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農業&Climate-Smart Soil Tech #超入門カーボンニュートラル に学ぶ11

本記事は、ESG/SDGs/CSVに関しての個人的な学びのアウトプットです。

以前に、「ESG思考/夫馬 賢治」を読んで非常に勉強になりました(まとめ記事①まとめ記事②まとめ記事③)。ということで、同氏の「超入門カーボンニュートラル/夫馬 賢治」も読み始めました。

「第5章 カーボンニュートラル政策による各産業への影響」からの学びをまとめたいと思います。以下の13の切り口でまとめられています。今回は、「11. 食品・農業」についてまとめてみました。

1. 電力:全電力をまかなえるほどの洋上風力発電ポテンシャル 
こちらの記事(まとめ記事④)でまとめました!
2. 交通・運輸:EV化の流れは止まらず
3. ICT産業:AI活用でデータセンター電力消費量を40%削減

>2-3は、こちらの記事(まとめ記事⑤)にまとめました
4. 鉄鋼:製鉄大手でも水素と電炉へ
5. 非鉄金属:資源サイクルの課題克服がカギ

>4-5は、こちらの記事(まとめ記事⑥)にまとめました
6. 石油化学:進むケミカルリサイクル
7. セメント:CO2排出量を70%削減するコンクリート生産法

>6-7は、こちらの記事(まとめ記事7)にまとめました
8. 紙・パルプ:他素材から紙製へのシフト
>8は、こちらの記事(まとめ記事8)にまとめました
9. 冷媒:代替フロンからノンフロンへ
>9は、こちらの記事(まとめ記事9)にまとめました
10. 建物・不動産:超高層でも鉄筋コンクリート造から木造へ
>10は、こちらのまとめ10にまとめました
11. 食品・農業:食料増産の難易度が上がる時代にできること★本記事
>農業までのまとめ(まとめ11)、水産・養殖・食品(まとめ12
12. ライフスタイル:サーキュラーエコノミーでの行動変革
13. 製品ライフサイクルアセスメント

上記の切り口は、経産省が2021年6月18日に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略」で成長が期待される14分野、として提示されているものとは少し異なる切り口となっています。

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出典:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略

食品・農業:食料増産の難易度が上がる時代にできること

まず最初に、世界の温室効果ガス排出に占める農業の割合を見てみると、以下のように11.2%家畜&糞尿 5.8%稲作 1.3%農地 4.1%)となっています。実は、自動車交通(Road: 11.9%)と同じくらい排出しているんですね。

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では、本書のまとめの内容に行きます。

農業の産業転換:2つの論点

大量に温室効果ガスを排出しており抜本的な産業転換が必要。転換の方向性としては「農地拡大せず収量向上」と「化学肥料なしでの収量向上」の2つの論点が紹介されます。

産業転換1:農地拡大せず収量向上

人口増により食糧増産が必要だが、森林は増やす必要があり、農地の拡大ではなく、収量向上が必要

産業転換2:化学肥料なしでの収量向上

農地に散布した化学肥料は放置すると温室効果ガスの一酸化二窒素を排出するため削減が必要。

EUの農業政策「Farm to Fork」では2030年までに化学肥料使用量20%削減バイオ肥料の使用を増やす目標。日本の農林水産省は2021年「みどりの食料システム戦略」で化学使用量を2050年までに30%削減を打ち出す。

リジェネラティブ(再生)農業

ここで、リジェネラティブ(再生)農業という聞きなれない言葉が出てきます。化学肥料を使わずに収量を上げる方法として近年注目を集めているといいます。

土壌に炭素を蓄積するために農地を耕さない「不耕起栽培」で農業を行う方法で、パタゴニア、スターバックス、ユニリーバ、マクドナルド、ウォルマート、ゼネラル・ミルズ、カーギル、グッチ(ウール、レザーの家畜市域のための牧草栽培のため)がリジェネラティブ農業の転換に取り組んでいるそうです。

著者は、以下の記事を引用していました。中を見ると、気候変動に配慮した農業慣行を取り入れることで、米国の温室効果ガス排出の9.9%を占める農業の比率が3.8%に下げられる可能性があるとされています。

気候変動に配慮した農業慣行に関しては

輪作、被覆作物の植え付け、耕作の削減、作物と家畜のシステムの統合を含むこれらの慣行は、土壌の健康を改善し、炭素を隔離し、侵食の減少、水の浸透の増加、経済的および環境的回復力などの共同利益を生み出す

としています。逆にいうと、同じ場所でずっと同じ作物を作ったり、土を全部耕して、農作物だけ植え付けるといったことをしない、ということですね。

Climate-Smart Soil Techのカオスマップ

これのオリジナルのレポートは、アメリカの農業・畜産業界団体のU.S. Farmers & Ranchers in Actionという団体が出しているもので、その中を見てみるとなかなか、おもしろそうな情報が載っていそうです。例えば、気候スマート土壌テックのカオスマップがありました。

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出典:wbcsd「Transformative investment in climate-smart agriculture

一番下の緑色のところが、センシング・モデリングなどIoTの領域で、中段はデータベースサービスであったり、データ分析ソフトなど、上段はマーケットプレースや、カーボンクレジットやファイナンシングとサプライチェーンの仕組みということでブロックチェーンが並んでいます。

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出典:wbcsd「Transformative investment in climate-smart agriculture

そして気候変動にスマートな農業を普及させるための金融の状況についても載っているのですが驚きます。2020年時点で、Farm & Ranch Value Chain Capitalというところからの年間投資額972Bドルと書かれています。9720億ドルってことは100兆円以上ってことですよね。。。すげぇ、金額。。。

その他:農林水産関連

その他、以下のようなトピックも取り上げられていました。

・農業機械の電動化やバイオマス燃料へのシフト
照明、温度管理、センサー、給排水などの電源もゼロエミシフト
工場廃熱、地熱、温泉排熱などの活用

・稲わらの出すメタンの削減
稲わらなどわらは、放置すると微生物分解でメタンガスが出るため対策必要(特に新興国)

ちなみに、私の所属するNECでは、稲わらにも含まれる、セルロースからプラスチックを作る技術をもっていたりします。関心のある方は、以下のページをご覧ください!

すこし、長くなりすぎたので、続きはまた、後日に書きたいと思います!

おわりに

今回は「超入門カーボンニュートラル/夫馬 賢治」から「第5章 カーボンニュートラル政策による各産業への影響」の中で農業について色々調べたことをまとめてみました。

このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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