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2022年3月の色々(家主/M-1ツアー/愛知県陶磁器美術館/多治見モザイクタイルミュージアム)

3.6 家主”DOOM”Release Tour 2022@今池得三

人気急上昇、という形容は似つかわしくないが実際、すごく支持が高まっていることは明白な東京の4ピースバンド。今池の小さな居酒屋兼ライブハウスという本会場は即効ソールドアウト。そして結果として大熱狂を生み出していた。SEなしでふらりと入場し、田中ヤコブ(Vo/Gt)のMCともつかない喋りで幕開けたのには拍子抜けしたが、曲が始まれば終わってからも興奮醒めやらないようなロックンロールショー。かなりインパクトあるライブだった。

ものすごく温かみのある三者三様の歌と、田中ヤコブの速弾きを中心とするやり過ぎなくらいに激しい演奏。とても心地よくもあり、たまらなく昂ってくる瞬間もある。座ってみていたけど、ちょっと我慢できないくらいには躍動的で幸福感のあるライブなのだ。曲とプレイの良さ、それのみ、なのだけどそれだけで充分。故に、どういう枠にも収まりきらない不思議さもある。くるり的な自由度の高さで3人のソングライターがいるって、かなり強い。

それにしても田中ヤコブのギタリストとしての華やかさはもっと話題になってしかるべし。この日をもって林宏敏、ナードマグネット藤井に続く個人的3大“顔で弾くギタリスト”と認定。あとタッピングしながらのどかに歌う姿を観て、ユニゾン斎藤、ベボベ小出に続く個人的3大”常人離れしたことをしてるボーカルギター”にも認定。次はオールスタンディングで見たいな。おしゃれイベントもロックフェスもどちらにも浮きそうでちゃんとハマりそうバンド。


3.9 M-1ツアースペシャル2022@愛知県特殊陶業記念会館フォレストホール

2回目のM-1ツアー。今回はかなり、香盤が良かった。キュウがドンキーコングでじわじわと高め、恐らくスケジュールの都合で出番が早まったインディアンスのおかげで一気に会場が温まりきった。ヘンダーソンはだんだんと「だめだなあ」を広げる狂気を見せつけ、東京ホテイソンは初めて観た歌ネタがとても良かった。男性ブランコは平井ひとり喋りによるツカみに打ち震えたし、金属バットはずっと容赦なく悪い笑いを畳み掛けるのでそりゃ震えた。

そしてしかし非よしもと勢の遅延行為が凄いね!笑 ランジャタイ10分、モグライダー12分、真空ジェシカも10分近く。迷惑すぎて最高だった。初めて生で観るランジャタイはとにかく脳を揺さぶられた。漫才の映像が頭をハックしてくる感覚、衝撃的。脂も悪さもノリまくってた。全ての場所で爪痕を残す奴ら。この後にモグライダーが出ることで芝さんがちゃんと場を整えてくれるし、非吉本に挟まれた川瀬名人の対処も良かった。寄席とは連携プレーだ。

決勝上位組はさすがすぎた。ロングコートダディがネタとしては1番面白かったのでは。漫才コントの可能性をどんどん広げていって欲しい。ももを受けてロコディとオズワルドをツカミに引用してたのもこういうイベントならではだな、と。そしてトリ、錦鯉の慰問ネタは恐らく「にちようチャップリン」でお蔵入りしてたネタでは?当然TVじゃ無理な内容だし、真実のお笑いは現場にあるんだなと実感。



昭和レトロモダン、やきもの現代考「内⇄外」@愛知県陶磁美術館

瀬戸市にある陶磁美術館に初来訪。デザインの美術展に行くのは初めてだったけど、これがなかなか興味深かった。その時代の流行をとらえた、ちゃんと売れるためのデザインが多いみたいだけど、制作年を提示されないと今のモノと思いかねないような普遍性のある作品も多かった。こんなサイバーな洋食器が流行った時代もあったんだな、とか。

そんなメインイベントと同時開催の「やきもの現代考」という若手アーティストの展示もとても良かった。奥直子さんの「在」という作品群、陶器という圧倒的に物質を感じる素材の“空洞”にフォーカスし、化け物が現れ出て来る現実の揺らぎを表現していた。幻惑が質量をもって存在してるという、凄く矛盾している状態を圧倒的な力量で見せつけてた。

焼き物という範疇でこんなにも表現が出来るとは。感服した。ポップなのに大きな空洞を抱えた青い顔と、なぜこの質感を焼き物で出そうとしたのか興味深すぎる作品と、木の模様をサンプリングした焼き物と、光をも取り込んでしまった焼き物と。表現メディアを跨ぎ、その表現幅にこそ面白さを見出すような、激アツの若手焼き物シーンを存分に知れた。



多治見モザイクタイルミュージアム

まるで平面のような建物そのものも圧巻で見惚れてしまうのだけど、中身も当然素晴らしい。工業製品でありながら、デザイン性もどんどん伴っていった特殊性、単純にころんとしてて可愛いルックス、反復と羅列で複雑性を増してくアート性。タイルの持つ奥ゆかしさをよく知れた。1テーマで一点突破できる強度と、ポップな親しみやすさが共存した施設。

常設してあったモザイクタイルの歴史資料展示も素晴らしく、見飽きない。街中で見かけるタイルにこれから注目しちゃう。そしてこだんみほさんの企画展「銭湯幻視モザイク湯」も凄く良かった。消えゆく銭湯の壁画カルチャーのイメージをレジンと多彩な額装で表現した作品群。妙にノスタルジックな気分になった。再編集して残すサンプリング技術よ。


多治見にはそのほかにも若手アーティストの焼き物を展示している「多治見創造館」なる建物もあり、非常に興味深かった。Eテレ×JUNK HEADなキャラもの、使徒のようなスタイリッシュなもの、CGグラフィックかのような構築美のもの、どこか生き物の気配を感じる集合体、、こちらも多彩な表現が光る。まだまだ掘り下げ甲斐のある表現形態だ。


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