物語探偵

シナリオライター20年。今はたくさんの人に物語を好きになってもらえるように活動していま…

物語探偵

シナリオライター20年。今はたくさんの人に物語を好きになってもらえるように活動しています。 今はストアカで物語についての講座を開催していて、「面白い物語ありますか?」と、聞かれることしばしば。せっかくならたくさんの人に知ってもらいたいのでtwitterと連携中。

最近の記事

映画 対峙に静かな感動

アメリカの学校で起きた銃乱射事件。 加害者の少年は、事件を起こした後に自殺してしまう。 ここまでは多くの映画やドキュメンタリーで採りあげられてきた。 でも、こんなことがある? 加害者の少年の親と、殺された少年の親が 一室に集って、そして話し合うなんて。 救いを求めて…なのだろうか。 被害者の両親は真実を知りたいという。 でも、心の奥では相手を責め、後悔させたいのだ。 お前たちは、殺人鬼を育ててしまったのだと。 責めても仕方がないと解っていても、責めずにいられようか。 そ

    • 最高に切なく、心に残る。あなたのことが頭から離れないよ、ダッチェス。

      自分を「無法者」と名乗る13歳の少女・ダッチェスは、典型的な ヤングケアラーだ。 アルコールに呑まれ、しばしば救急車で病院に運ばれる母親・スターの 代わりに、弟のロビンを精一杯愛し、面倒を見ている。 スターが問題を起こす背景には、遠い昔、妹が自分の恋人・ヴィンセントの車にはねられて死んだという事件があった。 彼女はそのくびきから逃れられないでいる。何十年経っても。 ダッチェスとロビンを取り巻く環境は厳しい。スターは二人を愛しているものの、ダッチェスが守らなくてはいけない弱

      • 「君のクイズ」、読むべし!です

        殺人事件は起きない 宝石や金が盗まれることもない who done it(誰がやったのか) の犯人当てでもない でも、すごく好奇心が刺激される 生放送で、優勝者には賞金1000万円が与えられるという、空前のクイズ番組。 早押しで、7問正解した方が勝利するルールで、2人の挑戦者はそれぞれが6問正解している。 最後の一問… ところが、また問題が読み上げられる前に、一方がボタンを押し、そしてその答えは正解だった! 敗れた三島玲央も、彼の周辺のクイズ愛好者も、番組のやらせを確信する

        • 今期のドラマ、そろそろ終盤だけど

          もう、最高に面白くってハマって見てるのは、何と言っても『初恋の悪魔』! 何よ、なんでこれ、こんなに面白いの!ああ、来週が待ちきれない! こんな思いになるなんて久しぶり。 坂元裕二さん、ありがとうございます~~~ 最初は、何か奇妙な人たちが集まって 警察が「はい、解決しましたよ」というような事件の裏側を探っていく ちょっとユニークなミステリ… 程度に考えてたんですよ。 それがなんとなんと、どんどん事件が深まり、 謎が連鎖し、伏せられていた背景が浮かんでくる 隠された謎があぶ

        映画 対峙に静かな感動

          今だから、読んでみる意味がある

          2021年、アガサ・クリスティ賞を、満場一致、しかも審査員全員が満点を付けるという快挙で受賞したこの作品。 当時、日頃は冷静な書評で知られる鴻巣友季子さんが、熱い評を書かれていたので驚いた。 もちろん、他の書評も沸騰! 中には、「これ以上の作品が書けるのか、著者の今後が心配」なんていう、余計なお世話的評もあったりした。 で、もちろん読みました。 いや、面白い!こりゃ、審査員全員満点付けるわ!と興奮し、私の講座の受講生さんにもかなりお勧めした。 巷には「ほとんど鬼滅の刃」なんて

          今だから、読んでみる意味がある

          強い女に憧れる。強い女の活躍に心が躍る。

          3月8日は国際女性Dayだった。 だからというわけでもないけど、偶然にもここのところ読んだ本の主人公はいずれも強い女たちだった。 思えば、物心ついてから憧れた女性は、「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラだ。 憧れているとは言え、彼女のような強さを私は一ミリも持ち合わせていない。 リアルな生活で彼女のような存在がいたら、むしろ全力で遠ざかるだろう。彼女の周りにいる凡百の人間は大抵破滅してしまうのだから。 そりゃ、お友達になりたいのは、スカーレットが「冴えない女」と

          強い女に憧れる。強い女の活躍に心が躍る。

          直木賞の楽しみ方?

          やっぱりね、取ると思ってた黒牢城。 直木賞受賞! 自分が良いと思った作品が賞を取るのは、自分には関係ないけど嬉しかったりする。 あれですかね、推しがなんかの賞を受賞する時の喜びに似てるんですかね。 ま、そういう意味では、確かに2021年の私の推し小説だったので素直に喜びます。 米澤穂信先生、おめでとうございます。 もう人気も実力も確立されている方だから、今更の受賞でしょうが、やはり、直木賞って、特別な賞なんだろうなと思います。 いつぞや、芥川賞・直木賞を追っかけ

          直木賞の楽しみ方?

          文春のミステリーベスト10、納得の結果でした

          文春の「全国のミステリー通、書店員が選ぶミステリーベスト10」 国内トップは黒牢城。 いや、そればかりではなく、 「ミステリが読みたい」「このミステリーがすごい」「本格ミステリ・ベスト10」そして、山田風太郎賞…総なめ!!史上初の5冠制覇ですって。 当然でしょう。面白かったもの。ホントに。 米澤穂信さんって、読ませるんですよね。 若い主人公を配した古典部シリーズや本と鍵の季節の季節も、 「満願」や「王とサーカス」といった大人の話もどれもハズレなく、ひたすらページ

          文春のミステリーベスト10、納得の結果でした

          元国務長官まで若い女にだまされた?!

          「BAD BLOOD~シリコンバレー最大の捏造スキャンダル」は、フィクションを超えるストーリーだ! このタイトルだと、何かハニートラップ的なことを想像されるかもしれないけど、そういうことではないんですね。 いや、ただのハニートラップより遙かにスゴイ規模なんです。 だまされた面々が、まあ、たいしたもんですよ。 元国防長官のマティス、メディア王・ルパート・マードック、元国務長官のシュルツ…ね? だましたとされているのは(裁判中ではあるみたいだけど)、エリザベス・ホームズ

          元国務長官まで若い女にだまされた?!

          大石静さんの描く男たちはイイわ~!

          今期一番の推しドラマは、私の場合「和田家の男たち」<大がかりに沈んじゃう話>とか、<恋愛&殺人事件>とかが話題だけど、実は今期はこの、「和田家の男たち」を一番楽しみにしている。 何たって、ホントにこの男たちが良い。 主演は嵐の相葉くん。 相葉くんの、人が良くて、煮え切らなくて、全然他人を否定しないゆるっとした感じが主人公・優のキャラクターイメージとぴったり。 優の父親・秀平が、佐々木蔵之介さん、祖父役・寛が段田安則さん。渋い、上手い役者さんがこれまた良い。 脇を固め

          大石静さんの描く男たちはイイわ~!

          エリザベスという名の女王は名君揃い?

          今の英国エリザベス女王はエリザベス二世。エリザベス一世は、あのエリザベスラーで有名。でも、カラーだけじゃない。大英帝国繁栄の基盤を作った女王の人生に注目! ビッグコミックオリジナルで、こざき亜衣さんの「セシルの女王」が始まった。 こざき亜衣さんは、「あさひなぐ」を描かれた方で、画力もキャラクター設定もストーリーも素晴らしいので、この作品も期待大! そもそも、エリザベス一世ほど波瀾万丈の人生を送った女王はいないんじゃないかと思う。 自分がかつて書いたライトノベル「暁のア

          エリザベスという名の女王は名君揃い?

          映像は強い!映像をイメージさせる言葉を!

          プレバトの俳句コーナーが好きで、夏井いつき先生は憧れの存在だ。まず添削のポイントがスゴイ。平々凡々な駄作(失礼)を、良くああも読める句に仕立て上げられるものだと感嘆する。 先生がよく口にされる「光景がある」という言葉にも深く納得する。 そう、「光景」。脳内に見てきたように景色や行動、様子が広がる…そういう映像を伴っていることは大切だ。俳句でも、シナリオでも、小説でも、歌詞でも。 例えば、杉山愛さんの句ではすっと立ち尽くしているかのような水芭蕉が、梅沢名人の銀盤の弧という

          映像は強い!映像をイメージさせる言葉を!

          スゴイもの観ちゃったよ 由宇子の天秤

          153分。 長くない?と思いながら映画館に入ったのに、あっという間。画面から目が離せない。スゴイものを観ている、という実感。 女子高生の自死と、それに関わり合い、自らも死を選んだ高校教師のドキュメンタリー映像を撮っている由宇子。 画像に映し出す人々の表情や言葉の中に真実を見つけようと執拗に彼らに問い、撮影する。 一方で由宇子は町の小さな塾を経営する父親を手伝っていて、自身も生徒たちにとても人気がある。 あるとき、その生徒のとある事件が発覚する… 上映中作品なので、これ以上

          スゴイもの観ちゃったよ 由宇子の天秤

          「海が走る~エンドロール」を読んで思わず呟く。シニアの先輩、カッコイイ!

          「傘寿まり子」を読んだときにも、すごっと思ったけど、 この「海が走る~エンドロール」、更にスゴイ。 「傘寿まり子」の主人公は80歳を過ぎてるけど、老いたりとは言え職業作家。プロとしての矜持があり、ネームバリューも残っている。 それに対して、うみ子さんは65歳。まだまだ若いとも言えるけど、ごくごく普通の主婦。しかも、夫に先立たれたばかり。 泣き暮らしているわけじゃないけど、どこかぼんやりとしている。特段バリバリ働いていたとか、趣味に没頭していたとかいうようなタイプでもな

          「海が走る~エンドロール」を読んで思わず呟く。シニアの先輩、カッコイイ!

          物語の面白さは、キャラクターにかかっている!だからこそ、考えて、考えて、考えてーー!

           ある小説家さんのエッセイを読んでいて、椅子から転げ落ちそうになった。 この作家さんの小説講座は、日本でも有数の小説家デビュー率を誇るらしい。 そのエッセイ中で、熱心な割に予選を通らない受講生に、登場人物の履歴書を作らせたら、通るようになった、と言うようなことが書かれていた。 そりゃ、そうでしょう。キホンのキですもんね。 ところがびっくりしたのは、ご本人の小説家さんが、「小説講座を始めるまで、作ったことがなかった」と書かれていること。 マジで????????????

          物語の面白さは、キャラクターにかかっている!だからこそ、考えて、考えて、考えてーー!

          エラリー・クイーン創作の秘密 往復書簡集1947〜1950

          二人で一つの物語(小説とか、シナリオとか)を作る… それって、それぞれの得意分野が活かせて良いんじゃない?と思う人もいるだろう。 私も、左脳が働かない身なので、ものすごく複雑な構成とか、伏線の張り方とか、考えてくれたら、後はなんとかなるんだけどねぇ、と思わないでもない。 実際、共作で成功されている例もある。 脚本家の木皿泉さんは、ご夫婦で名作「すいか」や「野ブタ。をプロデュース」などを書かれているし、 「誘拐の岡嶋」の異名をとった「岡嶋二人」さんも、その名の通り二人

          エラリー・クイーン創作の秘密 往復書簡集1947〜1950