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月のエクトプラズムとアイスクリーム

人は死んだら雲となり、お月様にゆくことをわたし、知りました。
妹のゆう子はだから月の裏側にいるのかな?、と考えます。

七月に亡くなったゆう子は、アイスクリームの魔術が大の得意。
しかもコーンつきのヴァニラアイスを物質化しちゃうほどに。
なんにもない空中からアイスクリームを取りだせるのは、
白い霧や、まばゆいばかりの積乱雲を材料にしてるから。
お姉ちゃんにも簡単にできるよ、と、あの子、笑ってくれました。

八月。正午の月から爽やかな風が吹いてきて、ゆう子を思いだします。
お昼の月はうっすらとした気体となり、まるで半分、雲でできているかのよう。
そんなとき、まったく雲みたいな月からアイスクリームをこしらえるわたし。
月のエクトプラズムですから、ゆう子の成分もきっと混じっているよね。

ふと横を見ると、アイスを食べるわたしのかたわらで、
「お姉ちゃん、わたしの分も生きてね」
と、すきとおったゆう子は微笑んでくれるのです。

VOICEROID2の紲星あかりによる朗読です。ぜひ、お聴きになってくださいね。


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