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最後までやり遂げようとする気持ちが人を成長させる。ロッテ・小島投手が今季12球団初の完封勝利。原点には高校時代の夏の甲子園で味わった悔しい降板劇があった

最後までやり遂げようとする気持ちが人の成長の起爆剤となる。ロッテの小島和哉投手(27)が今季12球団で初となる完封勝利を手にした。小島投手は高校時代の夏の甲子園で悔しい降板劇があった。これが小島投手に最後までやり切る気持ちにつながっているように思えるのだ。2年ぶりの完封劇は、今季の小島投手にさらなる自信を与えてくれるはずだ。

5日にホームの千葉で行われたオリックス戦。昨季まで3年連続リーグ王者に輝いたチームに真っ向勝負を挑んだ。

今年の開幕投手となった小島投手。しかしオープニングゲームで敗戦投手となり、今季2試合目となる左腕は、このゲームで雪辱を期していた。

初回に二塁打を浴びてピンチの場面に立たされたが、後続を打ち取ると波に乗った。その後、前半の五回までにヒットを許さずに、スイスイ試合を進めていった。味方打線が四回に1点を奪ってくれて、リードした場面で後半のマウンドに立つ。

七回には2死一塁の場面で、昨季の首位打者頓宮裕真選手と相まみえる。カウント1-2からの4球目。フォークで空振り三振に斬って取ると、小島投手は雄たけびを上げた。

そして最終回。スタンドから盛大な拍手を送られた小島投手は、先頭打者にヒットを与えたものの、後続の3人を打ち取って、2年ぶりとなる完封勝利を手にした。今季の12球団では初となった。

小島投手の最後までやり切る思いは、高校2年生の夏の甲子園で強くなったのではないだろうか。浦和学院の2年生エースとして、2013年の選抜を制した。春夏連覇をかけて挑んだ夏の甲子園。初戦で仙台育英と対戦した。

このゲームは高校野球史に名を残す激しい打撃戦に。この日の先発、小島投手は八回まで相手打線に10点を奪われながらもマウンドに立ち続けた。

10-10の迎えた九回裏のマウンド。小島投手は1死を取った後に、疲労から左足がつった。一時ゲームが止まり、水分補給などで立て直す。2死まで奪ったものの、ヒットを許した。

ここでベンチは投手交代を促す。しかし小島投手は首を振って応じようとしない。最後まで投げ切る意思が伝わった。しかし182球を投げて、もはや限界に来ているのは明らか。チームは投球交代に踏み切った。

マウンドを下りて、ベンチで戻る小島投手。涙を流しながら戦況を見守った。しかし、2番手投手が後続にサヨナラ打を浴びて、ゲームセット。小島投手は最後まで投げられず、甲子園から去ることとなった。

あの夏に最後まで投げ切れなかった悔しさが、小島投手の成長の原動力となったと思う。今季はロッテの開幕投手にキャンプが入って早々に指名された。

エースは最後まで投げるもの。その思いが今季初の完封劇につながったと思えるのだ。最後までやり遂げようとする思いが、人を成長させる。つらくてもやり抜くことが重要なのだ。

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