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静かな自転車

三男が自転車をこぐと変な音がするというので自転車屋さんに持って行くことにした。少し距離があるのと仕事終わりで疲れていたこともあり、なんとか私の軽自動車に三男の自転車を積めないかと二人でがんばってみたが、やはり車内の天井につかえてしまい断念した。諦めて私と三男で連れ立って自転車で自転車屋さんに行く。三男に並走しながらどんな変な音がしてるのか聞こうとしたが全然わからなかった。というのも私の自転車の方がよっぽどガッチャンガッチャンとうるさく、耳を澄まそうにも邪魔され何も聞こえないのだ。私のはもうかなり古いママチャリだ。サビだらけだし後ろには朽ちた子供イスが古代遺跡のように残っている。もう乗せる子供はいないのだから撤去すればいいのに時々買い物したものを乗せるのに使ってしまう。

見てもらったところ三男のタイヤはパンクしていた。最近の自転車のタイヤは硬くできておりパンクしても自覚症状にまで至らないのだという。危うく乗り続けてホイールまで傷めるところだった。勇気を出して私のボロママチャリの異音も見てもらったら「これなら500円くらいで直りますよ」と言われ驚いた。「古いから買ったほうが早いですよ」という宣告を恐れて今まで修理に出さなかったというのになんてこと。

修理が終わるまで私達は近くのマクドナルドにいることにした。三男は本当によく喋る。中学生男子ってこんなに喋ってくれたかな?なんか色々笑ったけど話の内容は思い出せない。

帰り道は二人とも風になったように軽やかに自転車をこげた。ひとつ違ったことは、今までなら私の自転車はガッチャンガッチャンうるさくて前を歩いてる人が何事かと驚き後ろを振り返って道を開けてくれてたけど、静かになったのでもう気づいてもらえなくなったということだ。今思えばなんと歩行者に恐怖を与える自転車であったことか。

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