おせん

日記を書いています。 なんてことない毎日をよく見ていようと思います。

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最近の記事

町内シスターフッド

お昼前、子らがそれぞれに部活やバイトに散り、ちょうど入れ違いにご近所さんが役員の引き継ぎに来てくれた。否が応でも順番に回ってくる町内の婦人部役員。私はこの役をするのは初めてなので心して引き継ぎ事項を聞く。これって意味あるの?とか異議を申し立てるほどの情熱もないのでとにかく粛々と役目をなぞるのみだ。 そして何年も役と共に引き継がれてきたノートや名簿の入った手さげ袋を渡された。ピンクの不織布の手さげ袋。果たしてこれが某ランジェリーショップのショッパーであるということを町内のおば

    • 温め直しをくりかえす

      11階の窓からの眺めはもったいないくらいきれいだった。晴れ渡った青空、黄色と緑のまだら織りのような山。それを分け入る高速道路と国道。小さな長男がいればあのトミカのように流れ続ける車を見てるだけで1時間は時間が潰せると思いついたけどもうその長男は大学生なのだった。 私は二泊三日の検査入院に来ていた。四人部屋の窓側のベッド。今日から束の間の私のひとりスペースに内心ワクワクしていた。ベッドに横になってひとしきり高い青空を見て心を空っぽにする贅沢をしたあと採血とMRIを終え、病院食

      • 「君たちはどう生きるか」を観た

        心に残ったシーンをただただ書き連ねてます。 ネタバレありの勝手な感想です。映画を観た人だけ読んでください。 私が知っていたのは、ポスタービジュアルと主題歌が米津玄師さんの地球儀であるということ。こんなに事前情報なしでうてる映画って今後もうないんじゃないか、パンフレットが発売され情報解禁になる前に体験したかったのだ。舞台がどこで時代はいつなのか、そもそも人間が出てくるのかもわからない。どこに連れて行かれるのかミステリーツアーに参加する気分だった。 まず火事のシーンすごくなか

        • 引退に遭遇する

          朝、高校生次男がソワソワしている。「忘れ物ないかな…」と呟きながらウロウロして落ち着きがない。理由を聞くと"部活動の練習最後の日"らしい。明日は引退試合だと聞いてはいたが、そうかそれは今日が部活動の練習としては最後の日ということになるのか。長男の時もそうだが今まで引退の日を予告されたことがなく、こんなにもリアルタイムで「引退」に居合わせていることに高揚した。 「行ってきます」と二階のリビング(二世帯同居の為二階が我々の主な居住区)を出ようとする次男を走って追い抜き、両手を上

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          静かな自転車

          三男が自転車をこぐと変な音がするというので自転車屋さんに持って行くことにした。少し距離があるのと仕事終わりで疲れていたこともあり、なんとか私の軽自動車に三男の自転車を積めないかと二人でがんばってみたが、やはり車内の天井につかえてしまい断念した。諦めて私と三男で連れ立って自転車で自転車屋さんに行く。三男に並走しながらどんな変な音がしてるのか聞こうとしたが全然わからなかった。というのも私の自転車の方がよっぽどガッチャンガッチャンとうるさく、耳を澄まそうにも邪魔され何も聞こえないの

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          不安を分割払いにする

          初めての場所を運転するのが苦手だ。 特に到着時間が指定されていようものなら1ヶ月前から胃がキューッとなる。 長男に「東京に行くから空港まで送り迎えしてほしい」と頼まれ、私の背筋は硬直した。そんなとこまで運転したことがない。数分おきに出る電車と違い、飛行機となると遅刻は許されない。怖すぎる!これは練習が必要だ。早速運転の予行演習にでかけた。事前にグーグルマップで大体の行き方は勉強したが、カーナビで提示されたルート候補がどれも違う気がする。とりあえず一つ選択して行ってみることに

          不安を分割払いにする

          台風に追いつかれる

          中学生三男の初めての試合の日だ。 早朝の出発だったが、いつもギリギリまで寝ている三男もさすがに起きた。朝ごはんと弁当と水筒を用意してやる。一年生はユニフォームがないのでゼッケンを昨日のうちに作っておいた。それを安全ピンで体操服の背中側につけることになっているのだが、見てるだけでゾワゾワした。安全ピンが肌に近いところに刺さっている様子は怖い。 三男は何度も警報が出ていないか聞いてくる。数十年に一度の大型台風が近づいて来ているが、見るからに外の景色は穏やかだしまだこちらには届い

          台風に追いつかれる

          もはやママ友でもない

          私はその日が来るのをとても楽しみにしていた。何を着ていこうか、このこともあのことも話したいことがいっぱいある。どこでごはんを食べよう、あっそうだ今何か企画展してなかったっけ?と検索に余念が無い。まるでデートに向ける心持ちだ。 その日はデートではなく、あるママ友と初めて二人でお出かけをする日だった。長男のときも次男のときもそれぞれにママ友はできて楽しかったが、子が大きくなるとだんだん疎遠になってしまった。ママ友とは子どもありきのものだからしょうがないと思っていた。しかし三男経

          もはやママ友でもない

          送迎というジャンルの育児

          お昼ごはんにサラダうどんを作って子と食べたが、また茹ですぎてしまったのかとんでもなくコシがない。我ながら美味しくなかったが、子が文句を言わずに食べているので「こりゃちょっと茹ですぎたね」と言ってしまうと不味さに気づかれてしまうような気がして私も黙々と食べた。途中で鰹節をかけてないことに気づき少しでも美味しくなってくれー!と、願いを込めて子の食べかけのサラダうどんに盛った途端、扇風機がこっちを向いて鰹節が見事に吹雪いた。 最近中学生の三男が週2で通っていた公文をやめ、スイミン

          送迎というジャンルの育児

          省エネ人間

          先日健診に行った結果が届いた。今回は貧血検査のオプションをつけていたのでワクワクしながら開封した。昔からずっと貧血なので検査なんかしなくとも貧血なのはわかっていたが、久しぶりにどれほどの貧血ぶりか見てやろうと腕試し的にオプションをつけた。 結果は過去最低値。要精密検査だった。数値を見てもよくこれで生きてるよなぁ、がんばってる方だよと思う。人間は慣れというものがあるから、エンジンが小さければそれなりの省エネで動けるようになってしまう。 小学生の時、保健室に迎えに来てくれる親

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          長男の推し活

          今日は長男が推しバンドのライブに行く日だった。前日夜遅くにバイトから帰ってご飯もお風呂もパスしベッドに倒れ込んでいた長男は、お昼に昨日食べるはずだった夜ご飯を食べ、浴びるはずだったシャワーを浴び、じわじわと推しに向かう準備を整えていた。今思えば2日前に美容院に行って人生初のカラーリングをしたときからもう準備は始まっていたのだろう。私が髪型と髪色をめちゃくちゃに褒めると本人も嬉しそうだった。わかります。推しが最高のパフォーマンスをしてくれるのだから受け取る側としてもできる限り仕

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          子と東京を見る

          次男がどうしても行きたいコンサートが東京であり、私も付き添いで行った。東京に行くのは私が小学生の頃の家族旅行以来だ。果たして予約した新幹線にちゃんと乗れるのか、在来線に乗り継いで目的地にたどり着けるのか、不安と緊張で胃がひねり揚げになりそうだった。 不安のあまり早めの新幹線を予約し、その新幹線に確実に乗れるようにこれまた早めに家を出たので待ち時間多めのスケジュールになった。それでもギリギリになるよりはずっと胃に優しい。次男も気が長い方なのでのんびり一緒に待ってくれた。 私

          子と東京を見る

          本当のマンゴー

          マンゴーをいただいた。 沖縄のマンゴー。めったにない珍しいいただき物だ。 いただいたのは二度目である。 前回は生のマンゴーをまるごと食べること自体が初めてだったので、切り方を検索し大変な盛り上がりで食べた。しかしあまり美味しくなかったのだ。加工されたマンゴー味に慣れすぎてしまったのだろうか、少しエグみがあって野性的な味がした。せっかくの本当のマンゴーなのに美味しがれない自分が残念だった。なので今年もまたいただいた時は正直気が重かったのだ。しかしこういうことは勢いが肝心。苦手

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          深夜の接待オセロ

          昨晩は、ワクチンの副反応で発熱した三男が薬を飲むのに時間がかかった。 「オレ、錠剤は飲めんよ」 堂々と拒否する三男。彼は社長気質なところがあり、いつも堂々と我を通すし貫禄さえある。仕方なく包丁で刻んでやると時間をかけてひとかけらずつ大量の水で流し込んでいた。 次の日私が仕事から帰る頃にはだいぶ元気になっていて安心した。しかしまだ頭が痛いというのでもう一度薬を刻んでやる。昨晩は5分くらいかけて難儀しながら飲んでいたのに今日は1分ほどで飲み終えていて驚いた。 「一度できたことはで

          深夜の接待オセロ

          司書さんにおける「お大事に」

           三男が欠席することを伝えるため中学校に電話をかけた。うちの子は3人兄弟である。毎年毎年それぞれのクラス、出席番号、担任の名前を覚えておくなんて高等スキルは持っていないので、いつも学校の電話番号とともにそれらを書いたメモをキッチン横のコルクボードに貼ってある。今朝もそれを見ながら電話をかけた。  「おはようございます!○○小学校です」 そこではじめて私は、今年の春三男が卒業した小学校にかけてしまったことに気がついた。あまりにも見事な間違い電話。もはや清々しい気持ちにすらなり

          司書さんにおける「お大事に」

          僕の服を紹介します

          私がリビングで横になりくつろいでいると、大学生長男が4着ほど服を持ってやって来ておもむろにソファーに1枚1枚広げ始めた。 「…何?」 「これ、オレの服です」 まだたたみ皺のある真新しい服達だった。 このところ連日ZOZOTOWNのダンボールが届いていたのはこれか。 「僕の服を紹介したかったん?」 「言っとかないとまた行方不明になるやん」 突然服を紹介したことが自分でもおもしろくなってきたのか長男もちょっと笑っていた。 うちには高校生の次男もいて、服のテイストが似ている。せめ

          僕の服を紹介します