見出し画像

この男、勝ち上がり方を知っています。楽天・小郷選手が昨年の日本一相手に逆転アーチ。球団20年目の節目にAクラス入りめざす号砲。高校、大学ともにチームの躍進に貢献

この男は勝ち上がり方を知っている。楽天の小郷裕哉選手だ。プロ入り6年目の27歳。昨季日本一の阪神相手に逆転ホームランを放った。楽天は球団20年目の節目。Aクラス入りに向けた号砲のように思われた。小郷選手は学生時代にもチームの急成長に貢献した。この選手のバットには希望がぎっしり詰まっている。

5日に甲子園で行われたセパ交流戦。楽天は昨季日本一の阪神に挑んだ。序盤と中盤に1点ずつ許す苦しい展開。楽天は八回に1点を返して、九回に攻撃に臨む。

この回先頭の小深田大翔選手がレフトへヒットを放ち出塁。次打者の送りバントで二塁へ進む。ただ続く代打が三振に倒れ、2死に追い込まれた。

甲子園のスタンドからは、多くを占める阪神ファンから「あと一人」コールが鳴り響く。土俵際に追い込まれた楽天。虎が鷲をねじふせようとする。

ここで左打席に入ったのが1番打者の小郷選手だ。阪神の守護神、岩崎優投手のボールをしっかり見極めてカウント1-3と優位に持ち込む。

そして5球目。140キロの内角ストレート。小郷選手が強振すると、打球はライトへ高々と上がった。スタンドからの歓声と悲鳴が交錯。打球はスタンドギリギリに飛び込んだ。起死回生の逆転ホームラン。これが決勝点となり、鷲が虎を3-2で制した。

小郷選手は勝ち上がり方を知っている。高校時代は岡山の関西高校でプレーした。春夏通算甲子園21度の出場を誇る名門だ。

小郷選手は2年春に選抜大会、3年夏の全国選手権で甲子園に出場した。不思議に思えるのだが、その後、関西は甲子園出場がない。春夏ともに小郷選手が最後の甲子園出場となっているのだ。

そして立正大に進学後は、3年春にライトでレギュラーに定着。チームはこのシーズン、東都大学リーグ2部で優勝。1部の入れ替え戦も勝ち、15季ぶりの1部昇格を果たした。

4年秋の大学最後のシーズン。立正大は18季ぶりの1部リーグ優勝を果たした。小郷選手はベストナインに選出された。さらに明治神宮野球大会では全国優勝へと駆け上がった。

この年の2018年に行われたドラフト会議で楽天から7位指名を受けて入団。そして昨季、自己最多の120試合に出場し、自己最多の二けた10本塁打を放った。

高校、大学ともにチームの躍進に貢献した小郷選手。勝ち上がり方を知っている男だと言えるだろう。チーム20年目の楽天にとって、小郷選手のバットに期待がかかる。

チームは現在リーグ4位。首位ソフトバンクとは12ゲーム差、3位日本ハムとも6ゲーム差離されている。しかしチームは交流戦に入って6勝2敗と好調だ。

小郷選手が昨季の日本一チーム相手に放った逆転ホームランは、3季ぶりにAクラス入りをめざすチームの号砲となったように思える。

楽天はあきらめない。チームの勝ち上がり方を知っている男がいるから。小郷選手のバットに期待がかかる。鷲はまだまだ空高く舞える。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

525,778件

#野球が好き

11,049件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?