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西願広望
2024年6月16日 21:31
ミシェル・ウエルベック(1956年生)は、僕とは異なり、保守派である。ところが彼の女性観に、非常にしばしば、僕は同意してしまう。そのことは僕をモヤモヤさせる。でも同意するという事実と、向き合わなければとも思う。読み終えたばかりの『滅ぼす』から幾つか例をひこう。痛みについての特殊な知識例えば次のシーン。アルアルだ。とてもよく実感できてしまう。ポールとプリュダンスという夫婦が、ある事
2024年4月14日 13:24
トニ-と映画館でフランス映画『落下の解剖学』を観た。トニ-はこれまでの人生の悲喜交々をすべて糧として成長した、明るく健康的で包容力のある大人の女性だ。だから僕は彼女のそばにいるとそれだけで楽しい。ひとつの事件、ひとりの人物の曖昧さ映画『落下の解剖学』のテーマは曖昧な現実だ。歴史学研究者として僕は、曖昧さは必然でなければならないと信じている。つまりできるかぎり緻密に徹底的に分析して、物事を
2024年3月1日 07:48
可愛い偽悪者「唇によだれL'eau à la bouche」は、セルジュ・ゲーンズブールSerge Gainsbourgの数ある楽曲のなかでも、なかなかの名曲です。僕は個人的に大好きです。けど知り合いに勧めると、総スカン。特に女性陣から「気持ち悪い」と、人気ゼロ。え?なぜなぜなぜ?? 主人公の男性が女性を口説いています。でも「おまえが欲しい」とも「あなたを愛しています」とも言わな
2024年2月8日 11:36
いよいよ来週はバレンタイン。ちなみに僕はかかりつけの女医さんから、「バレンタインにチョコレートをもらっても、食べてはいけません」と言われています。でもせっかくだから、バレンタインには女性への賛歌を聞きたいと思います。ジョン・レノン女の人全般に捧げられた歌ならば、ジョン・レノンの « Woman »をすぐに思い出すことができるでしょう。「僕は君に永遠の恩debtがある」と、軽やかなメロ
2023年5月15日 08:12
中高年の恋愛サスペンス映画。50代以上、必見かな。若いひとで、これを観て「おもしろい」と言えるひとは、よっぽどの文学好きでしょうね。映画の冒頭、中高年男女の夜の寝室が赤裸々に、しかし美しく撮られている。こういうシーンを撮れるのがフランス映画なのだ。なりすましというテーマ主人公は比較文学を専攻する50代の女性大学教授(ジュリエット・ビノシュ)。結婚・出産・離婚と、人生フルコースを経験。