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いいからもっとサメを見せろ!!壮大な音楽と細かすぎる設定だけで乗り切る奇跡の90分!「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(613日目)

「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」(2016)
マーク・アトキンス監督

◆あらすじ
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時は近未来。温暖化による氷河の融解の影響で、地表の98%が海に覆われていた。僅かに生き残った人間は、海上に建てられた基地や船の上でなんとか生きながらえていた。しかし、もはや地球の支配者は人間ではなかった。地上であらゆる傲慢な行為を続けてきた人間に成り代わり、今、生態系の頂点に立っているのは獰猛な鮫であった。そして、さらなる水温の上昇で海中は食糧不足に陥り、空腹となった鮫は人間を狙い始めていた。人間は鮫との対決を前に準備を進めるが、一方で鮫たちは群れをなし統制のとれた行動をとるようになる。それは、大群を統率するリーダーとなる鮫が存在しているとしか思えなかった…。(Filmarksより引用)
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「猿の惑星」のサメ版です。

『地球温暖化や二酸化炭素量の増加によって海面が上昇し、98%の地表が海に覆われた近未来では人間に代わり、サメが生態系の頂点に立っている』

という設定は非常に面白く、本家「猿の惑星」のような魅力的なSF要素や進化して人語を操る猿等は登場しないものの、カメラワークも巧みでカット割りも多く、低予算なりにやれることを一生懸命やっているところに好感が持てました。

海は基本的に浅瀬で撮影してるんだろうなというのがひしひしと伝わってきました。波がめちゃめちゃ穏やかでした。
(映画.comより引用)

詳しくは後述しますが、雑CGのサメや建物は違和感マックスで、爆発なども当然合成なので迫力は皆無です。なんてことないシーンでもとにかく壮大な音楽を流してそれっぽく仕立て上げたり、不要なやり取りや会話、同じシーンの使い回しで尺を伸ばしており、実際の尺(およそ90分)よりも体感時間は長く感じました。

登場人物にはあまり華がありませんでした。
(映画.comより引用)

監督を務めたマーク・アトキンス氏は今作以外にも「アンドロイドコップ」(’14)、「マッド•スピード」(’15)、「ジュラシック・スクール」(’17)等、いわゆる名作の類似作品やパロディ作品を多く手掛けており、サメ映画もかなりの本数撮っているので今後お世話になると思います。

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albatros-film.comより引用

◇地球温暖化に伴う海面上昇で地表の98%が海で覆われた近未来。人間に代わり生態系の頂点に立っているサメは、水温の上昇に伴いエサとなるプランクトンや小魚が取れなくなったことから人間を襲い始めた。人々は海面に小さな集落を作り、それぞれ生き延びていたが、そこへ突如として大量のサメが襲来。多くの集落が壊滅していく中、ベストロン海洋研究所は大型集落のサルベイションと協力してサメの討伐、そして陸地を取り戻す計画を立てていた。

という流れになっており、基本的にはバリックやショー博士、ニコルス博士などの研究所チームとダマート率いるサルベイションのならず者たちがサメと戦ったり、作戦実行のために色々と奮闘していきます。

バリック(左)とニコルス博士(右)(映画.comより引用)

冒頭から情報量が多く、専門用語も頻発するので世界観に没入しづらかったです。最初のうちはなんとか理解しようとするものの、プロべナンス計画やら人工島やらハープがどうのこうのとか、もうわけがわからなくなり途中から理解しようとするのを止めました。それっぽい理屈があるので説得力はあるし、なんとなく言わんとしていることは分かるんですけど流石に多かったです。

おそらくなんですけど、演じている俳優さんたちも内容を理解していないと思います。台本に書いてあるセリフをただ言っている感がありました。あくまで私の感想ですが。
(映画.comより引用)

やろうとしている事自体は『特殊な装置をロケットで大気圏まで飛ばして今と逆の状況にすることで再び海面を下げる』という無茶苦茶なものなので細かい設定は理解していなくても楽しめます。

サルベイションのリーダーのダマート
サメの群れをおびき寄せるために集団で行うハカみたいなのがかっこよかったです。(映画.comより引用)

サイバーパンクな雰囲気も楽しく、大筋だけ見るとそこそこ面白いんですけど、いかんせん低予算なので映像的にはチープさが目立っています。おバカなテイストならそれ込みで笑えるんですけど、大真面目にやっているからこそ足を引っ張っているように思いました。

サメ自体は引きだとそれなりに迫力もありました。
(映画.comより引用)

特に見どころでもあるサメや引きの画の研究所やヘリコプターはCGが粗いので萎えてしまいます。戦闘シーンもサメを後から合成で足しているだけなので臨場感がありませんでした。陸地にいる人やヘリコプターにまで飛び掛かるサメの凶暴性や数の暴力は相当面白かったので予算がもっとあればより良くなったのかなと思います。

ただ、長ったらしい会話や同じシーンの使い回し(ニコルス博士のカイトボードのシーンなど)が多く、肝心のサメがそこまでたくさん登場しなかったのはいただけなかったです。

そんな重要でもないキャラ同士のキスシーンではなく、サメがもっと見たかったですね。(映画.comより引用)

ラストも紆余曲折あって最終的には『ボスである母ザメから出ている超強力な電磁波を利用してロケットを飛ばす』という、最早なんでもありじゃないかと突っ込みたくなるパワープレイで解決するのも、その爆発に巻き込まれてヒロインポジションだったショー博士があっけなく死んでしまうのも、それを誰一人として悲しまないのも諸々込みで面白いです。

爆死するも誰からも惜しまれなかったショー博士
(映画.comより引用)

その後『無事に作戦が成功して海面が下がり、自由の女神像が顔を覗かせる』という「猿の惑星」リスペクトな終わり方もくだらなくて好きでした。全体的な完成度は少々低めですが、サメ映画好きとしては見ておいて損はないかもしれません。

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