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酔いどれ雑記 39 世界の果て


ユーラシア大陸の最西端、ポルトガルのロカ岬。首都リスボンからも近いので、彼の国を観光する多くの方が訪れるかと思いますが、ユーラシア大陸最西南端のサン・ヴィセンテ岬はロカ岬よりも有名ではない上、ポルトガルの南のはずれにあり、アクセスもよろしくないので、世界中の端っこ(喜望峰とか......)を制覇するのを目標としている方や「世界で一番〇〇なところ」がお好きな方でもないとあまり行くことはないのではないかと思われます。

けれどそんなサン・ヴィセンテ岬が私は好きなんです。ヘッダー画像はロカ岬ですが、なんか地味ですよね......うらぶれている場所なら私の好みですが、ただただ地味。曇っているせいかもしれませんがね。「ここに地終わり、海始まる」国民的詩人カモンイスのあまりにも有名なこの詩の世界に浸って、こみ上げてくるようなものがあるだろうと期待して行ったものですから、ちょっとがっかりしました。訪れた順番も悪かったと思います。サン・ヴィセンテ岬へ先に行ったので、余計に......。

こちらはその詩が刻まれている碑です。画像検索をすると、晴天の写真は素晴らしいので次訪れるときは晴れた日を狙いたいです。

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こちらは到達証明書です。名前と日付を入れてもらえます。確かいくつかバージョンがあったはずです(価格も中身も違います)。

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サン・ヴィセンテ岬は素晴らしかったです。私は本来、都会や街が好きなのですが、サン・ヴィセンテ岬では日がな一日過ごしてもいいかなという気分になりました。あまりにも気持ちが良くて。なんもないところなんですけどね......あるのは灯台と、レストランと、セーターなどを売る露店くらい......あ、ポサーダも近くにありますね。ポサーダというのは国営の宿泊施設のことですが、歴史的な建物を改装した豪華なものだったり、景勝地に建てられていることが多いです。

ごつごつとした岩のような道にマツバギクのような花が咲いていたのを覚えています。多肉植物にはさぞかし居心地の良い環境でしょうね、典型的な地中海性気候ですから。

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こんなヨーロッパ、ユーラシア大陸の端っこから船で16世紀に我が国にやって来た人たちがいると思うと、不思議な気分です。

こちらはリスボンにある「発見のモニュメント」前に描かれた世界地図の日本の部分ですが、日本は1541年に「発見」されたことになっています。

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こちらはベレンの塔です。マリア様が海側で大冒険に乗り出す船乗りたちを見守り、そして出迎えてくれます。

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子供の頃、私は高台に住んでいて、急坂の中腹からでも富士山がよく見えました。地理の図鑑を穴が開くほど見ていた私は「あの空の向こうはリスボンがあるんだ」と思っていましたーー今となれば京都に行くのもリスボンへ行くのも同じようなものだと思っていますが、少女の私にとってリスボンは遠い、遠い、世界の果てでした。


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