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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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2022年12月の記事一覧

みじかい3つのクリスマス物語~読書記録212~

みじかい3つのクリスマス物語~読書記録212~

作者は「若草物語」で有名なオルコットだ。

もの静かな小さな娘
テイリーのクリスマス
ローザの物語

の3つの作品が掲載されている。

日本に紹介されたのは2000年になるが、アメリカの文学研究者、編集者として名高いスティーブン・ハイネスが発見したのだ。
子供向けの雑誌に掲載されていたのだが、誰にも気づかれることなく、70年も経ってから、このように1冊の本として出版されるに至った。

スティーブン

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個室 引きこもりの時代 ~読書記録211~

個室 引きこもりの時代 ~読書記録211~

1997年に宗教学者である島田裕巳先生が書かれた書。

20年以上も前のものでもあるから、今とは時代背景も変わっている。
そのことを踏まえて読んだほうがよいと思った。
というのも、この書が書かれたのは20世紀。
21世紀になってからの時代の変化は目まぐるしいからである。
当時はなかったスマホ。又、気楽に出前が頼めるようになった事もあり、本当にアパートなり、自宅の自室で引きこもりが快適になったのだ。

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五つの棺~読書記録210~

五つの棺~読書記録210~

ミステリー作家・折原一の作品。

この題名を観て、ミステリー好きの人は、あれ?と思うだろう。
そう、密室トリックの名人、ジョン・ディクスン・カーの「三つの棺」を想い浮かべるのだ。
そして、最初のページには
「不可能犯罪の巨匠ジョン・ディクスン・カーに捧げる」
と記されてある。

つまり、明らかにジョン・ディクスン・カーを意識して書き下ろしたものなのだ。
で、折原一の作品に度々出て来る黒星警部が捜査

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三つの棺~読書記録209~

三つの棺~読書記録209~

ジョン・ディクスン・カーによる密室殺人のミステリー。

アメリカ生まれの作家で「密室事件と言ったら!」で知られている。
ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr, 1906年11月30日 - 1977年2月27日)はアメリカ合衆国の小説家である。本格推理小説の代表的な作者のひとりで、密室殺人を扱った作品で知られる。

「シャーロック・ホームズの功績」という短編集は、父親コナン・

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シャーロック・ホームズの事件簿~読書記録208~

シャーロック・ホームズの事件簿~読書記録208~

コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズ・シリーズの短編集だ。

収録作品は
マザリンの宝石
ソア橋
這う人
吸血鬼
三人ガリデブ
高名の依頼人
三破風館
白面の兵士
ライオンのたてがみ
引退した絵具師
覆面の下宿人
ショスコム荘

の12作品となる。

これで、コナン・ドイル作のシャーロック・ホームズ作品は完読したわけだ。
今回の2つの作品には、ワトスン博士が登場しないものがある。
「白面の兵

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道徳自警団がニッポンを滅ぼす~読書記録207~

道徳自警団がニッポンを滅ぼす~読書記録207~

2017年に古谷経衡によって書かれた書。

私が「自警団」という名前を初めて目にしたのは、ネットの中であった。
正義感溢れた方たちが「ネット自警団」を名乗り、活動していた。
今思うと、右左関係なく、自分たちの意に沿わない相手と喧嘩していただけのような気もするのだが。

古谷氏が言われていた、
「何故、日本の女性芸能人は恋愛がタブーなのか?」
「あんなに叩かれるのか?」
は、一度は若い人は考えた方が

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意識高い系の研究~読書記録206~

意識高い系の研究~読書記録206~

2017年 古谷経衡氏による著書。

私は旧い人間なので、意識高い系という概念が実はよくわかっていない。
本当の事を言うと、ネトウヨだのパヨクだのの言葉も、他の人にこっそりと質問したりしてきた。
古谷さんの著書は、そんな世間から外れてしまった私には色々と教えてくれる有難い書なのだ。

土地に土着しない。
後発に東京に出てきた。
スクールカーストの中では第二階級。

そうなのか、と思うものの。どうも

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気にしない練習~読書記録205~

気にしない練習~読書記録205~

東京都江戸川区にある真言宗豊山派の寺の住職・名取芳彦(ほうげん)師によって書かれたエッセイ。

名取住職の事を知ったのは、つい最近だ。
10月に実家に行き、実家に菩提寺より送られてくる会報に毎回コラムが書かれているのだ。

このように見開きで、非常にわかりやすく心穏やかになるものである。
それで、興味を抱き、他の本をと探したのが、こちらになる。

私たちは人生の多くの場面で、一部を心に焼き付けてい

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いまどきの納骨堂~読書記録204~

いまどきの納骨堂~読書記録204~

フリーライターの井上里津子さんによる著書。

1990年代に、従来の墓とは違った形でのビルの中にある納骨堂が誕生。

都市部では土地不足も関係ある科と思う。私の住む近くの寺でもカード式納骨堂はいくつかある。

「墓じまい」「継承する人がいない」
今や大きな問題となっている。
この本では、主に浄土真宗の寺院が行っているのうこつどうについて詳しく書かれていた。

今後、自分や家族の墓をどうするか、考え

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今なら間に合う 脱・品困老後~読書記録203~

今なら間に合う 脱・品困老後~読書記録203~

2016年 サンデー毎日取材班によるルポだ。

元は、サンデー毎日での「貧困老後」の連載に多くの反響が寄せられ、高齢者やNPO法人などに取材をしたものだ。

老後の経済的困難は自己責任。資本主義であるなら確かにそうなのであろう。
だが、本当にそうなのか?
社会の変化、寿命が伸びることは良い事ばかりではない。

年金制度が出来た頃と現在では状況も変わっている。
いつ自分や家族が認知症になるかわからな

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左翼も右翼も嘘ばかり~読書記録202~

左翼も右翼も嘘ばかり~読書記録202~

2015年 評論家の古谷経衝(つねひら)氏による論評。

この本は、書かれた時期が重用なのである。
執筆時期は、2014年12月に発足した第三次安倍内閣の頃からだ。

2014年12月に衆議院議員選挙が行われ、自民党の圧勝となった。
個人的な感想だが、当時の雰囲気として、左も右も「安倍晋三」という1個人を中心に論争があったような気がする。
テレビのコメンテーターしかり、Twitterの政治アカウン

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シャーロック・ホームズ最後の挨拶~読書記録201~

シャーロック・ホームズ最後の挨拶~読書記録201~

1917年に発行されたシャーロック・ホームズシリーズの短編集。

ウィスタリア荘
ボール箱
赤い輪党
ブルース・パーティントン設計図
瀕死の探偵
フランシス・カーファックスの失踪
悪魔の足
最後の挨拶

の8編が収録されている。

ボール箱は、始めは「シャーロック・ホームズの思い出」に収録されたが、ドイルは男女の三角関係など好ましくないと削除。
そして、こちらの短編集に収録された。

昔の日本では

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万葉学者、墓をしまい母を送る~読書記録200~

万葉学者、墓をしまい母を送る~読書記録200~

2020年発行。奈良大学教授の上野誠先生の体験談である。

 冒頭に「これから私が語ろうとすることは、個人的体験記でもなければ、民俗誌でもない。評論でもないし、ましていわんや小説でもない。ひとりの古典学徒が体験した、死をめぐる儀礼や墓にたいする省察である」と書いた通りの本です。ひとことでいえば、個人が体験した小さな歴史を書きたかったのです。織田信長と豊臣秀吉と徳川家康を繋いだら歴史になるのか。史料

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