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オンラインライブを観た⑧(ネクライトーキー/the telephones)

7.23 ネクライトーキー 「デジタルビリビリ演奏会」

初のオンラインライブ。メジャーデビューに併せて最大規模の全国ツアーという折にコロナ禍でほぼ中止。きっと諸々に負の感情を抱えているであろう5人、1曲目「めっちゃかわいいうた」から勿論トップギア。2曲目「夢見るドブネズミ」も、きっとこの夏多くのフェスでプレイされていただろうな、、と思うのだけれど、そんな無念を蹴り飛ばすような演奏だ。<地べたを這おうが進むだけマシだ わかってないことだらけでも>と括る強さがある。


「放課後の記憶」など、苛立ちをジトジトとぶつけるような曲など、何となく今のムードから敬遠されそうな曲も平気でやってのけれるのもネクライトーキーの愛嬌ゆえだろう。今、イライラしているということをポップに変換できるって相当な強みである。「音楽な嫌いな女の子」における、逆ギレとガン無視のエネルギーとか、実は今最も求められる在り方なのではないだろうか。陰の者の叫びなどではない、これは音楽を生業とする者の生の言葉。


ここから、バンドの振れ幅を示すような楽曲が続く。「渋谷駅前ハチ公前もふもふ動物大行進」はタイトルに反してエッジーでドープなグルーヴが渦巻く1曲。サンプラー使いとか、ライブの空気を一変させてくれる。「ぽんぽこ節」は、とびきりキャッチーなパートとカオティックでテクニカルなセッションが交錯する珍曲。プレイヤーとしての手腕も存分に発揮し、骨太なバンドの地力も示す。もっさ(Vo/Gt)のラスサビ前のブチギレっぷりも痛快!

「こんがらがった!」の合図で放たれる同タイトルの曲は、混迷極める今の時代を突き刺していくガムシャラな昂ぶりに満ちていた気持ち良かった。ロックミュージックとは常に、訳も無くこちらを高揚させてくれるものなのだ。その後、たっぷり間を置いて「あの娘は竜に逢う」。飛び跳ねるリズムに、シニカルな歌詞が載る、朝日廉(Gt)aka石風呂のボカロ時代からの1曲。日常と奇跡の乖離を皮肉りながら歌うこの曲も、今の心境を映してるよう。

「深夜とコンビニ」には聴き入ってしまった。昨年のツアーから披露されていた曲だが、この曲の剥き出しの不安はコロナ禍なんて関係なく朝日の胸に存在しているはずなのだが、今鳴らされると多くの人の気持ちに寄り添う曲として響いてしまう。それでも続く日々に対して送るかのような最後の朝日による長いギターソロは、言葉以上に雄弁だった。そして「朝焼けの中で」に繋ぐ物語性。どんなドン底でも、じっと光を睨みつけているのが彼らだ。


「許せ!服部」の間奏では観客のカウントに合わせてキメを打つのが定例だが、この日は特別仕様。もっさが「CD」「ライブ」と書かれたボードを上げると、それに合わせてアレンジを切り替える、という趣向が。まったりとしたCDverと豪快なライブverの温度差!そして4人それぞれの前で「ライブ」のボードを掲げ、自在に演奏をコントロールするもっさの指揮官っぷり!最後に自分のギターソロへと持っていく様など、ステージ映えが凄まじい。


この日ようやくのMCを挟み、新曲を披露。チップチューンのようなシンセで始まり、その後は闊歩するようなドラミングと大きく広がるメロディが印象的な1曲。たっぷりと噛み締めて聴いた後、聴き覚えのないカッティングが鳴る。ライブアレンジされた「北上のススメ」!この飛び切りのポップさを支えるタイトな演奏、終盤をもうひと盛り上がりさせるのに最適すぎる。上昇気流に乗っていくように熱を上げる楽曲、ビブラスラップの音も楽しい。


しっとりとしたカウントダウン、そしてファイヤーからの代表曲「オシャレ大作戦」はかなりグッときてしまう。元より、鬱憤や逆風をガソリンにして爆発させるタイプのバンドが、この状況下で放つ最も美しい怒りだと思った。シメの定番曲「遠吠えのサンセット」に至るまで、その暗澹たる感情を爆音に乗せてぶっ飛ばし続けてくれた。コロナ禍で蓄えた莫大な量のマイナス感情が一体これからどんな音楽を紡いでくれるのかと楽しみでしかない。


-setlist-
1.めっちゃかわいいうた
2.夢見るドブネズミ
3.放課後の記憶
4.音楽が嫌いな女の子
5.渋谷駅前ハチ公前もふもふ動物大行進
6.ぽんぽこ節
7.こんがらがった!
8.あの娘は竜に逢う
9.深夜とコンビニ
10.朝焼けの中で
11.許せ!服部
12.新曲
13.北上のススメ
14.オシャレ大作戦
15.遠吠えのサンセット


7.17 the telephones「Online DE DISCO!!!」(アーカイブ7/24迄)

さいたまHEAVEN'S ROCK新都心からのライブ中継。フェイスシールド、LINE LIVEを通しての加工など、コロナ禍っぽい演出を1曲目「Baby.Baby.Baby」に詰め込んだ後は、超ストイックなtelephonesのライブ。クレーンカメラやレールなどを用いた大がかりなオンラインライブに慣れ切ってたけど、この公演は本来のライブハウスの最前列で観るのに近いような熱気に満ちていた。

新曲「Tequila, Tequila, Tequila」は、各々がそれぞれの場所で練り上げてきたグルーヴが顕在化したダンスチューンでどうしたってニューアルバムへの期待が高まる。そして人気投票トップ3(疑惑の得票数だったようだが)、メンバーが選出した4曲からのリクエストなど、この日ならではの試みを実行。絶対に普段は聴けない楽曲揃いで、ペシャル感はしっかりと確保されていた。

更なる未発表新曲「Do the Disco」からは容赦なきDISCOの応酬が降り注いでくる。多種多様なダンスロック、そこにくっきりと光るDISCOの印。2010年代初頭、フェスを変貌させた数々のアンセムが濃密なライブハウスの熱気を背負って放射される様!もう汗だくになりながら観てしまった。現場の熱をお茶の間に運ぶこと、容易じゃないけど地力があればやってのけれるのだ。


-setlist-
1.Baby, Baby, Baby
2.DaDaDa
3.Keep Your DISCO!!!
4.A.B.C.DISCO
5.Tequila, Tequila, Tequila
6.SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!
7.My Final Fantasy
8.Relationships
9.What's Your Name???
10.ambient metronome
11.Do the Disco (新曲)
12.Monkey Discooooooo
13.I Hate DISCOOOOOOO!!!
14.urban disco
15.Love&DISCO

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