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長男の推し活

今日は長男が推しバンドのライブに行く日だった。前日夜遅くにバイトから帰ってご飯もお風呂もパスしベッドに倒れ込んでいた長男は、お昼に昨日食べるはずだった夜ご飯を食べ、浴びるはずだったシャワーを浴び、じわじわと推しに向かう準備を整えていた。今思えば2日前に美容院に行って人生初のカラーリングをしたときからもう準備は始まっていたのだろう。私が髪型と髪色をめちゃくちゃに褒めると本人も嬉しそうだった。わかります。推しが最高のパフォーマンスをしてくれるのだから受け取る側としてもできる限り仕上げて行きたいですよね。

ツアーTを着た長男を車に乗せて駅まで送る。いってらっしゃいの言葉と一緒に携帯用のアルコールチューブを渡した。

今日は午後からよく晴れていたのに夕方にゲリラ豪雨のように雨風が叩きつけ、外が真っ白になった。長男が無事会場に辿り着けたか気になってラインを送ると「傘持ってたからセーフ」と返信があった。なんと折りたたみ傘を持っていたのだ。私は家を出るときに晴れていたらずっと晴れだと思ってるし、「念の為の折りたたみ傘」をカバンに入れる習慣がないのでとても驚いた。なんて、なんて準備がいい子がなんだ!かねてより私は折りたたみ傘を持ち歩く人を尊敬している。

帰ってきた長男に「どうだった?楽しかった?」と聞いても「楽しかった」と答えるだけでいつも詳しく語ることはない。私に言っても長男が感じてる感動と同じ質量のものにはならないからだろう。推しの素晴らしさが正しく伝わらないくらいなら自分の中で熟成させておきたいと思うことが私もある。

ライブに行くたびに増えていく色とりどりのシリコンバンドが長男の部屋の専用のケースの中にまた綺麗に並べられていた。


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