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これは夢?はたまた現実?思春期少年を襲う恐怖の幻想「ファンタズム」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(526日目)
「ファンタズム」(1979)
ドン•コスカレリ監督
◆あらすじ
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ただならぬ雰囲気漂う霊園:モーニングサイド霊園。マイクは、兄:ジョディが参列している葬儀を小高い丘から見ていた。参列者が去ったあと、彼は異様に背の高い男が、軽々と棺を持ち上げ消え去るのを目撃する。そのことをジョディに話すが取り合ってくれない。そこでマイクは、霊園に侵入し真実を確かめようとする。迷路のような霊廊にやって来た彼はそこで、すさまじい唸り声を上げ飛んでくる銀球(シルバー・スフィア)に襲われる!
(DMM.TVより引用)
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ドン•コスカレリ監督を一躍巨匠に伸し上げた不朽の名作「ファンタズム」シリーズの第一作目です。
前々から気になっていた作品でした。
最近、DMMTVで全5作配信されていることを知り、さっそく視聴させていただきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1716026988395-eGna4sBWZi.jpg)
(cinematoday.jpより引用)
この作品でコスカレリ氏は監督、脚本、製作、撮影、編集の5役を掛け持つという離れ業を見せています。
『多感な時期に両親を失った少年の不安から生み出される恐怖』
を“現実の出来事”なのかはたまた“少年が見た夢”なのかをあえて曖昧に描き、更にはとてつもないインパクトを残した不気味な葬儀屋•トールマンの存在感も相まってとんでもなく見ごたえのある90分となっています。
そんな今作は製作費30万ドルに対して興行収入はアメリカだけでおよそ1200万ドルを記録するなど爆発的なスマッシュヒットを飛ばし、当時ファンタジー系の映画祭の中で最も権威のあったアヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭において審査員特別賞を受賞しました。
現在、配信はDMMTVのみのようです。
![](https://assets.st-note.com/img/1716027090688-Zh4g6JMvBL.jpg)
渋いですね!
(映画.comより引用)
◇主人公マイクは兄の友人の葬式で不気味な大男•トールマンを目撃する。遺体を持ち去ったその男を見たマイクはそれ以来、様々な怪現象に見舞われる。
という分かりやすい大筋ながら、主人公を多感な時期の繊細な少年にすることでこれが現実の出来事なのか、それともストレスによって見た悪夢なのかを不明瞭にしており、最後の最後までドキドキしながら見ることができる素晴らしい作品でした。
更には、このマイクを襲う恐怖を“不気味な大男•トールマン”や“ドリルが内蔵された空飛ぶ銀の玉”(シルバースフィアという名前だそうです)や“頭巾を被ったドワーフ”などで表現しています。
それによって、誰が見てもちゃんと怖くて楽しめるエンタメとして昇華しているのが本当に凄いです。
![](https://assets.st-note.com/img/1716027454092-u64vXux3H3.png?width=1200)
色々な解釈ができる作品でした。
何も考えずに見れば
『マイクを襲う恐ろしい現象の数々は全て本当で、最初は信じていなかった兄のジョディらも信じざるをえず、最後は協力してトールマンに立ち向かう』
という王道のホラーです。
しかし、映画の終盤『不自然に用意された落し穴にトールマンを落とし、大きな石で塞ぐ』というところで目が覚めたマイク。兄のジョディはすでに死亡しており、それ以来悪い夢ばかり見るマイクを心配したジョディの友人•レジーが寄り添ってくれている
というラストの部分を考えてみると
おそらく一連の出来事は全てマイクの悪夢だったのではないでしょうか。
両親を2年前に亡くし、さらには親代りの兄までも失うという事実にマイクの心は耐えきれず、その過度のストレスによって見えてしまった幻想、妄想だったのかもしれません。
しかし!
映画のラストでそれすらもまたあやふやになってしまいます!
気晴らしに旅に出ようとレジーから持ちかけられたマイクは自室に戻り、リュックサックを手に取ります。しかしその後ろには壁のフックに引っ掛かりぶら下がっているトールマンの姿が!
鏡に映るトールマンに気付いたマイクが後ろを振り向くと、姿見から現れた無数の手にマイクは引っ張られ、そのまま中に引きずり込まれてしまいます。
というところで物語は終わりを迎えます。
ここに関しても迷うところではありますが、やっぱりトールマンたちは実在したんだ!という解釈よりも、マイクの心の傷はまだ癒えていないということを描いているのではないでしょうか。
もしかしたらカスカレリ監督が続編のことなどまったく意識していなかったからバッドエンドにしただけかもしれませんが。
![](https://assets.st-note.com/img/1716027767428-64VQbsi7W9.jpg)
『佇んでいるだけで怖い』という見せ方はその後のホラー映画に多大な影響を与えたそうです。(thecinema.jpより引用)
ちなみに続編では未だ心の傷が癒えないマイクが精神病院に入院しているというところから始まるそうです。
40年以上前の作品なので多少のチープさはありますがべらぼうに面白かったです。近いうちに続編も見ていこうと思います。オススメです!
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