込まれていく。

ある時、YouTubeで予告編を見て興味がわいた。
好きな小説だし、製作していたのはあのスタジオジブリ!!

一度は見てみたいと思いつつ、テレビを買い替えたことでDVDを見れなくなってしまい、今まで視聴する手段がなかった。

そんな時、京都で5月3日より限定上映されると知る。
これは行くしかないと見に行ってきました。

あらすじ

東京の大学に進学した杜崎拓(もりさきたく)は、吉祥寺駅の反対側ホームにある人影を見た。中央線下り列車に姿を消したその人影は確かに武藤里伽子(むとうりかこ)に見えた。だが里伽子は高知の大学に行ったのではなかったのか。高知へと向かう飛行機の中で、拓の思いは自然と里伽子と出会ったあの2年前の夏の日へと戻っていった。――里伽子は勉強もスポーツも万能の美人。その里伽子に、親友の松野が惹かれていることを知った拓の心境は複雑だった。拓にとって里伽子は親友の片思いの相手という、ただそれだけの存在だった。それだけで終わるはずだった。高校3年のハワイの修学旅行までは…。

https://www.aeoncinema.com/cinema/event/2024/umigakikoeru/index.html


感想

さて、見てきた感想としては良かった。京都まで行った甲斐があったなと思えた。
気付いたら終わっていた感覚で、劇場を出たあとに何とも言えない満足感があった。

72分と少し短めの上映時間ということもあるだろうけど、物語はテンポよく進んでいく。
小説では主人公の心情描写が多いのだが、それを短い時間で収めているため、微妙にニュアンスが変わってみえた。でも、映画だとこれくらい簡潔にした方が見やすいのかも。(実際、ダレる部分が無かった)
小説と映画、それぞれの良さを味わえたということで。

丁寧に描かれたアニメーション

物語は主人公の杜崎拓が駅のホームで高校時代の同級生である武藤里伽子らしき人を見かける場面から始まる。
気が付いた時の反応、ちょっとずつ近づいていき、電車による風で髪や服がなびく。
これだけのシーンで思わず見入ってしまった。
全編通してダイナミックな動きはないのだが人間の動きが丁寧に描写されているなという印象。
引き込まれるのと同時に「これ全部手書きなんだよな」と思う。
作画が~。なんてうるさい観客みたいで言いたくなかったけど、細かな仕草とか、画面に写っている全てが動いている感じが見ていて楽しい。
特に最後の方でライトアップされた高知城を見上げるシーンは何か心に来るものがあった。

景気の良い時代

1993年にテレビで初放映されており今から約30年前の作品になる。
バブル崩壊後だけど景気のいい時代であり、ファクションとかも華やかで古臭さを感じない。

しかし、ジブリ製作のアニメをテレビで初放映。改めていい時代だなと思う。

なんかいいな

ふんわりしていて誠に申し訳ないが、いろいろ書いてきて最後に思ったことは ”なんかいいな” という感情だった。
それがどういったものから起因するのか考えてみる。懐かしさを感じる時代背景、舞台の美しさ、若者の心理描写・・・
たくさんあるけれど、今はあまり言語化せずにこのまましまっておきたい。
ともかく、見れてよかった。そう思えた。

おわりに

金曜ロードショーとジブリ展にあわせて、京都のイオンシネマで限定上映されています。いつまで公開されるか分からないので興味のある方はぜひ足を運んでみて下さい!


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