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風力発電の国内ポテンシャルってすごい #超入門カーボンニュートラル に学ぶ4

本記事は、ESG/SDGs/CSVに関しての個人的な学びのアウトプットです。

以前に、「ESG思考/夫馬 賢治」を読んで非常に勉強になりました(まとめ記事①まとめ記事②、まとめき)。ということで、同氏の「超入門カーボンニュートラル/夫馬 賢治」も読み始めました。

今回、「第5章 カーボンニュートラル政策による各産業への影響」からの学びをまとめたいと思います。以下の13の切り口でまとめられています。

1. 電力:全電力をまかなえるほどの洋上風力発電ポテンシャル 
2. 交通・運輸:EV化の流れは止まらず
3. ICT産業:AI活用でデータセンター電力消費量を40%削減
4. 鉄鋼:製鉄大手でも水素と電炉へ
5. 非鉄金属:資源サイクルの課題克服がカギ
6. 石油化学:進むケミカルリサイクル
7. セメント:CO2排出量を70%削減するコンクリート生産法
8. 紙・パルプ:他素材から紙製へのシフト
9. 冷媒:代替フロンからノンフロンへ
10. 建物・不動産:超高層でも鉄筋コンクリート造から木造へ
11. 食品・農業:食料増産の難易度が上がる時代にできること
12. ライフスタイル:サーキュラーエコノミーでの行動変革
13. 製品ライフサイクルアセスメント

上記の切り口は、経産省が2021年6月18日に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略」で成長が期待される14分野、として提示されているものとは少し異なる切り口となっています。

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出典:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略

1. 電力:全電力をまかなえるほどの洋上風力発電ポテンシャル 

この項目はカーボンニュートラルのど真ん中ということで、かなりの紙幅がさかれています。項目のタイトルにもなっている洋上風力発電のポテンシャルについては、一番興味深かったので、書籍に書かれている内容と出典をあたって理解を深めてみました。

日本の洋上風力発電ポテンシャルは着床式で128GW、浮体式の424GWも加えると552GWあり、日本国内のすべて電力を十分に賄えるとしています。

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出典:日本風力発電協会(2020), 洋上風力の主力電源化を目指して

不覚にも、日本の国内の電力がどれだけで、552GWというのがどれほど、満たせているのかがわからないので、ちょっと調べてみることにしました。

エネルギー白書2021によると、以下の図のように、国内の最終エネルギー消費が、白書中に数字が見つけられませんでしたが、目視で13EJ(エクサジュール)くらい。

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こちらのサイトでEJをkWhに変換すると

国内エネルギー消費≒13EJ≒3,611,111GWh≒361万GWh

ここで気づく。風力発電ポテンシャルGWっていっても、それは設備の発電容量なので、実際どれだけ発電できるのかは別ですね。以下の資源エネルギー庁の2021年3月16日資料(リンクこちら)によれば、

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日本の洋上風力発電ポテンシャルは国内消費の400倍以上!?

洋上風力発電の1GWの年間発電量は29億kWh、つまり290万GWhってこと???ん?

洋上風力発電の1GWの年間発電量:290万GWh
国内エネルギー消費:361万GWh

え。ポテンシャルが552GWもあるということは、日本年間エネルギー消費の400倍以上のおエネルギーポテンシャルがあるってことでいいのでしょうか?

先ほどの資源エネルギー庁(リンクこちら)の資料の中では、2倍のポテンシャルがある、という言い方をしていました。価格・コストを加味して分析するとこうなるんですね。

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地熱のポテンシャルは51GW

ちなみに、地熱発電ポテンシャルは51GWということのようです。出典の「環境省(2014), 平成25年度地熱発電に係る導入ポテンシャル精密調査・分析委託業務報告書」を見てみました。

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上記が、サマリーの中にあった表で、上記フラッシュという発電方法が地熱のすべてか不明ですが、この表中の数字の合計は7752万kWです。

265ページもあるレポートなので、ざっとしか見れていないですが、以下の4つに区分されるようです。なので7752万kWというのは、以下の3と4のポテンシャルですね。想像するに、発電などに使うのは難しいぬるま湯的なものも含めると51GWというポテンシャルなのでしょう。

1. 地熱発電(熱水資源開発)
2. 温泉発電(既存温泉利用)
3. 蒸気フラッシュ発電(蒸気でタービンを回す方式)
4. バイナリーサイクル発電(媒体系と熱水資源の2つの蒸気利用でタービンを回転する方式、中低温資源も利用できる)

さきほど紹介した、資源エネルギー庁の2021年3月16日資料(リンクこちら)を見ると、日本の再生可能エネルギーに関しての多くの課題が指摘されていました。

・発電のポテンシャルはあるが、リードタイムが長い、発電コストが高い(世界的にはコストが下がっているが、日本は高止まりしている)
・風力発電:平地・遠浅の海が少ないといった自然制約と発電適地でも所有者などの関係から利用のための社会的制約もある
出力変動への対応、送電容量の確保、系統安定など

ちなみに、同資料によると、洋上風力発電のエリア別の導入イメージは以下のようになっていて、北海道、九州、東北がが大きいんですね。

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おわりに

簡単に、本書の13の切り口だけまとめるつもりが、一つ目の電力についてソースのデータなど見ていたら脱線しまくって、第1項目だけで1記事になってしまいました。ということで、今回は「超入門カーボンニュートラル/夫馬 賢治」から「第5章 カーボンニュートラル政策による各産業への影響」の中で電力についての項目からの学びをまとめました。

このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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