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カーボンニュートラルとデカップリング #超入門カーボンニュートラル に学ぶ3

本記事は、ESG/SDGs/CSVに関しての個人的な学びのアウトプットです。

以前に、「ESG思考/夫馬 賢治」を読んで非常に勉強になりました(まとめ記事①まとめ記事②)。ということで、同氏の「超入門カーボンニュートラル/夫馬 賢治」も読み始めました。

デカップリングってなんだ

私はデカップリングという言葉を、サーキュラーエコノミーについて学んでいるときにはじめて知りました。カップリングに否定のデがついているので、カップルじゃなくなる、破局、というか、別れるという意味合いです。

一番有名な絵は以下でしょう。

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図の出典:UN-IRPのこちらより

青い線の経済活動リソースの使用量環境インパクトとの間に2つのデカップリングが書いてあります。リソースデカップリングは、経済の成長速度よりも、リソースの使用量の増える速度を抑えよう、というということで、相対的なデカップリングとか言われます。一番わかりやすいのは省エネですね。

これに対して、環境へのインパクト(緑の線)は、下に下がっていく線になっています。つまり経済は成長しても、環境の影響は減り続けるようにしないといかん、と。これをインパクトデカップリングといいます。絶対的デカップリングと言ったりもします。つまりやればやるほど環境がよくなるようにしよう、ということですね。

これは例えば、森林を植林して手入れをして得られる端材でバイオマス発電をすることで再エネを生み出し、そこをレクリエーションという経済活動を行うことで経済成長も生み出し、かつその体験によってオレンジの線の人間のウェルビーイング(豊かさ)も上がると、そういったものがあげられるでしょう。

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もともとサーキュラーエコノミー、循環経済が必要だ、というのは、天然資源を採掘するなどして、ものを作り、最終的には捨てるということを続けていては、地球は人間が生きていく環境を維持できなくなる、また、資源不足も招いててしまうという考えに基づいています。この採って、作って、捨てるの経済モデルをリニアー(線形)だといいます。これに対して、資源を繰り返し循環させて使って環境の負荷を下げよう、なんなら良くしてしまおう、というのがサーキュラーエコノミーという考え方です。

温室効果ガス排出量はデカップリングできるのか?

では、温室効果ガスに関して、排出量と経済成長はデカップリングできるのでしょうか?ここで著者が示すデータが以下です。

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出典:World Economic Forum, 2016, The decoupling of emissions and growth is underway. These 5 charts show how

ダボス会議の2016年のデータで、経済成長段階の異なるドイツ、スウェーデン、イギリス、中国、メキシコ、トルコの温室効果ガスの排出量とGDPの推移を示しています。

ここから読み取れるのは、先進3か国、ドイツ、スウェーデン、イギリスは、GDPは成長しているのに対して、排出量の絶対的デカップリングが実現できています。一方で、メキシコ、トルコはGDPと排出量の増え方が同調しておりデカップリングできていません。しかし注目すべきは中国でしょう。GDPの成長に対して、排出量が相対的に成長が少ない、相対的デカップリングが実現できています。

これ、個人的には、合わせて、人口の成長率も同じグラフに乗せてほしいと思いました。人口の成長との関係については、ちょっと違う形ですが、アメリカと中国を比較したデータとして、以下を示しています。

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出典:Modern Economy > Vol.8 No.6, June 2017,Peter Newman,Decoupling Economic Growth from Fossil Fuels

これは右端のGDPあたりの排出量がアメリカも中国も減少していることがわかります。つまりGDPと排出量はデカップリング可能だということを主張しています。

著者は、これらのデータをもとに、脱資本主義を唱える人たちの「デカップリングは無理だ論」をけん制しています。

世界人口はしばらく伸び続けるが大丈夫か?

私は、世界人口はアジア・アフリカといった新興国が多く含まれる地域でしばらく伸び続けるが、いま見込まれているデカップリングでどのように予測されているのか、というデータが示されるかな?と思っていたので、ちょっと消化不良でした。

以下、国連のデータでは概ね2100年ごろまで世界人口は増え続けることが想定されています。著書の中で、新興国では、先進国などで生まれた先進技術をいきなり使えるため、デカップリングがこれまで以上に早く進むだろうといった主張をしていました。まぁ、確かにそうなのでしょうが、そのためには、これまで以上のESG投資など含めた新興国への支援も必要になってくる、ということなのでしょうね。

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出典:UN, 2019, World Population Prospects 2019: Data Booklet

おわりに

ということで、今回は「超入門カーボンニュートラル/夫馬 賢治」を参照しながら、経済成長と環境負荷のデカップリングについてまとめました。

このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

以上

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