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省エネ人間

先日健診に行った結果が届いた。今回は貧血検査のオプションをつけていたのでワクワクしながら開封した。昔からずっと貧血なので検査なんかしなくとも貧血なのはわかっていたが、久しぶりにどれほどの貧血ぶりか見てやろうと腕試し的にオプションをつけた。

結果は過去最低値。要精密検査だった。数値を見てもよくこれで生きてるよなぁ、がんばってる方だよと思う。人間は慣れというものがあるから、エンジンが小さければそれなりの省エネで動けるようになってしまう。

小学生の時、保健室に迎えに来てくれる親はいつも私の顔を見るなり「○○ちゃーん」と笑顔だった。なぜ心配そうな面持ちではないのか。それは自分が親になった今ならわかる。保健室に入る直前までは彼らも心配で深刻な顔だったはずだ。それが子どもの顔を見た途端「よかった、生きてる」と安堵の笑顔になるのだ。

中学の吹奏楽部では一年生はしばらく楽器をもらえずマウスピースでロングトーンの練習のみ。夏、サボリと思われるのが嫌でギリギリまで耐えたが、ついに座って楽器を吹く先輩の前まで行き保健室に行っていいか聞いた。案の定サボリを疑われてる間に私の視界にあるものは先輩の歪んだ顔から彼女のセーラー服の胸元にとまる小さなリボンになり、スカートのひだになって先輩の悲鳴が遠くで聞こえた。

高校の時は同級生の男子が担架で運んでくれたが頭側を担当してくれてた子が先に階段を降りるから真っ逆さまにずり落ちそうで逆に意識がハッキリした。

ドラマなどでは貧血で倒れるときハラハラと花が散るような可憐なイメージだが、実際は2階から受け身無しで落ちた感じだ。気がついたときには全身がめちゃ痛い。

歳と共に燃費の悪い自分の体の操縦に慣れると倒れることはなくなった。今まで対策や治療をしてこなかったわけではないけど、倒れなくなってからはもういいかと放っておいた。それにかかる医療費を子どもの進学費用にあてたいとさえ思う。

精密検査とか大げさなんだよ、とボヤく私がフラグになってはいけないのでちゃんと精密検査の予約しました。


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