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合気道歴10年、二段の経験者だから語れること

特技:合気道二段

先日noteのプロフィールを書き直してみたら、我がことながら情報の洪水に溺れそうになった。

42年も生きていれば色々あるけれど、職歴や趣味の多さ、noteやその他の活動などまぁ次から次へと・・・。

その中でもダントツでnoterの反響が大きかったのは、「特技:合気道二段(特技は天地投げ)」だった。

参考資料:天地投げはこんな技です(※受け身の女性は私ではありません)

やはり女性が武道をやっていて二段まで取っているという経歴は目立つようだ。(”天地”投げって響き、なんかすごそうだし・・・)

そんなわけで、今回は合気道について語ろうと思う。

「合気道とは」
合気道は、開祖・植芝盛平翁(1883~1969)が日本伝統武術の奥義を究め、さらに厳しい精神的修行を経て創始した現代武道です。
合気道は相手といたずらに強弱を競いません。
入身と転換の体捌きと呼吸力から生まれる技によって、お互いに切磋琢磨し合って稽古を積み重ね、心身の錬成を図るのを目的としています。
また、合気道は他人と優劣を競うことをしないため、試合や競技を行いません。

~合気会ホームページより抜粋~

合気道を始めたきっかけ

私は子どもの頃から、「見た目は普通の女の子なんだけど実は強い」というキャラクターに憧れていた。

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『らんま1/2』女らんま、あかね、シャンプーとかみんな好きだったし、ゲームだったら『ドラクエⅣ』に出てくるアリーナとか・・・。

大事なのは、「見た目は普通の女の子」という点。
強くなるため「男性並みに筋肉モリモリ」に鍛えるのは、私の美学に反する。


高校生の時『今日から俺は!』を読み、主人公・三橋貴志の彼女・赤坂理子の存在に私は衝撃を受けた。

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彼女は合気道道場の娘で、本人も相当の使い手という設定。

三橋の敵のツッパリたちに襲われた時も、合気道の技で応戦し事なきを得ている。

そのシーンを見て、私の中で「やるなら合気道だな・・・。」という思いが芽生えた。

・・・とはいいながら、高校も大学も遊ぶことに夢中で、合気道のことは頭の隅に追いやられていたのだが。


そんな私が実際に道場の門を叩くことになったのは、大学卒業間近の22歳の時。

「もうすぐ就職だし、仕事以外に何か打ち込めるものを見付けたい。やるならやっぱり合気道!!」

そう思っていたら、内定先の職場の先輩の友達が習っているという奇跡的なご縁で、私はすんなりと合気道の入門者となった。

稽古期間と昇級・昇段

①姫路の道場:3年半。5級→2級
②東京の道場:2年。2級→初段
③フランス・トゥールの道場:3ケ月
④フランス・パリの道場:5ケ月
⑤東京の道場(②と同じ):3年。初段→二段

※すべて合気会系の道場

どの道場も、先生、先輩、仲間たちはみんな優しくて、とても楽しく稽古することができた。

合気道には様々な流派が存在するが、私が所属していた道場はすべて合気会系で打撃が少なく女性が続けられやすいのも良かった。(※財団法人合気会・・・合気道の開祖・植芝盛平が設立。現在は孫の植芝守央が道主を務める。)

男性をバッサバッサ投げ飛ばしたり技が決まるのは超快感だったし、「見た目は普通の女の子だけど実は強い」という理想の自分に近付けているのもすごく嬉しい。

稽古は土日がメインだったが、彼氏や友達との予定は半々にしてでも私は真面目に通っていた。

合気道をやめた理由

道場での経歴が長くなるうちに、役員を任されて稽古を休みにくくなったり、先生や先輩が出られない日に自分が指導をすることもあり、だんだんプレッシャーになってきた。

武道というのは体育会系の部活のようなストイックな雰囲気があって、社会人サークルや習い事などの軽いノリとは全く違う。

合気道は大好きだしやりがいの一つだったが、やっぱり彼氏とデートしたいし、友達とも遊びたい・・・。

目標だった二段が取れたことと、結婚&引っ越しで円満にやめられる理由ができたことを機に、私は約10年の合気道人生に終止符を打った。(←ちょっと大げさな言い方)

合気道をしてきてよかったこと

・一般の女性以上に危機察知能力が見に付く

合気道の先生はみなこう言っていた。

「自分は武道をやっているから、その辺の人より強い。」なんて奢りの気持ちは絶対持たないこと。
まず危ないところに行かない。それが大事。特に女性は気を付けよう。

合気道は平和を愛する武道とも言われていて、勝ち負けはないし、いかに相手と戦わないか、そういった精神も稽古を通じて自分の体に浸みわたっていった。

外に出ると、「ここは危険/大丈夫」「この人はなんか危なそうだから距離を取っておこう」「今日は傘を持っているから、襲われそうになったらこれで間合いを取ろう」「あそこにあるのぼり旗は、いざという時間合いを取るのに使えそう」などと考えて歩く習慣が付いた。

歩く時は、背筋を伸ばして早足で・・・。

男性に絡まれたり痴漢に遭ったりというのはもともとない方だったが、合気道を始めてから皆無となった。

・ストレス解消

普段生活していると、男性を投げ飛ばしたり関節技を決めることなんてまずない。

合気道は男女や段・級の区別なく平等に稽古ができるので、屈強な男性相手でも技をかけられる。(そして相手はちゃんと受け身を取ってくれる)

これがとにかく超快感!!

稽古以外でも、上司とかムカつく人が周りにいたら、脳内で「私だって本気出せばアンタなんて一撃で倒せるんだからね。」と妄想する。

これだけでもストレス解消に大いに役立つ。

・稽古をすれば、相手のすべてが手に取るようにわかる

開祖は女性の門弟を大事にしたとされ、その思想は合気会の教えにも受け継がれている。

先生・先輩方を初め男性の稽古仲間はみんな女性を大切に扱ってくれる。

稽古では男性とも体を密触させることもあるが、紳士的な対応なので不快に思ったことは一度もない。

※ここからは、やめた今だからこそいえる話※
(合気道をされている方、これを読んで気分を害されたら本当にごめんなさい)

稽古をしていると「あ、この人の技の仕方や受けの取り方は好きだな」「この人は力任せに押す感じがあってイヤだな」というのがモロに出るので、この相性って〇〇にも比例するんじゃないかと思った。
上級者で合気道の受けがすごくいい感じの人がいて、「あぁこの人と組むの好きだなぁ」と思うことがあり、合気道でも「相手と呼吸や気を合わせる」なんてよく言うしそういうことかな?と体で感じたり。
ちなみに、武道場に立て掛けてある「心・技・体」の額縁を見る度に、〇〇にも当てはまるな~と考えていた私。(苦笑)

合気道仲間の男性と仲良くなったり告白されることはあったが、結局付き合うことはなかったなぁ・・・。

合気道をしていて困ったこと

いいこと尽くめの合気道だが、少しは困ることも。

・稽古を休みにくい雰囲気。

・武道特有の上下関係や礼儀・しきたりなどが窮屈に感じることがある。

・しょっちゅう足にアザができる。

・稽古がすっぴんなので、普段から人前ですっぴんでいるハードルがかなり下がる。

・深爪は絶対!!(私はもともと深爪派なのでまったく気にならなかったが、ネイルが趣味の女性はネックになると思う)

意外なところで役立つ合気道経験

・フランスのワーホリ審査に合格!!

超難関と言われているフランスのワーキングホリデービザの審査。

特に重視されるのが、「ワーキングホリデービザを使ってフランスに滞在し、何をしたいか」を書く作文。(日本語で可)

フランスは本国日本を抜いて、合気道人口が世界一の国。

その情報を知っていた私は、ここぞとばかりに「合気道で日仏の架け橋になりたい。」と書いて見事合格した。

↓フランス・トゥールでの合気道体験を元に書いた小説。

・就職が決まる

50分の1くらいの倍率で、中途採用された事務の仕事。

後で採用理由の一つに「履歴書に合気道と書いてあって真面目そうだと思った。」と聞いた。


・話のネタになる

自己紹介で「合気道二段」というとウケるので、ツカミを取りたい時は言うようにしている。

こんな人に合気道はおすすめ

最後に合気道経験者の立場から、「合気道をするのに向いている人」を挙げてみる。(※あくまで私が経験してきた合気会系の道場の話です)

・何でもいいから運動や武道をしてみたい人

合気道は初心者でもウェルカムな雰囲気だし、平和を愛する武道なのでみんな優しい。

「怪我をしないこと」を第一に稽古するので、無茶をさせられることもない。

初めは胴着を買うだけで初期費用もほとんどかからないし、月謝も安く良心的なところが多い。(私が行ったところはみんな3000円くらい)


・どうせやるなら護身術を身に付けたい人

実際に屈強な男性を倒せるかどうかは別として、危機察知能力が見に付く。


・平和主義の人、勝ち負けが嫌いな人

格闘技を見るのは痛そうで苦手。

勝ち負けを競うスポーツも好きじゃない。

そういった性格の人に合気道は合ってると思う。(←これ、まさに私のことです)


・袴を履きたい&日本文化に触れたい

男性は初段から、女性は三級から袴を履くことが認められている。

袴を履くと一段と身が引き締まる思いがして、稽古の励みになる。

合気道で「膝行」「上段・中段・下段」などの言葉を初めて知り、時代劇なとを見ていて役立つことがある。


・年配の方、女性、お子さん

合気道は力技ではないので、年配の方、女性、お子さんにも向いている。

挨拶や礼儀、他人を敬う心を養うという点では、お子さんの情操教育にとてもいいと思う。


・人体の構造を知りたい

「強く腕を握られても、こうすればほどくことができる」

「この角度だと人の体は痛みを感じる」

このような人体の構造を説明してくれるので、初心者でも把握しやすい。

稽古を通じて人体の構造を体で覚えることができる。

また慣れてくると、体の中心軸についても意識するようになる。


・気や呼吸について探求したい

初めは全く無意識だった気や呼吸の重要性もだんだんわかってくるようになる。


・他の武道の経験者

「空手や柔道など他の武道である程度の段まで取ったが、最後は合気道に行きついた」みたいな男性に何人かあった。

彼らは「最後に追求する武道は合気道」だと言っていた。

終わりに

以上、自分の10年にも及ぶ合気道人生を振り返りながら長々と書いてみた。

合気道に興味がある人や、これから合気道を始めようと思っている人の参考になれば幸いである。


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