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“誰やねん”のオンパレード!低予算デスゲーム開幕です。「タコゲーム」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(575日目)

「タコゲーム」(2022)
アーロン•ミルテス監督

◆あらすじ
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売れない歌手キャリーはインフルエンサーのジャックスプロが開催するゲームに参加する。特典はジャックスプロがしているSNSから約1億1500万人ものフォロワーをもらえるというもの。キャリー以外の参加者は、起業家、ゲーマー、芸人、自己啓発講師など、喉から手が出るほどネットでバズりたい者ばかり。用意された八つのゲームは誰もが子どものころに親しんだ遊びだが、敗者たちには“死”という罰ゲームが待ち受けていた。(wowow.co.jpより引用)
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『参加した人々が一部しか生き残ることができない“デスゲーム”をスリリングに描いた、アクションサスペンス。韓国のヒットドラマ「イカゲーム」を、米国でパロディにした。』(wowow.co.jpより引用)

と、天下のWOWOW様が「イカゲーム」のパクリ、もといパロディであることを明確に謳っています。

また例によって日本の配給会社の悪いところが出て、全然違う原題だったものをわざわざ「タコゲーム」にしたのかと思いましたが、原題は「The OctoGames」です。

さらに今作の内容は

◇大金持ちのインフルエンサーが『タコの八本の足にはそれぞれ脳がある』ということにインスピレーションを受けて、8つのゲームを行い、クリアした最後の一人に豪華賞品を与えるという一大イベントを開催する

というものなのでここまでくるともう「タコゲーム」以外のタイトルは逆につけられないでしょう。

私はNetflixに入っておきながら、未だに本家の「イカゲーム」を見ておりません。お恥ずかしい限りです。一応、本家の情報をまとめておきますと

★「イカゲーム」
2021年にNetflixにて独占配信された韓国ドラマで、日本でも大ヒットを記録。2024年にシーズン2が公開されることが発表されています。

Filmarksより引用

◇あらすじ
バツイチの父親で、高利貸しから追われているソン・ギフンは、地下鉄でスーツ姿の男性から大金が獲得できるゲームに招待される。ゲームに参加を決意したギフンは、そこでギフンの幼馴染でソウル大学首席のチョ・サンウ、脳腫瘍を患う老人、脱北者の少女らと出会う。ゲーム「だるまさんがころんだ」が始まり、最初の脱落者が目の前で射殺され、その後も動いた参加者たちが次々と射殺されていく。ゲームの参加者は456人で、1人脱落するごとに1億ウォンの賞金額が積み上げられていく。ギフンたちは最後の1人となり、456億ウォンを手にするために6つのゲームに挑む。(イカゲームWikipediaより引用)

といった感じで、このあらすじを読んだだけで今作とは比べ物にならないくらいに見応えがあり、厚みのあるストーリーであることは明らかです。

ちなみにイカゲームとは朝鮮半島の遊びの一つで、韓国では1970〜80年代に流行したそうです。ローカル含め色々とルールはあるものの、基本的には反則が無いらしく、相手の服を掴んだり、取っ組み合いに発展することが多かったそうです。そのため服が破れたり、脱臼等の大怪我をする子供が多発したことで教育委員会はイカゲーム禁止令を出し、それに伴い廃れてしまったそうです。

Wikipediaで遊び方を見てみましたが、よく分かりませんでした。

あと、全然関係無いですけど「イカスゲーム」っていうパロディAVもありますよね。

今作「タコゲーム」の監督•脚本を務めたアーロン•ミルテス氏は「キル•ハント」(’19) など、低予算ながらも色んな意味でインパクトのあるホラー映画を手掛けるお方です。

現在U-NEXTで配信中のほか、アマゾンプライムの100円レンタル対象となっております。(7月末まで)

ちなみにこの格好をした人は登場しません。
(Filmarksより引用)

◇人気インフルエンサー•ジャックスプロの開催したゲームの参加者は『ジャックスプロが保有する1億1500万人のフォロワーと全スポンサーを譲渡する』というビッグチャンスに大喜び。しかし1つ目のゲーム中、失敗した男はキツネの着ぐるみに撲殺、逃げ出そうとした者は射殺され、会場は阿鼻叫喚の地獄絵図。主人公のキャリーたちはこのゲームがイカれたデスゲームであることを知る。

という風に展開していきます。

登場人物は、主人公の売れない歌手のキャリー、コメディアンのマキシン、起業家の老人ウォルター、自己啓発セミナー講師のスクイッシュ、ゲームストリーマーのAJ、料理番組司会者ルース、トレーナーのジェス、保育士のサンシャインなど

参加者側も中々にキャラ濃いめですし、主催側のジャックスプロやその恋人のルナもしっかりキャラ立ちしています。

主人公のキャリー
(moviecollection.jpより引用)
ゲームの主催者•ジャックスプロ
(moviecollection.jpより引用)

俳優陣の芝居も上手く、穏健派のキャリーやマキシンやAJ、ヒールポジションのジャックスプロやスクイッシュやルース等、それぞれのポジションも明確ですし印象にも残ります。

基本的に目隠しをされた状態で移動するので自分たちが今どこにいるのかは分かりません。(moviecollection.jpより引用)

ですが見所でもある肝心のゲームはかなりショボく、予算の少なさや規模の小ささを感じざるを得ませんでした。

一つ一つ解説していくと

1.サイモンの命令

「サイモンの命令〇〇(例∶右手を上げて)」と言われたらその指示に従い、「〇〇」とだけ言われたら何もしないというアメリカの子供向けの遊びです。言われた事以外は何もするなというルールなので、ミスをした人はもちろん、逃げたり、喋ったりした人も問答無用で殺されます。ですが参加者の学習能力が低すぎるのか、懲りずにまた逃げようとする別の人が現れたりと、この1つ目のゲームで8人しか生き残りませんでした。

「息を止めろ」という命令でみんな大真面目に息を止めていましたが、至近距離でチェックされるわけじゃないのでいくらでも誤魔化せるよなと気になってしまいました。

2.ホップスコッチ

ケンケンパの上級版のような遊びで、ライトの色が変わってブザーが鳴ったら動いてはいけないという条件が追加されています。

距離自体は短いですがすぐ近くにハンマーを持ったキツネがいるので緊張感とプレッシャーからミスをしてしまう気持ちも分かります。

3.障害コース
空気で膨らませたアトラクションを一分で脱出したら自宅に帰らせてあげるという救済処置の箸休めゲームです。これに関しては参加自由で、「こんなの簡単よ」とジェスが意気揚々と挑戦するも、中で待ち受けていたキツネの妨害を受けて挑戦失敗。射殺されました。

このあと、キャリーも挑戦しようとしますが「やっぱり怖い」と踏みとどまり、「私の日常はリスクそのもの。どうせ命をかけるのだから、パッとしない人生を送るくらいならここで有名になって売れてやる!」と高らかに声を上げ、みんなが拍手を送る茶番があります。

4.椅子取りゲーム
その名の通り椅子取りゲームです。一番最初に負けた人を殺すのかと思いきや、「最後の2人のうち、勝ち残った方に100万ドルプレゼント、負けた方は殺す」という裏ルールをジャックスプロが設けたため、ルースが脱落します。正確にはルースが先に座りましたがスクイッシュがボコボコにして椅子を奪いました。

椅子取りゲームの様子
(moviecollection.jpより引用)

5.かくれんぼ
一軒家を舞台にしたかくれんぼで、鬼はキツネです。一番最初に見つかった人が負けというルールでしたが、最初に見つかったスクイッシュは捕まる前に逃げ果せ、逃げ込んだ先にいたマキシンを犠牲にして助かるという卑劣な行動をします。

なぜスクイッシュが見つかった時点でゲームが終了しなかったのかまったく分かりませんでした。マキシンはマジで犬死にです。

6.テザーボール
下記の画像のやつです。

amazonより引用

7.ハングマン
文字を埋めて文章を完成させるゲームです。キャリーを勝たせるために何も答えなかったAJが、電流を流され続けたことで死亡しました。

8.旗取りゲーム
20〜30m先にある旗を先に取った方が勝ちです。スクイッシュが先に旗を奪いますが、それは仮面のスタッフに扮したルースが用意したダミーで、本物の旗をキャリーが手にしたことでキャリーの勝利が決まりました。

といった感じでだるんだるんな部分が多く(特にかくれんぼ)、役者陣の演技力でなんとか緊張感をキープしていただけになんだか勿体無かったです。

控え室の様子
(moviecollection.jpより引用)

そして、個人的に一番気になったのが
『全編通しての圧倒的な説明不足』です。

主催側はジャックスプロの他に仮面を付けて武装したスタッフとハンマーを持った着ぐるみのキツネがいます。この仮面のスタッフやキツネはどうやらジャックスプロに雇われたファンの人達らしく、彼から報酬を受けるかわりに命令通り殺人等にも手を染めます。

仮面のスタッフ
(moviecollection.jpより引用)

それだけならいいんですけど、なぜか必要以上に含みを持たせるんです。

やたらて仮面の隙間から見える目をアップにしたカットを入れたり、「私は私のやりたいようにやるわ」など意味深な会話をしたり、逃走しようとしたキャリーを射殺するのを躊躇ったりするなど

彼らの存在が後々重要になってくるんじゃないかと思わせるようなシーンが多いんですけど全然そうでもないです。なのでいざ彼らの素顔が明らかになっても「誰?」としかなりません。

こういうのが正直なところ不要というか、何を見ればいい作品なのかがブレてしまった印象です。

キツネの着ぐるみもチープです。
(moviecollection.jpより引用)

そして、ゲームを主催するジャックスプロとルナは優勝者の決定後にはその動画を全国に配信し、警察に捕まる前に大金をせしめて高飛びする予定のカップルです。

ですが、ルナは仮面のスタッフの一人(おそらくルナが個人的に雇った女性)から手に入れたシアン化合物を用いてジャックスプロを殺害しようとするなど不穏な行動を見せ、逆に殺されてしまいます。

まず、ルナがなぜジャックスプロを殺そうとしたのかの動機が一切分かりません。

ジャックスプロの恋人•ルナ
(moviecollection.jpより引用)

仮面のスタッフたちの葛藤を描くくらいなら、ルナがなぜそのような行動を取ったのかを見せて欲しかったですし、あれだけルナのことが大好きだったジャックスプロもルナがルースに撃ち殺されたのに一切悲しまないのは理解出来ませんでした。

しかも最終的に自分より大分年上のルースと一緒に高飛びするというオチも意味が分かりませんでした。

もっとシンプルに参加者側にスポットを当てた方が良かったのでは?と思ってしまいます。
(moviecollection.jpより引用)

そして一番分からなかったのがラストシーンです。

ゲームに勝利したキャリーはジャックスプロが用意した家で目を覚まし、仮面のスタッフと対面する。仮面を外したその男は「警察が動くけど、これから何をするかは君次第だ」と言い残してその場を去る…

というものなんですけど、この仮面の男もマジで誰なのか分かりません。過去のデスゲームの優勝者なのかな?等と推測するしかありません。

さすがに説明不足&ストーリーのブレがあって見づらいところもありますが、役者陣の演技は上手いですし、90分ほどの作品なので流し見くらいならば全然ありだと思います。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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