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散文詩

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2023年1月の記事一覧

無敵の男 《詩》

無敵の男 《詩》

「無敵の男」

30過ぎの独身男

いつもの仲間3人組

休日に特にする事もなく
彼女もいない

「俺達ヤバイかも…
こうなりゃ神頼みだね 
自力じゃどうにもならないもん」

誰かがそう言った

金は無いけど時間だけはある俺達

思い立ったが吉日

出雲大社へドライブだ

厳かな雰囲気の中
縁結びの祈祷なんかして

出雲大社だぜ 此処は
全てが変わるさ

そう言って笑った

少し離れた場所に
1人

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最後の言葉 《詩》

最後の言葉 《詩》

「最後の言葉」

灰色の空 
冷たい雨降りしきる

置き去りに出来ないままの願い

履いて捨てた空っぽの言葉

言い訳 繰り返しの後悔

覚醒させる感覚 

奴が死んだ事実は変わらない

書き続ける文字 
ペンを走らせる朝方

現実 雑音 混沌 入り混じる今

夢 幻 描き続けた世界

羽ばたいた言葉 
幻想 煙の向こう側

行き着く先 

背後から狙う 
クソムカつく奴等

通って来た道 花は散

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大きな鳥居のある島 《詩》

大きな鳥居のある島 《詩》

「大きな鳥居のある島」

船に揺られてあの島へ

午前中の太陽の光 

波間が煌めく

キラキラ静かに微笑む様に
風が彼女の長い髪を揺らしてる

「やっぱり海は午前中に限るね 
こんなに綺麗に輝いてる」

相変わらずロマンチックな君

牡蠣食って
もみじ饅頭食って…

そんな事ばかり考えてる僕

彼女には内緒だけど

島に渡ると沢山の鹿がお出迎え

「なぜか私の周りにばかりに鹿が
集まるんだよね」

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幸せに 《詩》

幸せに 《詩》

「幸せに」

星が降り注ぐ夜なのに

涙が頬を伝う

滲む星空 教えてください

愛したい それだけなのに

季節だけが変わり また冬

貴方と出逢った冬が来ました

平気な顔で笑うんだね

聞きたく無いよ
私の知らない誰かの話し

最初に好きになったのは私なのに

泣いたぶんだけ強くなりますか
苦しんだぶんだけ優しくなれますか

要らないよ そんなもの

今 誰と居ますか
何をしていますか

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ガールハント 《詩》

ガールハント 《詩》

「ガールハント」

1964年型のレストアベース
6Vのタイプ1 ビートル

格安で仕入れたと先輩は大喜び

コイツをレストアして
ピカピカに仕上げるのが夢らしい

無理矢理 車検通して公道デビュー

夏の終わり 湘南へ出発

狙うはサーファー姉ちゃん

ガールハント ガールハント

安物のアロハ羽織って
にわかサーファーの出来上がり

だってサーフィンなんてやった事ないもん 

先輩も僕も

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Anarchy in the 1K 《詩》

Anarchy in the 1K 《詩》

「Anarchy in the 1K」

4畳半ひと間の1K

僕はそのボロアパートに
Anarchy in the 1K そう名付けた

風呂無し、共同トイレ
エアコンなんてある訳が無い

独房の様な部屋

壁にはSid & Nancy のポスター

バッタモンの黒いテレキャスター
それが僕の全て

同じ様な仲間で狭い1Kはいっぱい

近くにスターレーンってボウリング場があって

僕等は用事も無

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サーカス 《詩》

サーカス 《詩》

「サーカス」

回る赤色灯の群れ

拡声器から声が聞こえた

澄み切った夜の色
その先に燃え上がる炎

腕にしがみつく彼女

照らされたサーチライト
その中でキスをした

怖くないよ
エレクトリック パレードの始まりさ

サーカスだよ 
そう言って抱き寄せた

明日が無い事なんて
始めから知ってるさ

此処にあるはずの無い
月と太陽に
星屑をばら撒きに来ただけさ

ふたりが望んだ自由は手の先

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