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考察パーマン

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「パーマンは世界一のラブストーリーである」を、じっくり検証していくマガジンです。
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#マンガ

ヒーローだってママの愛情が欲しい『母恋いパーマン』/Fキャラは家出する④

ヒーローだってママの愛情が欲しい『母恋いパーマン』/Fキャラは家出する④

藤子キャラクターたちは、家出する。
のび太も、のび太の息子も、
Q太郎もベラボーもエリさまも、
みんな、みんな家出する。
空夫(モジャ公)は宇宙に家出してしまう。
パーマンも、中年スーパーマンも家を飛び出す。
でも、みんな好きで家出しているわけではない。
それぞれ、仕方のない理由があるのである。
今回は思わず涙の感動的な「家出」作品をご紹介!

これまで「ドラえもん」と「新オバケのQ太郎」から多く

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パーマンの魅力揃い踏みの傑作『エベレスト決死行』/エヴェレスト決死行②

パーマンの魅力揃い踏みの傑作『エベレスト決死行』/エヴェレスト決死行②

1953年にイギリス隊によるエヴェレストの初登頂が成し遂げられると、その後は立て続けに各国の登山隊が登頂に成功していく。その中で、昔からその存在が噂されていた雪男(イエティ)の足跡や目撃情報が多く見受けられるようになった。

UMAを愛する藤子先生は、すぐさまその状況に反応し、雪男を題材とした作品をいくつか執筆した。その中で1965年に「オバケのQ太郎」に雪男を登場させたが、この時は無邪気な生き物

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パーマンは弾丸を跳ね返す?『タマより弱く』/藤子ヒーローVSピストル①

パーマンは弾丸を跳ね返す?『タマより弱く』/藤子ヒーローVSピストル①

パーマンが拳銃で撃たれたらどうなるのだろう。マスクを被れば普通の人間の6600倍の力・強度を誇る超人となるが、ピストルの弾を跳ね返すことはできるのだろうか・・?

エスパー魔美が拳銃で撃たれたらどうなるのだろう。仁丹を自分にぶつけてテレポートしているが、目にも止まらぬ速度のタマでテレポートすることはできるのだろうか・・?

二人の藤子ヒーローと拳銃の戦いは、どちらに軍配が上がるのか。そんな人類全て

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ヒーローは逆恨みされる『電話魔の犯人をさがせ』/対決・電話魔②

ヒーローは逆恨みされる『電話魔の犯人をさがせ』/対決・電話魔②

携帯電話の登場以前・以後で、作られる物語が変化したことを前回の記事で書いた。

携帯のない世界では、固定電話を使わなければ、その人と連絡を取るのは困難であった。今の日常生活においては不便極まりないが、物語の世界では、この不便さが思わぬストーリーを生み出すきっかけとなった。

ベタな例でいくと、好きな子に連絡を取りたいが家に電話をすると家族が出てしまうかもしれない。もし出たらどうしよう・・などと考え

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パーマンVS幽霊トリック『別荘のユーレイ』/しかしユーレイはいない④

パーマンVS幽霊トリック『別荘のユーレイ』/しかしユーレイはいない④

「幽霊がいた!」→「やはりいない」と展開する作品を集めてきた「しかしユーレイはいない」シリーズ記事も4本目となる。まだ続くの?という感じだが、もう少しお付き合い願いたい・・。

これまで①「ドラえもん」②「オバケのQ太郎」③「ウメ星デンカ」と見てきたが、本稿では④「パーマン」を取り上げる。

「パーマン」は60年代と80年代の二回連載された珍しい作品である。今回見ていく『別荘のユーレイ』は、80年

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本物の勇気とは?『かなしい勝利』/パーマンの美学③

本物の勇気とは?『かなしい勝利』/パーマンの美学③

大げさではなく、僕の人生を方向づけた「パーマンの美学」を描いた作品について、3回に分けて記事にしていきます! 本稿はその最終回。

「パーマンの美学」と題して、2本の作品を検証してきた。2作ともみつ夫がパーマンを辞めたいと言い出す話であったが、その理由を最近流行りの「承認欲求」という概念を借りて整理した。

『パーマンやめたい』
自己承認欲求が満たされない → パーマン辞めたい

『パーマンはつら

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僕の人生を方向づけたバイブル!『パーマンはつらいよ』/パーマンの美学②

僕の人生を方向づけたバイブル!『パーマンはつらいよ』/パーマンの美学②

大げさではなく、僕の人生を方向づけた「パーマンの美学」を描いた作品について、3回に分けて記事にしていきます! 本稿はその第2弾。

前回の記事で、承認欲求には、自己承認欲求と他者承認欲求に大別されるが、パーマン(みつ夫)は、ヒーロー活動において、その両方が満たされないということを書いた。

その上で、前回では自己承認欲求が満たされないことから、パーマンを辞めたいと言い出したお話を検証した。記事は以

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パーマン、辞表を提出す。/パーマンの美学①

パーマン、辞表を提出す。/パーマンの美学①

大げさではなく、僕の人生を方向づけた「パーマンの美学」を描いた作品について、3回に分けて記事にしていきます! 本稿はその第一弾。

承認欲求という言葉を、最近よく耳にする。

一般的に承認欲求は、自己承認欲求と他者承認欲求に大別される。前者は自分で自分のことを認めてあげたいという欲求で、後者は人から認めてほしいという欲求のことである。

多くの人がこうした欲求を持つことは非常に理解できるし、僕もそ

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映画化希望!パーマン史上最大の大作『”鉄の棺桶”突破せよ』

映画化希望!パーマン史上最大の大作『”鉄の棺桶”突破せよ』

パーマンは主に日常を舞台にしたヒーローマンガだが、時おりスケールの大きな敵が登場して、パーマンたちを苦しめる。

特に初期パーマンでは、冷戦下での物語となっているため、米ソの対立を背景にしたと思われるX国とQ国の冷戦を描いたお話も二作あった。

この中の『国際スパイ大作戦』は、ボム博士といういかにも水爆を作りそうな科学者の身柄を二か国で争奪する話であった。本作はここから繋がっている続編的なお話とな

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パーマン5号が消えた理由(わけ)/考察パーマン⑩後半

パーマン5号が消えた理由(わけ)/考察パーマン⑩後半

パーマン仲間は一般的に4人と思われている。

1号=須羽みつ夫
2号=ブービー
3号=パー子
4号=パーやん である。

主人公の1号が平凡な男の子だとすると、2号が探し物上手のサル、3号がおてんばな女の子、4号がガッチリ賢い大阪人、というキャラ分けができている。

おそらくF先生も、この布陣で進めていくことにしていたと思うが、連載開始からだいぶ経った段階で、突然5人目のパーマンが構想される。それ

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幻の赤ちゃんパーマン5号誕生!/考察パーマン⑩前半

幻の赤ちゃんパーマン5号誕生!/考察パーマン⑩前半

あなたは知っているだろうか?
赤ちゃんのパーマンがいたことを。

通称パー坊。パーマン5号である。

「パーマン」は1967年に連載が始まった「旧」と、80年代にリバイバルされた「新」の二つのバージョンがあって、微妙に設定が異なっている。これについては、またいずれ検証するが、最も大きな相違点は、パーマンが5人から4人になったという大幅な設定の変更である。

僕は80年代にパーマンを知った「新」世代

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「オバQ+パーマン」”映画”6本立て/藤子Fザ・ムービー①

「オバQ+パーマン」”映画”6本立て/藤子Fザ・ムービー①

藤子不二雄両先生の映画好きは有名だが、その結果「オバケのQ太郎」などの藤子F作品には、「映画」をテーマとしている作品が非常に多く存在する。特に映画作りの裏側を描いた作品は数知れない。

そこで、映画撮影のバックヤードを描いた作品をいくつか選んで、藤子先生の映画愛を検証してみたいと思う。「藤子Fザ・ムービー」と題して、全4回の連載企画を予定している。これをきっかけに、映画ネタ作品リストを作っていけれ

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水爆をわが手に・国際スパイ大作戦!/考察パーマン⑨

水爆をわが手に・国際スパイ大作戦!/考察パーマン⑨

二度の世界大戦を経験した人類だが、第二次大戦後、新たな覇権争いを勃発させ、西側・東側に世界を二分した冷戦時代へと突入する。日本は戦争放棄を明記した日本国憲法を金看板にして、直接的な戦争に関わることを避けて、戦後復興を図っていった。

しかし主に米ソの核兵器の開発競争は、キューバ危機などの一触即発の事態を引き起こし、世界を激動させた。当然、日本も安穏とはしていられなかった。核戦争や世界の破滅が今より

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トラブル続出!? コピーロボットの7大特色/考察パーマン⑧

トラブル続出!? コピーロボットの7大特色/考察パーマン⑧

パーマンが活躍するにはパーマンセットが必要なのは言うまでもない。力を増幅させるマスク、空を飛ぶことができるマント、仲間との通信や酸素ボンベとして役立つバッジ。事件や事故を解決するには、どれも重要である。

しかしもう一つパーマンに必要なもの、それがコピーロボットだ。

ヒーロー活動において大事なものは、ヒーローの力だけでなく、ヒーローとして活躍できる「時間」である。小学生とパーマンの二足の草鞋を履

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