小暮沙優

声楽家 | 作家 | 演奏、執筆、楽曲・絵画制作 | NHK「若冲を発掘したアメリカ人…

小暮沙優

声楽家 | 作家 | 演奏、執筆、楽曲・絵画制作 | NHK「若冲を発掘したアメリカ人」主題歌担当 | 朗読モノオペラ《つなぐ》 | 里俳句会同人 | 二期会会員

マガジン

  • 小説「弦月湯からこんにちは」(全15話)

    仕事も、住処も、すべてを失った。拾われた先は、銭湯だった。世界的なツァイトウイルスの流行によって、仕事も住処も失った山口壱子。ある朝、意を決して外に出た壱子が辿り着いたのは、ガウディへのオマージュに満ちた銭湯「弦月湯」。住み込み募集の張り紙を見つけた壱子は番台にいた小柄な女性、若月いずみに思わず声をかける。いずみの従弟であり、かつて壱子のもとで働いていたノンバイナリージェンダーのデザイナー・若月暦との再会、そして弦月湯の再建を通じて壱子の心は蘇り始める。 喪失からの再生の過程をゆるやかに描く中編小説。🍀創作大賞2024恋愛小説部門応募作品。

  • 小説「ドルチェ・ヴィータ」(全11話)

    ──私の首筋を熱い舌が舐める。くすぐったくて、身悶えする。ざらざらとしたその舌は……ん? ざらざら?  不倫の恋をひとつ清算したばかりの祥穂は、ひょんなことから言葉を話す白猫・平泉さんと出会う。  なかなか次の恋に踏み出す気にはなれない祥穂だったが、ある日行きつけのラーメン屋でカメラマンの青年・尚司にコップの水をかけられたことがきっかけで、心が再び動き始める。  仄かな恋心を楽しむ祥穂だったが、尚司からある相談をされる。心が乱れる祥穂のもとに、不倫相手だった元上司からの連絡が届く。  悩みを深める祥穂に、白猫の平泉さんは寄り添い続ける。祥穂が下した決断は──。

  • 《ヴェーゼンドンク歌曲集》

    ワーグナー作曲《ヴェーゼンドンク歌曲集》の訳詩です。全5曲プラス、イゾルデの愛の死です。

  • 《女の愛と生涯》訳詩

    シューマン作曲の歌曲集《女の愛と生涯》の訳詩です。敬愛するジェシー・ノーマンの歌唱で、各曲をご紹介させていただきました。ぜひこちらも併せてお楽しみください。

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小説「弦月湯からこんにちは」第1話(全15話)

【あらすじ】 * 第1話 * ──「お目覚めかね、イチコ」  いつもの低いしゃがれ声が聞こえる。肩に置かれた手は、ずっしりと重い。見上げないでも分かっている、そ…

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創作大賞2024に向けて、新作小説「あんぱんと弦月湯」6/25(火)から公開です。全4回、2万字ほどの短編小説です。どうぞお楽しみに!

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7/21の音楽個展で、ヴァイオリニストの中條萌乃さんに演奏いただく作品をお渡しいたしました。今日は他にも6/23の合わせがあったり、盛りだくさんの一日になりました。ゆっくりクールダウンします。

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小説「弦月湯からこんにちは」第1話(全15話)

小説「弦月湯からこんにちは」第1話(全15話)


【あらすじ】



第1話



──「お目覚めかね、イチコ」

 いつもの低いしゃがれ声が聞こえる。肩に置かれた手は、ずっしりと重い。見上げないでも分かっている、そこには獅子頭の男がいる。舌なめずりしながら、私を待ち構えている、獅子頭の男が。

 あたりを見回す。いつもの白い部屋にいた。床も、壁も、天井も、どこもかしこも白くて、つるつるしている。換気扇が回るぶーんという音が、薄く聞こえる。

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JR駒込駅東口からソフィアザールサロンへのご案内

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JR駒込駅東口から、ソフィアザールサロンへの道順のご案内です。

①JR駒込駅東口改札を出て、線路下通路を右に曲がります

JR山手線、駒込駅には出口が2つあります。

このうち、上野・東京寄りの階段を降りる出口が、東口です。

東口を出て、少し進むと案内板があります。

右手(南側)の「中里1丁目」方面に進みます。

右手に曲がって、線路下の通路をくぐっていただきます。

通路をくぐりぬけて、振

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6/23(日)駒込ソフィアザールサロンでの、ピアニスト・蓜島啓介さんとの「ドイツロマン派における愛の表現」リハーサルでした。おかげさまでほぼ満席となりましたが、ご調整いただき、あと2席増やしていただきました。よろしければお気兼ねなくお越しください。

仕事の帰りに、蘭州牛肉麺。いつも美味しい麺を打ってくださる中国出身のおじちゃんに「謝謝!」と言ったら、すごく喜んでくださいました。中国語勉強中です、と言ったら、もっと喜んでくださいました。今度行くときにはもっと喋れるようになりたい!

広島を歌い継ぐ──句集『広島』に寄せて

広島を歌い継ぐ──句集『広島』に寄せて

 昭和30年(1955年)に刊行された、『広島』という句集があります。

 昭和20年(1945年)8月6日に広島に落とされた原爆の被害を受けた方々をはじめ、広島に思いを寄せる方々が詠んだ1521句が収められています。

 令和4年(2022年)、私はこの句集を受け取りました。

 そして広島を旅して、昭和20年当時16歳の女学生だった伊達みえ子さんと出会いました。

 令和5年(2023年)、里

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プログラムと訳詞集の印刷で、銀座のキンコーズへ。

キンコーズに行くときにいつも寄っていた、スパイシースープ春雨のお店に行ったら、ビャンビャン麺のお店に変わっていました…!

ビャンビャン麺、漢字で書くと𰻞𰻞麺。もはや読めません。書けません。

関根さんに星回りを読んでもらいました!

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みんな大好き、巣鴨のカフェ・ポート・グラスゴーの関根健人さんが、人の持つ才能や性質を掘り出すためのツールとして、西洋占星術やタロットを学んでいると知ったのは6月はじめのこと。

占星術やタロットを学ぶようになったきっかけや、自分の才能の設計図が俯瞰出来るという星図(ネイタルチャート)の話を聞いているうちに、信頼の置ける関根さんに自分の人生を客観的に分析していただきたいと思うようになって、モニターに

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創作大賞2024に向けて、新作小説「あんぱんと弦月湯」6/25(火)から公開です。全4回、2万字ほどの短編小説です。どうぞお楽しみに!

7/21の音楽個展で、ヴァイオリニストの中條萌乃さんに演奏いただく作品をお渡しいたしました。今日は他にも6/23の合わせがあったり、盛りだくさんの一日になりました。ゆっくりクールダウンします。

近所のカフェで、ジャスミンカフェラテをいただきました。ジャスミンティーと珈琲と牛乳のハーモニー、やみつきになりそうです。バスクチーズケーキの試食も頂戴しました。ありがとうございます!

「ドルチェ・ヴィータ」を編集していたら、久しぶりに家系ラーメンとビールのコンボを決めたくなって、行ってしまいました…! ほうれん草多めです!

先日お伺いした、田端銀座の松の湯さん。この日はココナッツの湯を楽しめました。23日の日曜日は、イヨシコーラの湯だそうです!

小説「ドルチェ・ヴィータ」第11話(最終話)

小説「ドルチェ・ヴィータ」第11話(最終話)



これまでのお話

・第1話はこちら

・第2話はこちら

・第3話はこちら

・第4話はこちら

・第5話はこちら

・第6話はこちら

・第7話はこちら

・第8話はこちら

・第9話はこちら

・第10話はこちら



第11話(最終話)



 東京タワーに電話してみると、他のお客様にご迷惑をかけなければ……ということだったので、私はAmazonでケージを購入した。平泉さんと相談して

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小説「ドルチェ・ヴィータ」第10話(全11話)

小説「ドルチェ・ヴィータ」第10話(全11話)


これまでのお話

・第1話はこちら

・第2話はこちら

・第3話はこちら

・第4話はこちら

・第5話はこちら

・第6話はこちら

・第7話はこちら

・第8話はこちら

・第9話はこちら



第10話



「そんなことがあったんですね」
「やせ我慢して、いい女ぶって帰ってきちゃった」

 私は缶ビールを片手にからからと笑う。平泉さんは久しぶりにテーブルの上に乗っている。私が無理を

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小説「ドルチェ・ヴィータ」第9話(全11話)

小説「ドルチェ・ヴィータ」第9話(全11話)



これまでのお話

・第1話はこちら

・第2話はこちら

・第3話はこちら

・第4話はこちら

・第5話はこちら

・第6話はこちら

・第7話はこちら

・第8話はこちら



第9話



 駅を出ると木枯らしが吹いたので、私は開けていたコートのボタンを慌てて閉める。冬がもうそこまでやって来ているのだ。一年ってなんて早いんだろう、思い返してため息をひとつつく。この一年、いや正確にはこ

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小説「ドルチェ・ヴィータ」第8話(全11話)

小説「ドルチェ・ヴィータ」第8話(全11話)



これまでのお話

・第1話はこちら

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・第4話はこちら

・第5話はこちら

・第6話はこちら

・第7話はこちら



第8話



「祥穂さん? 祥穂さん……?」
「……あ、ごめん、ぼーっとしちゃってた」
「大丈夫ですか?」

 平泉さんが心配そうに、山吹色の大きな瞳で私を見上げる。

「どうして?」
「だって、このところずっと、祥穂さん、ぼうっ

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