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酪農・漁業の地元へ高校球児の恩返し。選抜21世紀枠の別海高。選手16人が一丸。はつらつプレーで戦い抜いた。希望の光が地元にともされた

酪農・漁業の町に希望の光がともされた。選抜高校野球に21世紀枠で出場の別海高校。選手はわずか16人。選手たちは一丸となって初戦に臨んだ。地元の人たちと選手たちの絆。はつらつと白球を追い、町の支えに恩返しした。球児たちの全力プレーに、町は熱くなったはずだ。

北海道東部にある別海町。海に面し、海岸からは北方領土の国後島を見ることができる。酪農と漁業の盛んな町だ。その町に唯一ある高校が別海高だ。

東京23区の倍ほどある面積の別海町。人口は今年2月末段階で1万4156人。一方で牛の数は11万3711頭。町のホームページには「人口の約8倍」と記載がある。それだけ酪農に力を入れていることが伝わってくる。

年間の平均気温は5.4度。最低気温が0度未満の冬日が年の半分以上あり、最低気温が氷点下15度となる日もある。雪に覆われる日も多く、3月20日の町の最深積雪は32センチだ。

その環境下で、別海高の選手たちは野球を続けていた。冬場は農業用ビニールハウスで練習。ひたむきに白球を追う選手たちは、町の希望だ。

別海高は昨秋の北海道大会で快進撃を続けた。釧根支部大会を突破して、北海道大会へ。初戦を逆転サヨナラ勝ち、準々決勝はタイブレークで競り勝って4強入りを果たした。

困難な環境でプレーしていることや秋の快進撃が評価され、選抜の21世紀枠に選ばれた。歴代甲子園出場校の中で日本最東端の高校となった。

この快挙に町が動いた。総額5000万円が助成されることになったのだ。さらに本来は牛の品評会で使われる「コミュニティーセンター」で練習ができるようになった。

これまでも防球ネットは漁業従事者が加工したものを使ってきたが。町が一体になって支援の輪が広がった。別海高のチームは勇気づけられただろう。

そして3月20日。別海の選手たちが憧れの舞台、甲子園でプレーした。相手は岡山の創志学園。昨秋の中国大会準優勝校。指揮官の門馬敬治監督は東海大相模(神奈川)時代に甲子園春夏4度の頂点に導いた。

強豪に挑む別海高。三回まで0-0の接戦に持ち込んだ。別海打線は得点圏に走者を進めてチャンスを作るが、ホームが遠かった。0-7とリードされた九回に2本の安打を重ねて、反撃に出たものの「あと一本」が出ずにゲームセット。初戦敗退となった。

しかし、選手たちが一丸となって強豪に立ち向かった。チームを支えてくれた地元の人たちに恩返しができた。

困難な環境の中で、ひたむきに野球を続けてきた選手たちが、ひのき舞台に立った。雪残る地元の町も熱くなったはずだ。選手たちは地元の人たちに、はつらつプレーで恩返しした。町の希望が見せてくれた輝きだ。

別海の選手たちが最後まで戦い抜いた全力プレーに拍手を送りたい。

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