マガジンのカバー画像

323
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

真夜中の虹 《詩》

真夜中の虹 《詩》

「真夜中の虹」

真夜中に虹がかかると
人は言う

その虹の橋を渡れば
悲しみも苦しみも無い
世界に行けると言う

流れ星のように
儚く消えた夢を
バッグに詰め
独りぼっちの野良猫と
歩く夜

街灯の灯り
街路樹が軋む音

読み捨てられた雑誌の
ページが風に揺れてる

今夜も真夜中の虹を探して
彷徨ってるんだ

Photo : Toru Koike

太陽と月 《詩》

太陽と月 《詩》

「太陽と月」

太陽と月 照らし合う夢

鉄条網に絡みつく栄光と挫折

虚栄の壁に描かれた
囚人の壁画

幾千もの夢は
霧に溶け夜を渡り
記憶の中
永遠に巡る

明日を
追い続けながら

Photo : Toru Koike

モノクロの太陽 《詩》

モノクロの太陽 《詩》

「モノクロの太陽」

喧騒の街並み 雑踏
行き交う人の波 群衆

少女は心の迷路を彷徨う
全てが幻だなんて
まるで嘘のよう 
幻想に独り抱かれたまま

私の前を風のように
すり抜けて行った 刹那

見上げれば届きそうな太陽

希望を込めた
それが光りだと信じて

手を伸ばす空
モノクロの太陽

Photo : Noriko Koike

ピースサイン 《詩》

ピースサイン 《詩》

「ピースサイン」

いつか来た場所
海は見るのが好き
君はそう言ってずっと眺めてたね

僕は子どもみたいに
はしゃいで水遊び

あの日も強い風が吹いていた

君と一緒の写真
ピースサイン笑ってる

太陽が水平線に沈み
風が吹いた
強い風が

それが合図

僕は写真を破り捨て
海に返した淡い恋心

波の音が
君の声の様に聞こえた

Photo : Noriko Koike

新宿 《詩》

新宿 《詩》

「新宿」

目に映る全てが
色を失った

大切な宝物は
儚く星屑に変わる
貴方の一言で

皆んな何処かへ消えてしまえばいい
そう小さく呟いた

絡み合うジェラシー
街が泣いてる
滲む新宿の片隅

Photo : Noriko Koike

秋桜 《詩》

秋桜 《詩》

「秋桜」

貴方に逢える夢を見た
想いが届く気がした

独りぼっちで泣くのは
もうやめたの

これから先 私ほど
純粋に貴方を愛した女に
逢えるはずはないでしょう

心の中で そう囁く

空が呑み込む私の全て

貴方が奪った私の色彩

秋桜が見る夢
儚いお伽話

Photo : Miho

三日月 《詩》

三日月 《詩》

「三日月」

風のない河川敷
花火を沢山買ってきた
夏の星座が真っ新な夜を彩る
君は俯いたまま
花火を見つめてた

知ってるよ
ここは去年アイツと
2人で花火をした場所
君は楽しそうに話してた

もういいの?
まだ花火残ってる
全部 全部 
火を付けよう
綺麗さっぱり燃やしてしまえ!
僕はそう彼女に言った

彼女は少し笑って
顔を上げた
瞳に溢れた涙に
綺麗な花火が映ってる

燃え尽きた花火
白い

もっとみる
滲む月 《詩》

滲む月 《詩》

「滲む月」

胸を締め付ける静寂の夜
木々の隙間に見える月

淡い光で照らす闇

貴方の優しい嘘でさえ
愛しく想える
刹那の夜

寂しくなるのは誰のせい

滲む月が囁くように唄う

Photo : Miho

スローバラード 《詩》

スローバラード 《詩》

「スローバラード」

風が吹いて花を揺らした

踊る君 揺れる長い髪
遠い夏の夜
ダンスホール
踊る君に見惚れてた

あの日と同じメロディー
スローバラード
2人が生きた時間を蘇らせる

また何処からか風が吹いて
花を揺らした

踊るあの日の君の様に

Photo : Miho

小さな星 《詩》

小さな星 《詩》

「小さな星」

無数に輝く小さな星を
ひとつ盗んで君に贈った

貴方の夢をひとつだけでいい 
聞かせて
そう君は囁いた

夜空に輝く星は
光と愛の欠片をくれる

僕は未来を好きになった

Photo : Miho

魔法の粉 《詩》

魔法の粉 《詩》

「魔法の粉」

夜が沢山の星を手に入れる頃
川の水面が光り始める

あの日 小さな妖精が金色の魔法の粉を振りかける音が聞こえた

嘘じゃないよ
本当に聞こえたんだ

君はそんな僕を見て
微笑んだ

手を繋ごう
僕は俯いたまま
そう言った

水の流れる音だけが
ふたりを包んだ
ずっとずっと優しく

Photo : Miho

道導 《詩》

道導 《詩》

「道導」

誓いを交わし、合わせた掌

綺麗な星空
愛してるって言葉だけ
他には何も要らない

優しい風を帆に受けて
小舟に乗って進む天の川

1番光る星
それが僕らの道導

Photo : Miho

コスモスの小人 《詩》

コスモスの小人 《詩》

「コスモスの小人」

ギンガムチェックの
ワンピース靡かせて
君は戯けながら喋る

コスモスの花の下には
小人が沢山隠れてて
私に話しかけてくるの

今日も可愛いね
髪の色変えたんだね
とても似合うよって

僕は近くの木にタープを縛って木陰を作る

君は 小人の声聞こえてる? 

珈琲を淹れて彼女に渡した
とても似合うよ そう一言添えて

でしょう…彼女は微笑み
何処らか風が吹いてコスモスの花を揺

もっとみる
蒼い月夜 《詩》

蒼い月夜 《詩》

「蒼い月夜」

それは つかの間の夢  
時間は止まる

迷い込んだ子猫

落ち葉に埋もれた 終わりのない詩

有刺鉄線をくぐり抜け

月に背いた ふたりの夜

いつか見た夢の続き

瓦礫の下の 終わりのない夢

強がりの向こう側 別れの記憶

鳴き声は
孤独をなどり消えてゆく

蒼い月夜

Photo : Jun Takeichi