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#詩の朗読
グルグルの秘密と火のダンス
意地悪をしてくるポルターガイストが好きだった、と言うと、みんなはとても変な顔をします。
彼女は幽霊。誰かれかまわず憑依をしては、わたしの髪を引っ張ったり、家具を動かしては困らせる。
でも彼女のこと、いとおしい。だって生まれることのなかった、もう一人のわたしなんだもの。きっとわたしたち、そっくりの顔をしているかもね。
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マッチ箱、って知ってるかな? アンデルセンの童話にもでてくる、マッチ箱がお仏壇
箱のなかの青い蝶々。雨と夢
わたしのすべてを知りたがるきみへ。どうしても伝えておきたいことがあります。
いまはむかし。一千年前に生きた青い蝶々をおさめた、これもまた古い小さな箱を、わたしが持っていることを。
この箱の由来については秘密にしておきますね。いまは黙ってわたしのする話に耳を傾けて欲しいのです。
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箱のなかの夜では、まだ一千年前の蝶々が生きていて、青く輝く鱗粉を散らしながら、柔らかく閃いています。
そこは、しっとり
きょうの呪文。木星のマリアさま。わたしを守って!
きみにも守ってくれる女の人がいることを知っていますか? これはジュピター、すなわち木星のマリアを召喚するための呪文です。
占星術が伝えるところによると、木星は、幸せをもたらしてくれる惑星です。それも十字架の上で命つきるその日まで、イエスさまを守りつづけた、聖なる母、マリアみたいな、とても、とてもきよらかで強い星なのです。
思い出してください。マリアさまは優しいばかりではなく、強いお母さまでした。
夜明けの梟(ふくろう)を恋のキューピッドに
魂を奪われた少年なんだ、と、夜明けにやってきた梟が、わたしに囁きかけます。
瞳は美しいガラスでできている代償に、少年のみる色彩には音楽も、感情すらもない。
でも凍てついた氷の宮殿での生活に、ほかならぬ彼自身が傷ついているのでした。
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五歳で亡くなった弟が少年の魂を奪いさったのだ、と告げる梟。
旅立ちの日にさみしすぎるから、兄の希望のすべてを根こそぎ奪って行ったのだ、と。
魂の奪還をしなくては、と
涙になったウイッチドクター
あのころ、女の子だったわたしは、魔術的な力をふるう、お医者さまでした。
川の波立つまぶしさからは吉兆を、慰めは雨の涼しさから譲り受け、
青を制覇する雲の白さをうらなっては、小鳥やモンシロチョウを癒します。
わたしは、海からやってきた人魚。水を静かに慕い、占い、ひんやりと操ることができました。
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あろうことか、そんなわたしが病気に罹ったのは、はじめて人の病を癒そうとしたから。
恋する少年の苦しみを
コンビニねすみを知っていますか?
コンビニねずみを知っていますか?
白いねずみだけど、ハツカネズミとはちがいます。
だっておめめがブルーで、赤くないねずみだもの。
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海岸沿いの倉庫にねずみは暮らし、チーズを食べてた遥かなむかし。
いまレジ袋に生まれ変わって、食べものをつめこまれるねずみとなりました。
あとはポイ捨てにされちゃう可哀想な運命だけど。
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ある夜、とあるコンビニの片隅で哀しみに震えるねずみを拾います。
そうしてジャケ
月のエクトプラズムとアイスクリーム
人は死んだら雲となり、お月様にゆくことをわたし、知りました。
妹のゆう子はだから月の裏側にいるのかな?、と考えます。
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七月に亡くなったゆう子は、アイスクリームの魔術が大の得意。
しかもコーンつきのヴァニラアイスを物質化しちゃうほどに。
なんにもない空中からアイスクリームを取りだせるのは、
白い霧や、まばゆいばかりの積乱雲を材料にしてるから。
お姉ちゃんにも簡単にできるよ、と、あの子、笑ってく
きょうの呪文。ユニコーンと出会ったなら、ソーダ水をご馳走しなくちゃ
夢の中でしか会えないとおもっていたユニコーンと、ふいに遭遇してしまったなら、あなたはどうしますか?
たとえばの話ですけど、街角で、だったり、カフェを出てすぐだったり、ユニコーンと鉢合わせしてしまったら、ソーダ水をご馳走することをおすすめします。それも、ヴァニラアイスをのっけたソーダ水を、です。
炭酸がはじける、あのグリーンの色彩が、まるで神秘の森のように、あかるく爽やかだし、それからヴァニラアイ
許されているわたしの海
生きるのが辛く、苦しみが泉となってわきだす日々を、いまのわたしは歩いています。
でも、そんなわたしにも悩みのたねが晴れわたる真っ青なときがあったのです。
それはまだ、わたしがわたしではなく、海だった頃のおはなし。
そうです、わたしが海だった頃、なごやかでやさしい風が吹いていました。
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海だった頃、わたしはわたしではありませんでしたが、たしかにわたしはいました。
悩みのない海に魚が泳ぎ、椰子の実