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「タケウチ、神の子、不思議な子」。西武のドラ1ルーキー、武内投手が無傷の5連勝。新人左腕として31年ぶりの快挙。チームが最下位と低迷する中で「希望の星」だ

きっと、ノムさんだったら、彼のことをこう評していただろう。「タケウチ、神の子、不思議な子」と。西武のドラ1ルーキー、武内夏暉投手(22)が無傷の5連勝を達成した。新人左腕としては31年ぶりの快挙だ。チームが最下位と低迷する中で、負け知らずの投手は「希望の星」だ。勝ち運は安定感のある投球が導いているのかもしれない。

武内投手は4日に福岡で行われたソフトバンク戦に先発登板。8回無失点に抑えて、5勝目をマークした。

140キロ台後半の直球に、カーブやチェンジアップの変化球も駆使して、パリーグ屈指の強力打線を手玉に取る。許したヒットは4本のみ。与えた四死球はゼロ。この安定感で、八回2死まで二塁を踏ませなかった。

昨年のドラフト会議で、国学院大4年生だった武内投手に、西武、ソフトバンク、ヤクルトの3球団が1位指名した。逸材であることは間違いない。

新人左腕として無傷の5連勝は、同じ西武の杉山賢人さん以来31年ぶりの快挙だ。杉山さんがマークした1993年は西武の黄金時代だった。この年、チームは74勝53敗3分けで勝率5割8分3厘。パリーグ4連覇を達成している。

一方で、今季の西武は最下位にあえいでいる。73試合で24勝48敗1分け。勝率は3割3分3厘だ。これだけチームが低迷しているのに、武内投手が負けずに勝ち続けられるのは「もってる」投手だといえるだろう。

ノムさんこと野村克也さんは「運 『ツキ』と『流れ』を呼び込む技術」という本の中で、「勝ち運」に恵まれる投手について書いている。

ノムさんが「本当に運がいい投手」を2人挙げている。一人は南海時代に捕手だったノムさんとバッテリーを組んだ杉浦忠さん、もう一人は楽天の監督時代に新人で入団した「マー君」こと田中将大投手だ。

2人が登板すると、打たれても不思議と負け投手になることはなかったという。味方打線の援護を受けるなどしてきたという。

その裏にあるのはチームからの信頼だったという。これは武内投手にもあてはまる。この日、無死四球と安定感あるピッチングを披露した。渡辺久信監督代行からも「すばらしい投球。不動心でマウンドに立っている。安定感は一番だ」と評価は高い。

それでも最下位に低迷するチームの中で、「負けずに勝ち続ける」武内投手のピッチングは、マジックを見ているようだ。

監督時代のノムさんは田中投手のことを「マー君、神の子、不思議な子」と称していた。そして、ルーキー左腕の武内投手についても、ご存命だったら「タケウチ、神の子、不思議な子」と絶賛していただろう。

今季73試合の西武はほぼ折り返し地点だ。このままいけば、武内投手の「無傷の二けた勝利」も見られるかもしれない。「神の子、不思議な子」のミラクルピッチングを、天国にいるノムさんも見守り続けているだろう。

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