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死にぞこないの趣味の世界

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#アニメ感想文

アニメ『ヴィンランド・サガ』を観て

アニメ『ヴィンランド・サガ』を観て

今週末、土曜日曜で、『ヴィンランド・サガ』シーズン1と2を、アマゾンプライムでイッキ見した。
noteで相互フォローさせて頂いている方のオススメだったので、観てみた。

11世紀初頭のバイキングの話だ。とても面白かった。
テンポがややゆっくりかもしれないが、ハイボールを飲みながら観るにはちょうど良かった。
中世が舞台だが、魔法使いもドラゴンも出てこない。シリアスな大人の話だからだ。

工夫
北欧を

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アニメ『薬屋のひとりごと』を観て -歴史のディテール

アニメ『薬屋のひとりごと』を観て -歴史のディテール

漫画や小説といったフィクションと歴史の関係について考えたい。
実を言うと、現在、私自身19世紀フランスの歴史小説を史料として読んでいる最中であって、この種の問題に関心がある。

何が目的なのフィクションが歴史を扱うとき、なによりも重視すべきはその目的である。

例えば『薬屋のひとりごと』の舞台は、むかしむかしのアジアの大国の後宮である。しかし時代も場所も明記されてはいない。つまりディテールは無視さ

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アニメ『葬送のフリーレン』を観て -リフレーン(繰り返し)について

アニメ『葬送のフリーレン』を観て -リフレーン(繰り返し)について

ついにアニメもここまで来たかと驚いた。

「終わり」から始まる『葬送のフリーレン』では、第1回が「冒険の終わり」から始まる。
通常、冒険活劇の第1回は「冒険の始まり」から始まるものだ。
ところがこの作品では、「冒険の終わり」から始まる。
悪玉妖怪を倒す冒険の旅が終わって、四人の勇者たちは任務完了を報告し、そしてばらばらに去っていく。別れていく。

勇者たちのうち、主人公フリーレンはふつうの人間では

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トニーもしくは『無限の住人―Immortal』

トニーもしくは『無限の住人―Immortal』


友人小池栄子さんに似た友人がいる。
ニックネームは「トニー」。
なぜ「トニー」なのかは知らない。

一昨日の夜、一緒に酒を飲んだ。
連休なのに僕がひとりぼっちだったので、おそらく不憫に思って、かまってくれたのだろう。

彼女と僕とでは、共通点がまったくと言っていいほど無い。
彼女の人生は壮絶で、僕なんかとは比べものにならない。
彼女に比べれば、僕なんか「おこちゃま」だ。
それに、性格だってぜんぜ

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『装甲騎兵ボトムズ』、もしくは裏切られた愛

『装甲騎兵ボトムズ』、もしくは裏切られた愛

何かに執着するひとは美しくない。
だから、自分の人生へのこだわりから他人の人生を踏み潰すひとは醜い。
反対に、自己犠牲ができるひとは美しい。
けれど、もしも犠牲にできるだけの自己を持っていなければ、どうすればよいのだろう。

キリコ・キュービィー『装甲騎兵ボトムズ』は1980年代前半にテレビ放映された子供向けSFアニメである。
ちなみに私は『ボトムズ』のファンではない。
私は何かのファンになれるほ

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なんだか気になるダークヒーローたち

なんだか気になるダークヒーローたち


獅子神皓『いぬやしき』の獅子神皓ちゃんは、子供らしい正義感と、子供らしい残酷さをあわせもつ、いまどきの高校生だ。

ふとしたことで、彼は超能力を手に入れるが、その力をどのように使えばよいのか、まったくわからない。そして善いことも悪いこともいろいろやる。殺人まで犯す。

自分で自分を律することもできず、自己中心的で、視野が狭く、世界との関係性を築けていない。

いまどきの若者をうまく戯画化している

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