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花摘み

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ふわふわ、ぴかぴか、しゃりしゃり
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#日記

陰鬱なる土曜日

陰鬱なる土曜日

土曜日じゃないのに土曜日とタイトルをつけた。そして夏じゃないのに、夏に撮った写真を使うことにした。そうでもしないと、やってられない気分なのだ。冬のつめたい風に負けてしまいそうなのだ。

たとえば非常階段の3階に立ち、爆音で音楽を聴きながら雨交じりの風に吹かれても、この気持ちはどうにもならない。胸の中へ押し込むことも、逆に追い出すこともできない。だったら、書くしかないではないか。

***

とびき

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さざなみ、鳥、午後の光

さざなみ、鳥、午後の光

季節が少しずつ冬に近づいている。

風が強くつめたくなり、昼は短く、代わりに夜が長くなり、太陽が私を照らしていてくれる時間がどんどん減って、それが頭を抱えたいほど憂鬱だというのに、月は空が凍てつくにつれて美しくなっていくのね。なぜなんだろう。

ここ最近、ふとした瞬間に言いようのない、苛立つような、哀しいような、焦るような、そういう気持ちが私を満たして、それにすぐ応じてしまう自分がすこし憎い。

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あたたかなお茶

あたたかなお茶

いつもどんなに明るく、楽しく、朗らかに生きているように見えるひとにも、ひとりでは抱えきれないほどのかなしみや、ふとした瞬間におそいくる痛烈な孤独の時間があって、私たちは胸のどこかでそのことを分かっていなくてはならないと思う。

そのひとの本当の部分は、いま見えているところだけではない。

私たちは他者に打ち明けたくない心をうまく隠したり、見せないでいたりすることができる。だから私たちは誰かの表面を

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隣のアイスクリームは甘い

隣のアイスクリームは甘い

勝手に誰かや何かに期待して、それが叶えられなくて裏切られた気になって、それってまるでばかみたい、とたまに思う。

私たち、期待せずにはいられないのかなあ。

期待してるからこそ苦しいんだよね。絶対に裏切られないことがわかっている期待ならいいけど、それは期待ではなくて確信だし、だとすると期待って、裏切られることがあるからこそ期待なんだよ。だから苦しみを伴っている。

私は普段あまり要領がよくないし、

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音楽と小説について

音楽と小説について

好きな音楽の話をしようと試みるとき、どうもことばを連ねるだけでは表現し得ないことがあって記事を書くのをやめた経験が何度もあるけど、それが一体なぜなのかはいつも曖昧なままだった。

好きな小説を紹介するのと同じように音楽についても紹介すればいいのに、それはいつもなんともいえないもやもやによって阻まれてきた。

しかしそれがなぜなのか、最近ようやくわかった。
音楽とは聴覚に依拠するものだからだ。

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花、宝石、女の子

花、宝石、女の子

私は男の子というものが好きだ。
おもしろいいきものだと思っている。

しかしそれに負けないくらい女の子が好きだ。

話すのには男の子がおもしろいなあと思う。私には男兄弟がいないから、同年代くらいの男の子がずっと不思議でならない、ということもあるかもしれない。何を考えているのか、何を感じているのか知るのはおもしろい。

一対一でも気兼ねなく男の子と話すことができる方だし、なんだろう、男の子は女の子に

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穏やかに晴れますように

穏やかに晴れますように

天気予報を見ていると、ときどき、天気予報士の方が「明日は穏やかに晴れるでしょう」と言っているのを聞くことがある。

その度に、なんと優しい言葉なんだろうと思う。穏やかに晴れるではなく、晴れるでしょう。しかも明日。あしたではなく、あす。

すぐそこまでやってきていて、今にも窓を叩こうとしている未来が、優しく私を待ち受けてくれていることを感じられるような、そんな言い回し。

まるでおまじないみたい。

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