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秋の高校野球はもう始まっている。鹿児島では離島の球児たちが甲子園常連校を下す「波乱」も。監督は「島全体でつかんだ勝利」

夏の甲子園はつい先日、慶応が107年ぶりの日本一を成し遂げ、余韻に浸っている人も多いだろう。しかし、地域によっては来春の選抜に向けて秋の高校野球大会が始まっているのだ。鹿児島では離島の球児たちが甲子園常連校を下す「波乱」を起こした。残暑が厳しい中で、熱い秋の戦いが繰り広げられている。

鹿児島で大活躍を見せたのは、離島の徳之島高校の球児たち。部員はわずか14人。28日に鹿児島大会2回戦で樟南と対戦した。相手は春夏通算27度の甲子園を誇る強豪。1994年の夏の甲子園で準優勝。直近では2021年夏に甲子園に出場している。

徳之島は二回に3連打と犠牲フライで幸先よく2点を先制。三回にも1点を加え、優位に試合を進めた。中盤以降はランナーを出しながらタイムリーが出ず、七回には2点差に追い詰められた。

九回、徳之島の4番上原龍樹選手(2年)に貴重な2ランが飛び出た。初球をライトスタンドへ。「何を打ったかは覚えていないけど、打った瞬間に入ったと思った」と手応え抜群の一発だった。

上原選手にとって、鹿児島工との初戦に続く2試合連続のアーチ。4番が打てばチームも活気づく。徳之島は最後の守備を無失点に抑えて、5-2で強豪の樟南を下した。

徳之島にとって、強豪に勝つのは前チームから託された願いでもある。昨秋は鹿屋中央、今春は鹿児島城西と甲子園経験校に敗れていた。

新チームになってから夏休み中に台風で練習試合が中止になることもあった。それでも野球部を引退した3年生が練習の手伝いをしてくれたり、樟南の左腕エース対策のために、OBの左投手が打撃投手を務めてくれたりした。

地頭所真人監督は「島の方々もいろいろ協力してくれて、選手だけでなく徳之島全体の勝利です」と周囲の人たちに感謝する。

次戦は8強入りをかけて3回戦に臨む。ベスト8に入れば、来春の選抜で「21世紀枠」に選ばれる道も出てくる。

4番の上原選手は「まだ2勝なのでもっと上をめざします」と頼もしい。14人の部員と島の人たちの絆で、「ミラクル徳之島」を続けていく意気込みだ。熱い秋の戦いに注目だ。

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