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箱根路を往復したチーム、ランナーたちよ、君たちは立派な冒険者だ!21チームが2日間かけ疾走。平地も山も立派な走りだった

この時期になると、どうしてもテレビは箱根駅伝をつけてしまう。21チームのランナーたちが、たすきをつないで、東京から箱根を往復する。平地も山もある道中。選手たちは立派に駆け抜けた。これはスポーツでない、アドベンチャーなのだ。

各チーム10人が駆けるこの大会。もちろんタイムを競うスポーツなのだが、私はスポーツとしてよりも、冒険、アドベンチャーとして、箱根駅伝を見るのだ。

タイムを競うだけならば、どこかの競技場を借りて、各チーム10人ずつの走破時間を足すだけでいい。しかし、箱根駅伝は平地を駆けるだけでない。初日には箱根の山登りがある。4区までのつながれたたすきを5区のランナーが胸にして、箱根の山を登っていく。

山登りの走者に勢いをつけさせるために、4区までの走者は、都会を駆け、海風を受けながら、走っていく。仲間を思う気持ち。それが自らの走りにも力を与えてくれるのだ。

そして2日目は、箱根の山下りから始まる。時に雪が降る年もあるし、道路がアイスバーンになって滑りやすい時もある。その中で、6区の選手は、以後の走者へ勇気を与えていくために、駆け下りていく。

かつて、凍結した道路に足を滑らせ横転したランナーがいた。しかし起き上がると根性で駆け抜けてトップ争いを制して、7区の走者にたすきを渡した。そのチームは6区の「根性走り」に力をもらい、総合優勝につなげた。

どんな悪路であっても、チームのこと、仲間のことを思って、走り続ける。その姿勢に、テレビで見ている人たちも、勇気をもらっているのではないだろうか。

だからこそ、箱根駅伝には、スポーツ以上のアドベンチャーを見せてもらえるのだ。各チーム10人の勇者たちが、それぞれの持ち場で最高の走りをめざす。

その思いはたすきによって、つながれていく。東京・大手町のゴールに、10区の最終走者が戻ってきたときに、そのチームの冒険は終わるのだ。

選手たちが冒険から帰還する。見ている者が、ホッと胸をなでおろす瞬間だ。笑顔で帰還する者、表情をゆがめながら戻ってくる者。ゴールを駆ける者たちは、それぞれのドラマを刻んで、冒険を終える。

今年は駒澤大学が総合優勝を果たし、史上5校目となる「大学駅伝3冠」を果たした。見事な偉業だ。

ただ、駒大だけが立派なのではない。冒険に挑み帰還した21チームすべての勇者たちが偉大なのだ。

箱根駅伝は来年100回大会を迎える。記念大会として全国に門戸を広げるようだが、大会の意義は変わらない。

箱根を駆ける者は、スポーツだけでなく、アドベンチャーに挑むのだ。箱根路を駆ける冒険者たち。彼らの活躍を来年も楽しみにしたい。

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