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被災した人たちへ自分のできることでエールを送りたい。全国都道府県対抗女子駅伝。石川の五島選手が1区区間賞。「私たちの走りが届いているとうれしいです」

被災した人たちへ自分のできることでエールを送りたい。だから、彼女の走りには力がこもっていた。全国都道府県対抗女子駅伝で、石川の五島莉乃選手が1区で区間賞を達成した。石川出身で星稜中学、星稜高校で学んだ五島選手。大地震のあった石川の皆さんに思いを馳せ、「少しでも私たちの走りが届いていると嬉しいです」と感極まりながら語った。

京都で行われた大会。2022年、23年と世界選手権女子1万メートル代表の五島選手は1区(6キロ)に登場。序盤から積極的な走りでトップを独走すると、18分49秒で区間賞を獲得し、1位でタスキをつないだ。

能登半島地震のあった1月1日。五島選手は帰省した石川から東京へ戻る新幹線の車内にいた。石川を出てすぐだったといい、列車は止まり、車内に12時間いたという。

帰京後の翌日から、次々と被災の状況が明らかになっていく。「ニュースで毎日見るたびに心が苦しかったです」。五島選手にとって、中学2年生のころからこの大会に参加し、今回で11回目。これまで以上に、思いを込めて、石川のために走ったはずだ。

石川のチームも当初はこの大会のために4日から合宿を行うはずだった。しかし選手たちが顔を合わせたのは大会3日前の11日だった。

レースに集中できる環境ではない。それでも、自分たちがベストを尽くすことで、エールを送ることができるはず。その思いが選手たちの力走に表れた。

チームの最終結果は43位だった。被災した選手たちもいたが、予定通りのメンバーで戦えたことは大きい。

そして沿道からは「石川、頑張れ」という声援が何度も送られていたという。沿道の人たちが声援を送り、そのパワーをもらったランナーたちが、自らの力走を通じて、被災した人たちにエールを送る。このような「タスキリレー」も重要だと思う。

今大会で優勝したのは宮城。29年ぶりの快挙だ。2区では兵庫の田中希実選手が19人抜きで区間賞を獲得した。5区では千葉の山﨑りさ選手が区間新記録をマークした。記録満載の大会だった。

そして石川の選手たちは記憶に残る走りを見せてくれた。被災した人たちのために、タスキをつないで、9区間42.195キロを駆け抜けた。

石川の選手の皆さん、ナイスランでした。走りを通じたエールは、きっと被災地の人たちに伝わっていますよ。

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