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スゴイもの観ちゃったよ 由宇子の天秤

153分。

長くない?と思いながら映画館に入ったのに、あっという間。画面から目が離せない。スゴイものを観ている、という実感。
女子高生の自死と、それに関わり合い、自らも死を選んだ高校教師のドキュメンタリー映像を撮っている由宇子。
画像に映し出す人々の表情や言葉の中に真実を見つけようと執拗に彼らに問い、撮影する。
一方で由宇子は町の小さな塾を経営する父親を手伝っていて、自身も生徒たちにとても人気がある。
あるとき、その生徒のとある事件が発覚する…

上映中作品なので、これ以上のストーリーを伝えるのは控えよう。

伝えたいのは、正しさとは何なのか、真実とは何なのかを追ってきた主人公自身の天秤の揺らぎだ。どちらへ傾くのか。カメラは、ストーリーは、その揺らぎをずっと追っていく。
万人の「正義」なんかないと、私はずっと思ってきた。個人がそれぞれ感じる「正義」はあるかもしれないけど、と。
「真実」も怪しいもんだ。いくらでも事実をねじ曲げ、編集できてしまうものだとわかっているから。ただ、事実は事実だ。
そんな考えが相当甘かったのだと突きつけられる。
正しさも真実もいくらでも作り上げられる。事実すらねじ曲げられる。そんな中で、映像は何を伝える? いや、何を伝えられるのか?
つくづくと考えさせられる。

有名スターは一人も出ていない。それが逆にリアルだ。登場人物はみな、自分たちの地続きに生きている。明日すれ違うかもしれないと感じられるような近さ。


最後の最後まで目を離せない脚本も素晴らしい。
ラスト、え、まさかこう終わるの?え、へえ、あ…なんて、やたらと脳内がかしましい。


多分間違いなく、今年一番の掘り出し物MOVIE。
自分がインフルエンサーでないのが残念だ。
この映画をもっと勧めたい、広めたいのに、自分じゃ役不足だから。
それでも強力プッシュしたい。
こういう映画がもっとできて欲しいよ。
こういう映画を撮る監督が増えて欲しいよ。
そのためには、多くの人が観ないと。

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