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《読書》女を書けない文豪たち

 今回久々の!読書の感想です!!

 少し前の時代の日本。そこで華々しく筆をとる文豪たち(オトコ)。彼らが題材に選んだのは恋。そこで波乱の人生を生きていくヒロインたち。
 そんな彼らのお話をうっとり、じっとみつめる女性、それが今回の筆者である。

 筆者は様々な時代の作者の恋を題材にした話を選び、ヒロインに焦点を当てながら、さらに三つの視点から深掘りしている。視点とは時代背景、文豪自身、筆者自身。

 一、少し前とはいえ、明治やら大正やら、生まれてもいない時代の価値観、時事ネタ、そして表現は現在とは大分違うものがある。それを埋めてくれるのが今回の筆者のフォロー、ありがたし。
 二、昔の文豪は自分自身のことも周りにたくさん知られて(時にオープンにして)いたみたい。そうよね、今のWikipediaでもたくさん追いかけることができるもの。文豪のそうした生き方も、もちろんお話に強く反映されているのだ。
 三、読みやすく、時に難しい表現で紹介をしているのは、なんとイタリア出身の筆者である。日本の文学にはまってしまった筆者の、各々の作品の見所、考察、自身の経験との対比。そして後ろの参考文献の数が半端ない。
 それぞれの作品で描写されているのは、ヒロインたちのどこか曖昧な人物像。人柄が不明であったり、感情が不明であったり、まるで物語に流されているかのような。
 それがお話を膨らませもするんだけれど、実際の女性はこうかしら、とも言えるし。それがタイトルに繋がっているのかしらん。

 至る所に筆者の細かい考察が入っており、作品は色んな見方ができるからいいのよね、と言ってくれているような、読んでいてわくわくするお話紹介でした。
 ここで紹介された本、私はすでに借りたり、青空文庫で読んだりして、何重にも楽しめる一冊かと思います。


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