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歴史的な反乱の舞台はスポーツにも波乱を起こす。サッカー・ルヴァン杯。J3富山が昨季のJ1王者神戸相手に「下剋上」。粘り抜いてPK戦で勝利

歴史的な反乱となった舞台はスポーツでも大波乱を起こした。サッカーのルヴァン杯3回戦で、J3のカターレ富山が昨季のJ1王者神戸を下す「下剋上」を成し遂げた。会場の富山はかつて歴史的な「米騒動」が起きた地。この地で民衆の怒りが爆発し、全国的な広がりを見せた。富山は「小が大を食う」場所にふさわしいのかもしれない。

日本の歴史を学んだ人ならば、「米騒動」は必ず聞いたことのある歴史的事件だろう。1918年に物価、特に米の価格が高騰し、人々は生活に苦しんだ。その怒りが富山の主婦たちを中心に爆発し全国的に拡大した事件だ。時の内閣が倒れることにもなった。

米騒動はスポーツの世界にも影響を及ぼした。「夏の甲子園」(当時は鳴尾野球場で行われる全国中等学校優勝野球大会)が中止に追い込まれている。

富山は「小さな者」たちが闘う震源となった。そして100年以上経った2024年。「小さな者」たちがサッカーで大波乱を起こす舞台となった。

昨季J1を初めて制した神戸。今季も15試合を終えて10勝2敗3分けで勝ち点29。2位につけて優勝争いを繰り広げている。

一方の富山はJリーグ最下部のJ3で戦っている。14試合を終えて7位。J2昇格のプレーオフ出場圏内の6位に届いていない。

それでもトーナメント方式のカップ戦では波乱が起きやすい。22日に富山で行われたルヴァン杯3回戦で、「小が大を食う」大波乱が起こったのだ。

先取点を挙げたのは神戸。前半19分、右サイドからのクロスにMF井出遥也選手がペナルティエリア中央から右足で転がしてゴールを奪った。この段階で神戸の楽勝ペースと思われた。

しかし富山は追加点を許さずに粘る。そして後半25分、右サイドからDF西矢慎平選手が浮き球のクロスを上げる。ゴール前で競り合う空中戦の中で、相手DFの頭に当たり、ゴールに吸い込まれた。オウンゴールで富山が同点に追いついた。

その後、同点のまま前後半を終え、延長戦にもつれる展開に。ここでも決着がつかず、PK戦になだれ込んだ。

先攻の神戸は1人目のキッカーがクロスバーに当てて失敗。一方の富山は次々にゴールを決める。5人目のDF川上優樹選手が右足でゴール左に決めて、勝負あり。川上選手は両腕を突き上げた。そして富山の選手たちが駆け寄り歓喜の輪が広がった。

「小が大を食う」形となったが、富山の選手たちはPK戦で落ち着いていた。しっかり間合いを取ってキック。心理戦で優位に立ったのが、大波乱につながった。

勝った富山は8強入りをかけてプレーオフラウンドに進出する。6月にホーム&アウェー方式で行われる戦い。次の相手はJ1札幌だ。さらなる波乱を富山は起こすかもしれない。

かつて「弱き者」が反乱を起こした舞台、富山。スポーツでもJ3カターレが「下剋上」を成し遂げた。富山の人たちには「小が大を食う」DNAが受け継がれているのかもしれない。

J3カターレ富山の「反乱」はどこまで続く?快進撃を見守っていきたい。

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